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2012年6月6日水曜日

FNV Jong オランダ労働組合連盟若者部会

2011年海外調査11月【オランダ】 ⑦

FNV Jong
オランダ労働組合連盟若者部会

○日時
20111110日(木)9001100

○場所
オランダ労働組合連盟事務所

○インタビュイー
モニカ(政策アドバイザー)
エスター(マネージャー)
キム・コーネリッセンKim Cornelissen(広報担当)

○配布資料概要(一部、当日の聞き取りを追加) 
 FNV Jongは、若者のための労働組合ネットワークである。これは、伝統的な形の組合ではない。FNV は、かつていくつかの若者組織を有していた。だが、FNV Jongは、2006年に設立された。若者組織が再組織化された理由は、労働組合のなかでもっと積極的になるためにはプラットフォームを持つべきだと感じるFNVの若者がいたからである。若者問題についてもっと積極的になるよう、労働組合に対する内外の圧力挙がることも理由の一つである。FNV Jongは、組合の20万人以上の若者を代表する。われわれは数多くの仕方で若者を代表しようと努めている。

 一般的に、FNV Jongは、三つの主たる目的を持つ。
①若者問題に対する政策を作り、労働組合や政府の政策に影響を与える。
②労働組合のイメージを変え、労働組合は古い人々(成人や老人)の地位のためだけに戦うという考えを変える。
③若い労働組合メンバーの積極的な参加を促す。

 われわれは、次のような方法で若者問題に働きかける。
①政策:若者の利害を守るため、政党・政府・労働組合と接触する。例えば、新しい法律が議論に上るときには、積極的なロビー活動(大臣や議会への手紙、請願運動)を行い、積極的に法律に影響を与える。
②イメージ:若者が好きなものについて、じっくり見て、じっくり感じるプロジェクトやキャンペーンを組織化することによって、若者が自分自身を守るよう手助けする。例えば、MTVのようなテレビ局と連携する。
③参加:労働組合内で、若者の地位を強化するよう努める。若者がわれわれのキャンペーンに参加するよう促す。
 これらのことを実行するために、いくつかの会議やプロジェクトを組織化している。
 
 現在、FNV Jongが認識している若者問題は、次の点である。
①若者は組合のなかで自己主張できない。
②若者は自分の権利に気づいていない。
③若者は社会保障に対する権利が少ない。
④若者は家を買ったり、安定した生活を得たりする機会が少ない。

 最近の2年間で、われわれが実行したもっとも重要なテーマは、以下の通りである。毎年、テーマを設定していく。
①若年失業
②フレキシビリティとフレキシブルな労働
③実習生の立場と通常の実習制度(→Coloの話を参照)
④労働市場における若者の立場
⑤若者の最低賃金システム
⑥休暇期間中の労働についての年次調査
⑦若者の労働組合員のネットワーク構築

○インタビュー概要

FNV について
 FNV Jongには、8つのチームに分かれている。①政策アドバイザー2人、②スクール・プログラム・コーディネーター1人、③プロジェクト・サポーター2人、④渉外担当1人、⑤マーケティング1人、⑥渉内担当1人。
 そもそも、FNVは、1906年、ダイヤモンド鉱山の採掘労働者ヘンリー・ポラックが、劣悪な労働環境に抗して、労働者の組織化を行ったことに端を発する。
 FNVは、セクターごとの組合(19組合)のネットワークである。組合員は、140万人である。FNVの代表は、Agnes Jongerius(女性)である。35歳以下の若者組合員は20万人いて、それがFNV Jongのメンバーである。組合を維持するためには若者が必要という認識から、FNV Jong2006年に設立された。

FNV Jongが力を入れるテーマ
①若年失業
 若年失業はとても大きな問題で、現在約9%である。エスニック・マイノリティの失業率は高く、25%に上る。具体的には、ワークショップを行っている。
 ワークショップを行う前に、調査を行った。仕事が見つからない理由には、次のようなものがある。1.差別、2.面接がうまく行かず、仕事を見つけることができない、3.仕事を見つけても、意見を主張することができない。ワークショップでは、面接などのスキル改善を行う。
②インターンの地位改善
 インターンは賃金がもらえないため、地位としては非常に低く、それを問題視している。ウェブサイトで、自分のインターン体験を報告してもらい、それを評価する仕組みを作った。
③労働教育
 学校の休暇中に働く若者たちholiday workersの労働環境に焦点を当て、「ホリデイ・キャンペーン」をしている。来年度のプランとして、いくつかの会社で、若者に労働環境の安全と労働者の権利について講習会を実施する予定である。また、「スクール・プログラム」として、HAVOMBOの生徒たち(1520歳)を対象に、労働者の権利・労働契約のあり方・お金の使い方・ネットワーキングの講習会を行う。これは、いわばキャリア教育の前段階に該当する。
④最低賃金
 若者の最低賃金は低いため、ヨーロッパにおいて署名運動をしている。
⑤社会的ネットワーキング
 社会メディアを使って、社会的ネットワーキングを展開している。そのほか、若者とネットワーク会議を実施している。若者と話し、政策に反映させることが目的である。

オランダの若者政策の動向
 20082009年の金融危機で、若年失業率は約7%から約13%に急上昇した。20093月、FNV Jongは政府に対して対策プランを上申した。その後、6月に対策プランの採用が決定して、9月に政府の社会問題・雇用省によるアクション・プランが成立した。3年で25千万€の予算である。アクション・プランの結果、若年失業率は低下した。ただし、エスニック・グループの第二世代(トルコなど)の問題は、今なお残っている。
 アクション・プランを受け、FNV Jongでも、「どれだけ待たされるの?」キャンペーンを実施した。
 アクション・プランの後、自治体でも若者支援策が実施され、地域ごとにさまざまなプログラムが生まれた。例えば、ユトレヒトでは、雇い主に対して雇用助成金が支払われる仕組みが作られた。そのほか、成功した施策として、若年失業者が、もっと貧しい地域の若年失業者をカウンセリングするプログラムがあった。

オランダにおけるフレキシブルな労働
 オランダでは、フレキシブルな労働が広がっている。35歳以下の若者の場合、65%がフレキシブルな労働に従事している。また、27歳以下の若者の場合、43%がフレキシブルな労働に従事している。これらの若者は、少なくとも34年のあいだ、フレキシブルな労働に従事する。なぜなら、若者にフルタイムの仕事があてがわれることは少ないからだ。これらのフレキシブルな労働では、十分な教育schoolingの機会は提供されない。そして、社会保障の該当期間は、求職している36ヶ月しかないので、パーマネントな仕事を探すには短すぎる。そのあいだに別のフレキシブルな仕事を探さなくてはならない。
 もし、労働時間が短くて、生活に必要な賃金が稼げない場合、オランダの法律上、社会保障の申請は可能である。しかしながら、27歳以下の若者の場合、実際に給付をもらうことは難しい。政府の方針として、27歳以下であれば、別の仕事を探すことが求められるからだ。年齢に応じた規制regulationsの違いがある。
 われわれとしても、セクターごとに雇用を創出するよう働きかけている。ただし、パーマネントな仕事を獲得するためのプロジェクトはやっていない。本人に探してもらうしかない。政府は、もっと労働市場をフレキシブルにしたいと考えている(40%まで)。現在は、2035%である。これ以上、フレキシブルな労働市場にならないよう、われわれはロビー活動をしている。オランダでは、求職中の社会保障は3ヶ月だけである。したがって、フレキシビリティと社会保障securityが一致しているとは言いがたい(フレキシキュリティとは言いがたい)。
 フレキシブルな労働者は、企業のもとで教育を受ける権利がない。つまり、フレキシブルな労働者は、自分で勉強するしかない。雇い主がフレキシブルな若者に職業教育・訓練の機会を提供する=投資するように促す規制は存在しない。したがって、スーパーなどでは、単純労働者として若者が好まれることになる。しかしながら、フィリップスのように、企業によっては、フレキシブルな若年労働者に対して、学校に行かせる企業も存在する。








Dienst Werk en Inkomen (DWI) 雇用・所得センター

2011年海外調査11月【オランダ】④


Dienst Werk en Inkomen (DWI)
雇用・所得センター

○日時
2011118日(火)14301630

○場所
DWI

○インタビュイー
マリア・ブルーセン
モニク・バウマンMonique Bauman(若者担当クライアント・マネージャー)

○インタビュー概要

雇用・所得センターDWIについて
 DWIは、地方自治体の機関である。アムステルダム市の雇用・所得担当の市会議員AldermanDWIに責任を持っている。
 DWIの主な目的は、以下の通りである。
DWIは、アムステルダム市民が仕事を見つけ、アムステルダムの社会に参加することを手助けする。
②仕事を見つけることが目的である。社会に参加することは、規範である。
③上記に加え、DWIは生活できない人びとに(一時的な)所得を提供する。

DWIの活動内容
DWIは、アムステルダム市に代わって、「労働と社会扶助法」と「若者育成法」を実施する。
DWIは、貧困と闘う。
③成人教育と移民統合を指導する。
④生活や環境に対するリスクを伴うクライアントに特別に注意を払う。
⑤若者の失業に注意を払う。

仕事へのステップ
①ケア……例えば、妊娠
クライアント支援、ケアと福祉、他の手段の支援
②社会参加……孤立しないことが目的、アムステルダムの市民生活に参加すること
活性化activation、ボランティア(無償)労働
※ただし、社会参加の中身は成人と若者では異なる。
※例えば、週に1020時間ほどのボランティア労働が求められた。かつては、そのボランティア労働の対価として、1日当たり6€の割増給付があった。しかし、現在はその支給がなくなり、完全な無償である。
③仕事へのステップ(労働市場のための活性化)……仕事について準備する
再統合プログラム、学習・労働プロジェクト、起業プロジェクト、実習生
④仕事へのステップ(労働市場への導き)……労働市場におけるマッチング
仕事の欠員への目配せ、仲介作業、カウンセリング、雇い主へのサービス・ポイント
※労働市場に仕事は存在する。ただし、マッチングがうまく行かない。

各ステップをどのように判断するか
 質問用紙を用いて、クライアントがどのようなステップに該当するか、判断する。質問用紙では、仕事経験、言語、教育歴、病気の有無などの基準を用いる。判断する際、原則はコンピュータによって自動的に行うが、ケース・マネージャーがケースごとに配慮することもある。例えば、移民の場合、コンピュータによる判断はうまく機能しないことがある。移民は低いレベルで評価されてしまうことがある。

その他の支援手法
子供ケア、借金へのカウンセリング、言語教室、費用の立て替え、診断方法
※オランダの若者の問題として、借金の問題がある。銀行が若者にお金を貸すので、ローンや借金を抱えた若者が存在する。若者が自分自身でお金をコントロールできるように手助けする。

クライアントの内訳(アムステルダム市)
①ケア
12735
②社会参加
17040
③仕事へのステップ(労働市場のための活性化)
7500
④仕事へのステップ(労働市場への導き)
3740
未受給
659
合計
41674

DWIのスタッフ
 DWIのスタッフは合計1800人である。ケース・マネージャー一人当たり、6080人のクライアントを抱える。

挑戦
①活性化と再統合予算の削減
②「労働と社会扶助法」改正、「若者育成法」終了予定
③地方経済における雇用者数の減少
④しかし、別の新たな機会もある!
⑤作戦の革新
⑥クライアントのエンパワーメント

若年失業
27歳以下の失業者は3010人。

オランダの状況
 オランダは大きな変化に見舞われている。第一に、金融危機による予算削減である。アムステルダム市民のお金を効率的に活用することが求められている。2013年から、予算削減に基づき、大きく制度が変わる予定。第二に、政府と市民のあいだの社会的対話が求められている。市民に何ができるか、コミュニティの自立化を考える必要がある。

DWIが支援する若者
 若者は、1727歳を指す。ただし、年齢によって対応が異なる。
 17歳は、義務教育に行く年齢なので、基本方針は学校に戻すことである。そのため、学校や両親に問い合わせる。だが、若者が学校に戻ることを拒否した場合、興味のある分野で、6ヶ月の賃金なしの実習生をさせる。
 18歳は、義務教育の年齢ではないので、学校に行く必要はない。このとき、所得の権利が発生する。成人と見なされ、自由にすることを決めることができる。つまり、若者が18歳以降になると、17歳以下のときと別の仕組みが適用されると言える。
 17歳という年齢は、制度のなかで見失われがちな年齢である。17歳以下の若者を対象に、地域のなかでネットワーク会議が毎月開催されている。ここで、若者の個人ケースについて話し合う。アムステルダム市には、4つの地域ブロックが存在する。このネットワーク会議は、今から20年前くらいに始まった。モロッコ移民が問題になり、犯罪が増えたことが契機である。イニシアティヴは警察であった。現在も、コンピュータを利用して、リスクを抱えた若者の情報を共有している。

ジョブコーチ・プロジェクト
 アムステルダム市では、1827歳の若者を対象に、ジョブコーチ・プロジェクトを実施している。このプロジェクトは、6ヶ月という期間、①学校に行く、②学校と仕事に行く、③仕事に就くという選択肢から選んでもらい、その際に必要なものを提供する。6ヶ月でうまくいかない場合、3ヶ月の延長もある。もし、この過程で問題を抱えているようなら、医療診断を受けさせて、医師のアドバイスをもらう。担当マネージャーは、一人当たり1012人の若者を担当する。

オランダの給付
1827歳 200800€/月
※年齢に応じて異なる。18歳は200€、27歳は800€。
2765
シングル 875
シングル+子供 1045
夫婦+子供 1200
※参考値として、最低賃金の月給1415€、平均月給2500€。

若年失業に対するDWIの責任
 18歳までは、DWIは若者の状況について知る義務がある。しかしながら、18歳以上の場合、DWIは窓口に来た若者にだけ対応する。 










ユーススポット Youth Spot Reseach and practice centre Youth Work

2011年海外調査11月【オランダ】⑪




ユーススポット Youth Spot  Reseach and practice centre Youth Work

訪問日:2011年11月11日(金)



■概要 「ユーススポット」はソーシャルワークを実施する7つの団体(大学、ROCなどの学校)が連携した組織。
この組織ではユースワークの専門職化を促進する為、ユースワークに関するリサーチと実践を行っている。オランダのユースワークはプロとして実践されている事が特徴である。
実際に訪問した先は大学の教室の一室。特にこの組織の建物があるという事ではなく、連携組織。

■目的 ユースワークを専門職化を普及する事により、若者と社会の未来に働きかける事を目的としている。

■活動内容(プレゼン内容)
アムステルダムの若者の現状について 
この10年オランダでは非常に格差が大きい社会になっている。移民、貧困、教育不全、ホモセクシャル、肌の色など様々な理由から社会的に排除される若者がいる。
ユースワークは専門職化しにくい分野(対象になる若者や社会の変化、分野としてもまだ小さい)であるが、ユースワークの専門家を増やす事ユースワークの専門職の質を上げる事の2つが目的として活動している。
専門職になる事の4つの条件は特定の知識、手法、能力、自立的な判断力(ユースワークの範囲を知る事)
ユースワークが普及しない2つの理由 対象がわかりにくい(若者のニーズが常に変わる。)分野として小さい。
例 Open Youth Work  誰もが参加できるユースワークの手法として紹介


OPZET (実践に基づいた研究)の紹介

 文献調査
6人の学生が5か所のユースセンターで活動し、参与観察する。
ディスカッション先生とユースワーカーにて
調査を元に分析と研究を行う。
成果物
論文とユースワーカーの為の教材作成


文献調査と実践を合わせた調査研究の説明

*リスクのある若者に対するユースワークについて(ここからはユースワーカーのセバスチャンさんからの説明)
リスクのある若者は家族問題(家が小さい、貧困、大家族など)教育の貧困、移民問題、犯罪に関わる問題、ストリートカルチャー(悪い事がかっこいいというような風潮)などがある。
ユースワーカーが現場で実践する3つの仕事
1)若者をグループ活動に参加させる事→スポーツや文化活動などに参加をする事により若者を社会化する。2)若者の様子をみる事→活動に参加したり、その他の場面でも若者の変化や問題に対して見守る事。3)他の専門職と協働する事→例えば学校へ行っていない若者がいたら学校との連携をするなど他団体や専門家と協働する事で若者を支援する。
(実践例) スポーツを通したユースワークの実践
若者自体にリーダーシップを取ってもらう実践。若者自身が輝く事も含め、実際に実践する事によってその後の進路にも良いアドバイスを与える事ができる。単なるアドバイスではなく、実際に実践する事により本人が体感する事が大切。
ユースワーカー自体がプロとして教える事から始まり、少しずつ若者自体に責任を持たせた仕事をさせつつ、出来た事は褒めたり、リーダーとしてするべき事ができなければ怒ったりして達成感を味わわせるまでサポートする。

ユースワーク普及の壁
リスクのある若者への対応が多い事、定時で終わる事ができない仕事 (問題が起きた時にいつでも対応しなければならない。)などがユースワークの職業普及への壁となっている。
また、ユースワーカーは様々な場面で道徳規範を問われる事がある事、また国の予算の削減もあり、来年度以降のユースワークへの予算削減も予想されている。
ユースワーカーとしてのするべき事、心得について最後に説明があった。
町で起きている事をよくわかる事、政治についてきちんと情報を持つ事、関係をつながり続ける事が大事である。

■質問・考察
質問1)困難な学校との連携は出来ているか? 
学校との連携はしているが、困難な若者に関してはグループとしてほとんど把握されている。
2)対象は何歳~何歳まで? 10歳~15歳 16歳~24歳(それぞれに違うアプローチをしている。)(10歳以下はチルドレンワークとしてケアされている。)
3)就労への促し等はしているか?
ユースビューローという若者専門の仕事紹介所があり、そのような機関と連携している。
4)ユースワーカーの主な活動場所は?
ユースセンター、スポーツセンターなど、また天気がよければ野外での活動など。



オランダの若者団体  ダッチ・ナショナル・ユース・カウンシル(NJR)

2011年海外調査11月【オランダ】⑥


オランダの若者団体  ダッチ・ナショナル・ユース・カウンシル(NJR


訪問日:2011年11月9日(水) 











■概要
オランダの全国的若者団体、34団体を束ねる連合体。この34団体で、オランダの全国的若者団体の80%をカバーしている。34団体の代表からなる総会の決定のもとに動く、7名の若者からなる理事会のもとに、理事長が率いる事務局があり、20名から30名のスタッフがいる。団体のミッションは、若者が、現在と未来において、自分たちと他者のために、その才能を見出し伸ばし用いることである。

■設立の経緯・背景
2000年に、国際社会に対してオランダの若者を代表するVereniging 31、ナショナル・ユース・ディベートを行うNJD、持続可能な開発に関心を持つNJMOの三団体が、政府に対して若者を代表することを目的として合併し発足した。オランダでは、若者団体への加入率が低い(34団体で20%)ので、若者団体に参加していない若者への働きかけも担っている。

■活動の実際・特徴
 活動は、大きく分けて二つあり、提言とプロジェクトに分けられる。提言では、若者に関与する政府等の機関に対して、求められるか否かにかかわらず、政策やその実施に関する提言や、若者の活動の障害を取り除くための提言を行っている。
プロジェクトは、若者自身が動かしているという感覚から発意される。プロジェクトは、①若者政策と政治、②国際関係、③持続可能な開発、④教育・社会問題・若者文化の4つの分野に分かれている。①はNJD、②は Vereniging 31、③はNJMOの活動を引き継いでいる。①においては、オランダ国会を借りて、年に一日行う、ナショナル・ユース・ディベートが最大のプロジェクトで、12歳から18歳の若者が議論を行う。ここでの議論が、チャイルドオンブズマンの設置など、政策決定につながることもある。②においては、国連総会、ユネスコ、持続可能な開発のための国連小委員会、ヨーロッパ評議会へ、オランダの若者の声を届けるため、代表を送る活動を行っている。③においては、たとえば、自分の学校が環境にやさしいかどうかを点検するために、生徒自身が取り組むプログラム「ランク・ア・スクール」を開発して普及している。
④において、社会的排除に取り組むための、いくつかのプロジェクトを行っている。一つは、恵まれない条件にある9歳から12歳の子どもに対して、18歳から25歳の学生を「バディ(仲間)」としてペアにする、「手を取って」というプロジェクトである。一緒に、図書館に行ったり、劇場に行ったり、サッカーの練習をしたり、社会的クラブに行き、可能性を広げる。
また一つは、養護の必要がある、あるいは、非行を行った若者を収容する、ユースケア施設における若者参加を強化するプロジェクトである。NJRの若者指導者が、収容されている若者同士が生活環境について話すように訓練し、施設内の若者評議会や、施設運営者とのディベートを行う。
さらに一つは、「オープン・アップ」である。「身近の人が同性愛(あるいは、トランスセクシュアルなど)だったらどうしますか?」という問いかけを、ポスターの作製、イベントの開催、ディスカッションの実施などを通じて行っている。

■評価・考察
NJRは、ヨーロッパ各国にもある、若者団体を束ねるアンブレラ組織である。しかし、他国に多い、アドヴォカシー機能を中心とした組織ではなく、多くの事業を自ら実施している。日本円にして、2億円の予算を動かしているが、そのうち9割近くは、固定費でない事業経費であり、事務局スタッフもこの経費で雇用している。NJRは、多くの事業を政府から委託されており、若者の社会参加を図るための組織として、政府から信頼されていることが推察される。活動の中心は高学歴の若者であり、低学歴の若者にとっての当事者性は低い。それを補うため、プロジェクト実施に当たっては、参加者の構成を、学歴ごとの人口比に合致させている。

オランダの研究機関 オランダ青少年研究所(NJi)

2011年海外調査11月【オランダ】⑤
訪問日:2011年11月9日訪問


■概要 NJiは、子どもと若者に関する問題に関する知識を、公的セクターのために、発展させ集積し明確化し普及する、独立した非営利の機関である。学校を除くあらゆる分野で子ども・若者とかかわる実務家の知識ニーズに、科学的研究の成果を結びつけ、政策・プログラム・実施について助言を行うほか、エビデンスに基づく手法に関して実務家を訓練することで、実務の支援を行っている。海外の専門家や知識センター、研究所と、科学的発展及びグッドプラクティスについて情報交換を行い、オランダ国内のサービスと政策を向上させると同時に、若者支援における国際的発展にも貢献している。資金は国(健康福祉スポーツ省)から得ている。スタッフは、およそ140人。

■目的 主たる目的は、若者やその保護者に対するサービスの質と有効性を高めることによって、子どもと若者の適切な発達を促進することである。

■アプローチ リスクのある若者と、そうでない若者のギャップを縮めるため、予防的・普遍的サービスを重視している。すなわち、子ども・若者の「正常な」発達と養育について包括的な見方をとり、子ども・若者サービスをポジティブに方向づけて、子ども・若者に社会の一部となってもらうことを目指している。

■活動 NJiの活動の核は、「知識センター」であり、エビデンスのデータベースを構築して、子ども・若者分野で働く専門家に対して、有効な手法と介入に関する、専門性を提供すると同時に、専門家が、これらの有効な手法や介入を実践して、その結果をモニターするように背中を押している。その一方で、NJiは、現場から得た知識を統合し、それについての科学的証明を行い、エビデンスに基づいた実践として、現場に返している。
 オランダでは、若者家庭センターが新たに各都市で設置されるとともに、保護者と子ども・若者のための予防的な支援システムの根幹として、学校・ユースケア・福祉施設が、ユースケア助言チームとして協働している。NJiは、健康で有能で幸福な子どもと有効な子育てに向けた、一貫した若者政策の基礎である、若者家庭センターと助言チームを支援している。
 NJiがとりわけ力を入れているのは、オーストラリアで開発された子育て支援プログラムTriple Pの普及である。Triple Pとは、Positive Pedagogical Program(ポジティブな教育的プログラム)の頭文字をとったもので、ポジティブ志向が強い。その目的は、有能な親を増やし、ポジティブな子育てを推進し、親同士のコミュニケーションを図り、家族内のストレスを軽減することである。Triple Pの介入は、①一般へのチラシ配布など一般的な情報提供、②子どもの発達についての、親との個別の一般的な会話、③何らかの心配事をもつ親との個別の相談、④重大な問題がある場合のグループ訓練、⑤家族介入の5段階から成っている。すなわち、普遍的な地域全般への介入から、ハイリスクの家族への直接介入までのも含む、段階的・包括的な介入である。オランダではまだその効果は実証されていないが、NJiは、外部の専門家から成るaccreditation committeeによって効果のある介入と判定しデータベースに含めて普及を図っている。オランダには、約400の自治体があるが、そのうちの100以上の自治体が、この6,7年間で導入している。現在、エビデンスを確認するための研究が進行している。
■感想・考察 子ども・若者支援に関する、有効なエビデンスの蓄積・普及、そして、エビデンスに基づく実践の支援を行う、知識センターである。今の日本に、まさに欠けている機関であり、このようなものがオランダにあるということは刺激となった。印象的であったのは、子ども・若者支援にあたって、ハイリスクに焦点を当てたターゲット・アプローチではなく、ポジティブな予防的サービスを中心とするポピュレーション・アプローチを中核においていることである。子ども・若者を問題と見るのではなく、「正常な」発達の対象として支援するポピュレーション・アプローチが採用されているのは、(おそらく)費用対効果がよいばかりでなく、児童の権利やアクティブ・シチズンシップの考え方とも相性がよいからであろう。

地域教育訓練センター(Regional Opleidingen Centrum = ROC)

2011年海外調査11月【オランダ】②

訪問日:2011年11月7日、13:00~15:00 訪問場所:Frijlemaborg 141 Amsterdam 1102 CV Amsterdam 担当者:Mr.Johan de Jong (member central supporting staff) 社会的包摂のテーマ担当 Mr Dirk Huiberts (member central supporting staff)


 ●概要 ROC(地域職業教育センター)とは、職業・専門的な後期中等教育とともに成人一般教育、成人職業教育を行う、地域密着型の教育機関。社会生活および個人生活を充実させることを目的に、第2言語としてのオランダ語のコースを成人一般教育の一環として提供している。オランダ人の中等、高等職業訓練学校であるだけでなく、移民がオランダ永住権を取得する際義務付けられている、オランダ市民化コースもここで実施されてる。 ROCは民間機関であるが、オランダの公的な教育体系の下にあり、地方と国家行政からの財源で運営されている。ROCはイギリスの上級教育カレッジ、アメリカのコミュニティ・カレッジにあたります。アムステルダムとフレヴォラントで66カ所の校舎で32,454人が学んでおり、中等職業教育(MBO)の8%を占めていている。2,780人のフルタイムスタッフが働いている。

 ●設立の経緯・背景 オランダは、多くの移民を入れ、社会参加を掛け声にギルド(徒弟制度)主体から公の教育機関主体の人員参加の職業教育を推し進めてきた。国際競争が激化していた1996年、職業教育法 (WEB : Law and Vocational Education) が導入され、幅広い実践的な国民教育がスタートした。対象は、特に層の厚い中等職業教育 (MBO : Secondary Vocational Education) で国内70カ所で実施している地域職業教育センター (ROC : Regional Education Centre) はその最も大きい職業教育実施機関である。 ※「職業教育と教育に関する法(WEB)」 1996年1月1日に実施された職業教育と教育に関する法(WEB)は、従来までの様々な種類の二次的な職業教育と成人教育を一本化し、初期職業教育と訓練、またその後の教育と訓練を一般教育とは別に強化し浸透させることを目的にした。これまでの数々の小規模の教育訓練を統合し、大きな地域ごとに集積したことは、職業教育システム上で大きな意味を持つ。また、この法律で国内の統一された資格システムが確立したことも大きな意味を持つ。 

●オランダの職業教育 ※全体的説明はノバ・カレッジでの説明と重なるので割愛 オランダでは12歳の時点で進路選択があり、職業教育におよそ60%、一般教育に40%がすすみ、ヨーロッパでも早い決断が迫られる。VMBO(中等職業準備教育)から一般教育への進学は難しいが、逆への移行は簡単である。MBOは労働市場への労働力の主要な供給機関であり、経済の基礎、社会の支柱と見なされている。オランダの労働人口のおよそ40%が職業コースを少なくとも第2の職業訓練レベルまでをやり遂げている。 現在、630,000人の学生がMBOで教育や訓練に参加しており、その内485,000人が正規の職業教育コースに在籍している。残りは成人教育プログラムに参加している。政府はこの部門に毎年2,60億ユーロ-を投資しており、その額は教育総予算のおよそ12%を占めている。 

●ROCのコースと職業資格 ビジネス、コミュニケーション、社会福祉・健康ケア、スポーツ、技術、ホテル・ケータリング・レストラン研究、旅行、パン・菓子、航空整備、ファッションと美容、その他成人教育、準職業訓練コースがある。それぞれに4段階のレベルに分類されており、レベル2以上が職業資格となる。ROCにおけるその比率は以下のようになっている。 レベル1 資格なし    3.8% レベル2 最低の資格   25.7% レベル3 スペシャリスト 26.2% レベル4 高等教育に接続 44.3% セントラルヒーティングの管理者や大工さんのような技術職と介護職は労働力不足でレベル2からでも仕事がある。 フルタイムで職業訓練を受講する学生の他、パートタイムの学生は有給で働いていて、その労働は専門科目の実習としてカウントされ教育課程に組み込まれている。また、学校基本コースでは学習期間の20%から60%が実習に当てられ、仕事基本コースでは学習期間の60%以上が実習に当てられている。

 ●社会的包摂政策 移民グループへの特別な教育はないが、オランダ人との間には教育チャンスに大きな違いがある。オランダ人のおよそ70%が一般教育コース(VWO/VWO)に進み30%が職業教育コース(VMBO)に進むが、スリナム人、トルコ人、モロッコ人などの移民グループはその反対の比率である。そして、その職業教育コースから早期に離脱する者も多く、彼らを職業訓練コースへと連れ戻すことが社会的包摂政策として取り組まれている。 ROCの2007から2011年の目標は、毎年学校早期離学者を10%削減し、2011年には2007年以前の40%までに削減することである。その結果、2005-06年には2890人だったのが2010-11年には1984人で31.3%削減することができた。 ここでは厳しさと保護の両面からの社会的包摂政策が行われているが、早期離学者を組み伏せるために、学校を休むすべての学生は地方当局に報告され担当役人から厳しく指導を受ける。移民の者の帰国時に子どもも同行させる親も罰せられることになる。一方では、学生の3分の1は学業を続けることは加重負担であり、コーチを増員して学習の進展や、将来不安や家族問題への援助やケアをすすめている。