訪問先名称:ハジャセンター Haja Center (ソウル市青少年職業体験センター)
訪問日時:2011.2.28
1999年12月 正式名 ソウル市青少年職業体験センター
1997年 金融危機 失業者 30代-50代が家庭を守れない
その子どもたちである、青少年の行き場がなくなる
それ以前から、青少年の間には、画一的な教育への反発
ソウル市から公募があり、延世大学が応募した
ハジャとは、何々を「~をしよう、やろう」という意味、ダイナミックでアクティブなので付けた
ハジャセンターの全般的文化
仇名文化 全員が別称で呼び合う
韓国社会は、年齢や性別、肩書きによる上下関係にこだわる傾向がある
ハジャセンターは、様々なプロジェクトに取り組むため、水平的(平等)な関係をつくる必要がありあだ名文化とした
7つの約束(ハジャには入る(青少年含む)すべての人が守る約束)
- したいことはする しなければならないことはしない
- 年齢、性差別、学歴差別、地域差別をしない
- いかなる形の暴力もダメ
- 人に迷惑をかけない/自分のことは自分でする
- 情報でずるいことはしない 情報は共有する
- 人の立場に立って考える
- 約束は守る/守れない約束はしない
ハジャプロジェクト
- 創意教育
- 青年創業支援 社会的企業支援
- 代案教育
- 社会的企業
運営構造
- 委託 延世大学(ソウル市から委託を受けるには財団法人格が必要であったから)
- ソウル市から支援金を得ている(延世大学と市が契約)
- ハジャセンターは延世大学に縛られることなく自立的な運営をしている
- 労働部から、社会的企業の人件費を得ている
- 「ともに働く財団」と、社会的企業のインキュベーションをしている
創意教育
C-Plat 目的 共同体の価値を再発見する
討論・キャンプ・セミナーなどをする
例えば「もしかして~なの?」プロジェクト
創意的人生とは何か
特別セミナーを用意する
創意的職業体験プログラム
芸術的・文化的なものへの参加 例 写真
したいことをしながら生きていく
日・週・月単位でプログラムがある
代案教育
フリースクール 具体的な体験と実践を大切にする
3つの哲学
① 経験を通じて学ぶ
② 問題解決を通じて学ぶ
③ 自己主導的に学ぶ
以上3つの哲学をもとに4つのフリースクールがある
①ハジャ作業場学校
ハジャセンターの中で一番歴史が長い
②錬金術師学校
韓国で初めての都市型のフリースクール 非認可で不登校の子どもたちを対象
ヤングシェフ
オーガニゼーション料理という団体が支援
ロードスコーラ
トラベラーズマップという社会的企業が運営
社会的創業プロジェクト
フリースクールで学んだことが活用できていない
活用するために、社会的企業という形に出会った
青少年の初職として、文化・芸術分野に進出
2009年に10件のプロジェクト
現在は、話し手、眼、リブランク、トラベラーズマップ、エコウェディングなどは、社会的企業として認証済み
残り二つが、認証をもらうために努力中
社会的企業
●ノリダン 代表的
公演 教育 公共デザイン
仕事をしながら学ぶ
音楽やダンスに対する興味を企業にしていく
ハジャセンターで初めて2007年認証を取った
●オーガニゼーション 料理
2番目のプロジェクト
青少年対象の料理イベントから始まった
韓国人と結婚した女性を中心に
やっていること
ケイタリング
カフェ・レストラン創業
給食
ワークショップ
ヤングシェフの運営もしている
館内ツアー
●説明を受けた部屋の隣の部屋
ワークショップ、セミナー、公演をする
●エコ・ウェディング
環境に優しいことを目指す 社会的企業
結婚式の環境被害は大きい そこでorganic な材料を用いる
本来の会社名は、sewing for the soil
●運営支援部
・火曜から土曜に人が多い
●応接ルーム
・ここの社会的企業の一覧
○映画製作会社 ヌーン(眼の意味)
yoojaa salon 青少年と一緒に大衆音楽
もとは、momon companie というインディーバンド
去年から、ニートひきこもりのためのプログラム
音楽を通じて、人と人とのコミュニケーションを図る
音楽や楽器には、人とはなさなくても、コミュニケーションできるという特性がある
プログラムに招き、まず、講師と一対一の関係をつくり、徐々に他の人との関係をつくっていく
○Bookteller’s Quit
ストーリーで公演する
本を読むだけでなく、においをかぐといった、いろいろな活動を織り交ぜる
○Brasstong
今はなくなった
○3つの豆粒
「都市と農村をつなぐ」がテーマ
エコキャンプ、有機栽培の野菜を都会で売る、有機レストランに納める
●企画1チーム(の部屋)
10代~20代の青少年教育 創意教育担当
●企画チーム(の部屋)
内外のネットワークをつくる
●999クラブ(部屋の名前)
1999年にインチョンの居酒屋で、火災があり、たくさんの若者がなくなった。
この事件は、学校にも居場所がなく、家にも帰れない若者がいることの象徴となった
そこで、999クラブは、自分たちだけで遊べる場として設けられた
セミナー、フォーラムなどを開ける
●大きな部屋
999クラブを除けば一番の大きな部屋 セミナー、公演などを行う
●一階
いるかのオブジェ(影絵になっている)
いるかは、ハジャセンターのシンボル
南極から何カ月も食べずに旅してくる
目的地に着くと食べて歌を歌いながら到着を祝う
人間の耳には歌は聞こえない
青少年もいるかと同じ
彼らは存在しているが、存在していないわけではない
彼らは信号を発しているが、大人は気づいていない
錬金術師
2004年スタート
若者はいろんな悩みを抱えているが、貧困こそ問題である
そこで、自ら自活できるプロジェクトを考えたい
●コンセプト:
ここは、学校であり職場である
学校という枠を外れた、社会であり、職場をつくる
社会では、二極化が進んでいる 貧困と学歴社会化が進行している。
しかし、貧困であると学歴社会化についていけないので、仕事にもつけない
●錬金術師の考え方:
他人と会って初めて「金」がつくれる
そして、自分の人生の錬金術師になる
仕事ができるチャンスを与え、成長してもらい、お金を稼げる
最終的には、低所得層の進路教育を行い、自立基盤を構築するプロジェクト
「美しい財団」と連携して運営している
●やっていることは二つ
①仕事(生産する): 創意的起業家精神と問題解決の力 ケアできる大人がいる店
創業 カップケーキの店 各国ではやっているので
有機栽培野菜の店(お弁当)・おかずや
地域コミュニティ形成 地域の人とのコミュニケーションが行われる
②学習(学ぶ): 人生の回復・活動力の増進
職場を土台にした、ダンス・歌、事務経営教育、身体づくり
●目標
三分野 システムづくり・職場づくり・成長支援
職場づくり 錬金術師会社
2011 直接運営2か所 協力運営2か所 合わせて30人
2012 直接運営3か所 協力運営3か所 合わせて50人
システムづくり
2011 短期・中期の職場開発
短期: いろんな料理ができるように
中期: 創業に向けての準備
創業できるように、職場学習のカリキュラム化(マニュアル開発)
起業家の育成をする
仕事の斡旋
2012 青少年自立の自活システムの構築 横浜のK2も参考にする
マニュアルを実際に運用する
●事業: 全体として、自立・自活を支えるシステムづくり
○直営事業
2種類あり、それをまず成功させて支店を増やしていく
専門家の参加を図る
将来は、社会的企業として進化する予定 ソウル市の雇用労働部と協調する
もうけは、「美しい財団」に戻す 将来は、新しい財団をつくる
○間接事業
インターンシップ 進路事業
○賃金
最初の一ヵ月は、研修中 給料なし その後、労働契約を結び、最低賃金を払う
若者は、社会福祉士、自立施設、フリースクールなどから、紹介を受ける
若者は、面接、書類審査、一ヵ月の試用期間などを通じて、選抜する
現在、20人募集したうちの9人が残っている
(男6(?)人 女4(?)人 平均20歳 学歴は高校中退)
やめた理由は、内容が期待と違ったから。
創業するときには、3か月分の給料がもらえる
○スタッフ
教育学専攻1名 社会学専攻1名 フリーターから2名
オーガニゼーション 料理
設立者 1999年の設立時点から、ハジャセンターで働いている(今は、起業して独立)
専攻は美術 青少年のアート作品を、ハジャセンターで試みに販売した経験がある
この経験から、自分のしたいことを、食べていけることにしなければダメと感じた
ノリダンは、青少年が食べていけるが、どうやったら青少年が食べていけるのかを考えた → 青少年が興味のある料理なら入りやすいと考えた
●基本原則
① 現場ですべてを学ぶ
② 体験と経験を通じて学ぶ まずやってみる
③ 五感で学ぶ
④ 自らプログラムを企画し運営する
⑤ 成長した姿を披露する
●ビジョン
① 働きながら学ぶ現場モデルの開発
② インターン 自立対策
③ 青年レストラン創業
イギリスのシェフ(ジェイミー・オリバー)のレストラン「フィフティーン」が一つのモデル
しかし、そのようなスターシェフは見つけるのが難しく、料理運動家もいない
そこで、やりたい人(女性、青少年)によって始めた
ハジャセンターと労働部の支援を受けて、多文化をキーワードに、多文化料理を始めた
また、国際結婚をした移住女性が働けるように、託児所を設け、それに配慮した企業文化をつくることにした
●スタッフ 30人
ホテルや専門の店を経験した人 5人
移住女性 6人
保育担当者
結婚してキャリアが途絶えた女性
若者(20~29歳)など
親がいない・親と連携が取れない青少年を優先
●収益事業と非収益事業のバランスを取りながら進める
○収益事業
ハジャセンター外に、レストランを経営(3月につくる)
ハジャセンター内に、カフェとレストランを経営
ケータリングも行っている
4月にはコミュニティカフェをつくる予定
インターンシップの場とするほか、食文化教室を開いたり、家庭菜園を屋上につくって子どもに野菜をつくってもらったり、有機野菜をうったりする予定
○非収益事業
一昨年から、募金を集めて、青少年の料理教育開始(ヤング・シェフ)
ヤングシェフ(今年9人: 男性5人 女性4人)
レストラン/カフェの運営を学ぶ
料理実習を月2回 料理を学ぶのが目的ではない
国産食材の大切さ スローフードについて学ぶ
対象の若者は、持続的学習経験があまりないので、3か月から6カ月はインターンをすることになる
ヤングシェフは、1年間。継続することもできるし、就職・進学・創業もできる
オーガニゼーション料理との質疑応答
●ハジャセンターのスタッフで独立したケース
ほかには、ノリダン、トラベラーズマップ、話し手
●青少年は経験がないので、彼らが創業するのはリスクが大きい
各分野の専門家がメンバーになることが大事
●ネットワークを通じて、仕事に必要な技術を教える
必要なのは技術だけではなく、以下の目標が必要
一人のためにお膳立てができる料理人
疲れた人のためにスープがつくれる???
人を幸せにするマジシャン
人と人とのコミュニケーションを大切にするコミュニケータ
学んだことを共有する教育者
健康は食文化であることを伝える伝道師
料理で世の中を変化させる、まちの料理人
●外部からの持ち込み企画は今のところない
これから、青年インキュベーション事業として行っていく
●ハジャセンターに関連する社会的企業
月一回会議を持ってネットワーキングパーティをしている
社会的企業の関係者に限らず、ハジャセンター以外の人々(弁護士、労務士、税理士など)も集まる
●ハジャセンターについて
収入 ソウル市からの補助が70%
残り30%
寄付(企業、社会福祉共同募金など)
収益(講演料など。これを大きくしていきたい)
寄付は進捗状況が悪いと打ち切りになることもある
例 ヤングシェフの青年インターンシップは、3年計画のはずだったが、
数字で評価され、1年で打ち切りになった
延世大学のものではない 延世大学からは独立している
延世大学財団の青年文化院に属している
財団が、ソウル市からのお金の受け皿になっている
スタッフは年俸制、1年契約。人数は30人。
他の地域にも広げるという話はあるが、現実には動いていない
発足について
1998年に延世大学の教授が、学界・文化界の人を集めて、
創作と代案事業をすることで、貧困な若者支援をしようと考えて、
ソウル市に提案して実現した。この建物は、もともとソウル市の青少年センターで、
ソウル市内には、青少年施設が24あり、そのうち、
ハジャセンターのように特化した施設が4つある。