2011年7月12日火曜日

ハジャセンター

2010年度3月海外調査(韓国) [NO.3]


訪問先名称:ハジャセンター Haja Center (ソウル市青少年職業体験センター)
訪問日時:2011.2.28


1999年12月  正式名  ソウル市青少年職業体験センター

1997年  金融危機  失業者  30代-50代が家庭を守れない
その子どもたちである、青少年の行き場がなくなる
それ以前から、青少年の間には、画一的な教育への反発
ソウル市から公募があり、延世大学が応募した
ハジャとは、何々を「~をしよう、やろう」という意味、ダイナミックでアクティブなので付けた

ハジャセンターの全般的文化

仇名文化  全員が別称で呼び合う
韓国社会は、年齢や性別、肩書きによる上下関係にこだわる傾向がある
ハジャセンターは、様々なプロジェクトに取り組むため、水平的(平等)な関係をつくる必要がありあだ名文化とした

7つの約束(ハジャには入る(青少年含む)すべての人が守る約束)

  • したいことはする  しなければならないことはしない
  • 年齢、性差別、学歴差別、地域差別をしない
  • いかなる形の暴力もダメ
  • 人に迷惑をかけない/自分のことは自分でする
  • 情報でずるいことはしない  情報は共有する
  • 人の立場に立って考える
  • 約束は守る/守れない約束はしない

ハジャプロジェクト

  • 創意教育
  • 青年創業支援  社会的企業支援
  • 代案教育
  • 社会的企業

運営構造

  • 委託  延世大学(ソウル市から委託を受けるには財団法人格が必要であったから)
  • ソウル市から支援金を得ている(延世大学と市が契約)
  • ハジャセンターは延世大学に縛られることなく自立的な運営をしている
  • 労働部から、社会的企業の人件費を得ている
  • 「ともに働く財団」と、社会的企業のインキュベーションをしている

創意教育

C-Plat  目的  共同体の価値を再発見する 
  討論・キャンプ・セミナーなどをする
  例えば「もしかして~なの?」プロジェクト
  創意的人生とは何か
  特別セミナーを用意する

創意的職業体験プログラム
  芸術的・文化的なものへの参加  例  写真
  したいことをしながら生きていく
  日・週・月単位でプログラムがある

代案教育

フリースクール  具体的な体験と実践を大切にする

3つの哲学 
  ①  経験を通じて学ぶ 
  ②  問題解決を通じて学ぶ
  ③  自己主導的に学ぶ

以上3つの哲学をもとに4つのフリースクールがある
  ①ハジャ作業場学校 
    ハジャセンターの中で一番歴史が長い
  ②錬金術師学校 
    韓国で初めての都市型のフリースクール  非認可で不登校の子どもたちを対象
  ヤングシェフ
    オーガニゼーション料理という団体が支援
  ロードスコーラ
    トラベラーズマップという社会的企業が運営

社会的創業プロジェクト

フリースクールで学んだことが活用できていない
活用するために、社会的企業という形に出会った
青少年の初職として、文化・芸術分野に進出
2009年に10件のプロジェクト
  現在は、話し手、眼、リブランク、トラベラーズマップ、エコウェディングなどは、社会的企業として認証済み
  残り二つが、認証をもらうために努力中

社会的企業

●ノリダン  代表的
  公演  教育  公共デザイン
  仕事をしながら学ぶ
  音楽やダンスに対する興味を企業にしていく
  ハジャセンターで初めて2007年認証を取った

●オーガニゼーション  料理
  2番目のプロジェクト
  青少年対象の料理イベントから始まった
  韓国人と結婚した女性を中心に 
  やっていること
    ケイタリング
    カフェ・レストラン創業
    給食
    ワークショップ
  ヤングシェフの運営もしている

館内ツアー

●説明を受けた部屋の隣の部屋
ワークショップ、セミナー、公演をする

●エコ・ウェディング
環境に優しいことを目指す  社会的企業
結婚式の環境被害は大きい  そこでorganic な材料を用いる
本来の会社名は、sewing for the soil

●運営支援部
・火曜から土曜に人が多い

●応接ルーム
・ここの社会的企業の一覧
  ○映画製作会社  ヌーン(眼の意味)
    yoojaa salon   青少年と一緒に大衆音楽 
    もとは、momon companie というインディーバンド
    去年から、ニートひきこもりのためのプログラム
    音楽を通じて、人と人とのコミュニケーションを図る
    音楽や楽器には、人とはなさなくても、コミュニケーションできるという特性がある
    プログラムに招き、まず、講師と一対一の関係をつくり、徐々に他の人との関係をつくっていく
  ○Bookteller’s Quit
    ストーリーで公演する
    本を読むだけでなく、においをかぐといった、いろいろな活動を織り交ぜる
  ○Brasstong
    今はなくなった
  ○3つの豆粒
    「都市と農村をつなぐ」がテーマ
    エコキャンプ、有機栽培の野菜を都会で売る、有機レストランに納める

●企画1チーム(の部屋)
  10代~20代の青少年教育  創意教育担当

●企画チーム(の部屋)
  内外のネットワークをつくる

●999クラブ(部屋の名前)
  1999年にインチョンの居酒屋で、火災があり、たくさんの若者がなくなった。
  この事件は、学校にも居場所がなく、家にも帰れない若者がいることの象徴となった
  そこで、999クラブは、自分たちだけで遊べる場として設けられた
  セミナー、フォーラムなどを開ける

●大きな部屋
  999クラブを除けば一番の大きな部屋  セミナー、公演などを行う

●一階
  いるかのオブジェ(影絵になっている)
  いるかは、ハジャセンターのシンボル 
    南極から何カ月も食べずに旅してくる 
    目的地に着くと食べて歌を歌いながら到着を祝う
    人間の耳には歌は聞こえない
    青少年もいるかと同じ
      彼らは存在しているが、存在していないわけではない
      彼らは信号を発しているが、大人は気づいていない

錬金術師
2004年スタート
若者はいろんな悩みを抱えているが、貧困こそ問題である
そこで、自ら自活できるプロジェクトを考えたい

●コンセプト:
ここは、学校であり職場である
学校という枠を外れた、社会であり、職場をつくる
社会では、二極化が進んでいる  貧困と学歴社会化が進行している。
しかし、貧困であると学歴社会化についていけないので、仕事にもつけない

●錬金術師の考え方:
  他人と会って初めて「金」がつくれる
  そして、自分の人生の錬金術師になる
仕事ができるチャンスを与え、成長してもらい、お金を稼げる
最終的には、低所得層の進路教育を行い、自立基盤を構築するプロジェクト
「美しい財団」と連携して運営している

●やっていることは二つ
①仕事(生産する):  創意的起業家精神と問題解決の力  ケアできる大人がいる店
創業  カップケーキの店  各国ではやっているので
有機栽培野菜の店(お弁当)・おかずや 
地域コミュニティ形成  地域の人とのコミュニケーションが行われる
②学習(学ぶ):  人生の回復・活動力の増進
職場を土台にした、ダンス・歌、事務経営教育、身体づくり

●目標
三分野  システムづくり・職場づくり・成長支援
職場づくり  錬金術師会社
  2011  直接運営2か所  協力運営2か所  合わせて30人
  2012  直接運営3か所  協力運営3か所  合わせて50人
システムづくり
  2011  短期・中期の職場開発
    短期:  いろんな料理ができるように
    中期:  創業に向けての準備
    創業できるように、職場学習のカリキュラム化(マニュアル開発) 
    起業家の育成をする
    仕事の斡旋
  2012  青少年自立の自活システムの構築  横浜のK2も参考にする
    マニュアルを実際に運用する

●事業:  全体として、自立・自活を支えるシステムづくり
○直営事業
  2種類あり、それをまず成功させて支店を増やしていく
  専門家の参加を図る
  将来は、社会的企業として進化する予定  ソウル市の雇用労働部と協調する
  もうけは、「美しい財団」に戻す  将来は、新しい財団をつくる
○間接事業
  インターンシップ  進路事業
○賃金
  最初の一ヵ月は、研修中  給料なし  その後、労働契約を結び、最低賃金を払う
  若者は、社会福祉士、自立施設、フリースクールなどから、紹介を受ける
  若者は、面接、書類審査、一ヵ月の試用期間などを通じて、選抜する
  現在、20人募集したうちの9人が残っている 
  (男6(?)人  女4(?)人  平均20歳  学歴は高校中退)
  やめた理由は、内容が期待と違ったから。
  創業するときには、3か月分の給料がもらえる
○スタッフ
教育学専攻1名  社会学専攻1名  フリーターから2名

オーガニゼーション  料理

設立者  1999年の設立時点から、ハジャセンターで働いている(今は、起業して独立)
  専攻は美術  青少年のアート作品を、ハジャセンターで試みに販売した経験がある
  この経験から、自分のしたいことを、食べていけることにしなければダメと感じた
  ノリダンは、青少年が食べていけるが、どうやったら青少年が食べていけるのかを考えた  →  青少年が興味のある料理なら入りやすいと考えた

●基本原則
①  現場ですべてを学ぶ
②  体験と経験を通じて学ぶ  まずやってみる
③  五感で学ぶ
④  自らプログラムを企画し運営する
⑤  成長した姿を披露する

●ビジョン
①  働きながら学ぶ現場モデルの開発
②  インターン  自立対策
③  青年レストラン創業
  イギリスのシェフ(ジェイミー・オリバー)のレストラン「フィフティーン」が一つのモデル
  しかし、そのようなスターシェフは見つけるのが難しく、料理運動家もいない
  そこで、やりたい人(女性、青少年)によって始めた
ハジャセンターと労働部の支援を受けて、多文化をキーワードに、多文化料理を始めた
また、国際結婚をした移住女性が働けるように、託児所を設け、それに配慮した企業文化をつくることにした

●スタッフ  30人
  ホテルや専門の店を経験した人  5人 
  移住女性  6人
  保育担当者
  結婚してキャリアが途絶えた女性
  若者(20~29歳)など
    親がいない・親と連携が取れない青少年を優先

●収益事業と非収益事業のバランスを取りながら進める
○収益事業 
  ハジャセンター外に、レストランを経営(3月につくる)
  ハジャセンター内に、カフェとレストランを経営
  ケータリングも行っている
  4月にはコミュニティカフェをつくる予定
  インターンシップの場とするほか、食文化教室を開いたり、家庭菜園を屋上につくって子どもに野菜をつくってもらったり、有機野菜をうったりする予定
○非収益事業
  一昨年から、募金を集めて、青少年の料理教育開始(ヤング・シェフ)
  ヤングシェフ(今年9人:  男性5人  女性4人)
    レストラン/カフェの運営を学ぶ
    料理実習を月2回  料理を学ぶのが目的ではない
      国産食材の大切さ  スローフードについて学ぶ
      対象の若者は、持続的学習経験があまりないので、3か月から6カ月はインターンをすることになる
    ヤングシェフは、1年間。継続することもできるし、就職・進学・創業もできる

オーガニゼーション料理との質疑応答

●ハジャセンターのスタッフで独立したケース
  ほかには、ノリダン、トラベラーズマップ、話し手

●青少年は経験がないので、彼らが創業するのはリスクが大きい
  各分野の専門家がメンバーになることが大事

●ネットワークを通じて、仕事に必要な技術を教える
  必要なのは技術だけではなく、以下の目標が必要
    一人のためにお膳立てができる料理人
    疲れた人のためにスープがつくれる???
    人を幸せにするマジシャン
    人と人とのコミュニケーションを大切にするコミュニケータ
    学んだことを共有する教育者
    健康は食文化であることを伝える伝道師
    料理で世の中を変化させる、まちの料理人

●外部からの持ち込み企画は今のところない
  これから、青年インキュベーション事業として行っていく

●ハジャセンターに関連する社会的企業
  月一回会議を持ってネットワーキングパーティをしている
  社会的企業の関係者に限らず、ハジャセンター以外の人々(弁護士、労務士、税理士など)も集まる

●ハジャセンターについて
  収入  ソウル市からの補助が70% 
  残り30%
    寄付(企業、社会福祉共同募金など)
    収益(講演料など。これを大きくしていきたい)
    寄付は進捗状況が悪いと打ち切りになることもある
    例  ヤングシェフの青年インターンシップは、3年計画のはずだったが、
        数字で評価され、1年で打ち切りになった
  延世大学のものではない  延世大学からは独立している
    延世大学財団の青年文化院に属している
    財団が、ソウル市からのお金の受け皿になっている
  スタッフは年俸制、1年契約。人数は30人。
    他の地域にも広げるという話はあるが、現実には動いていない
  発足について
  1998年に延世大学の教授が、学界・文化界の人を集めて、
  創作と代案事業をすることで、貧困な若者支援をしようと考えて、
  ソウル市に提案して実現した。この建物は、もともとソウル市の青少年センターで、
  ソウル市内には、青少年施設が24あり、そのうち、
  ハジャセンターのように特化した施設が4つある。




社会的企業「TOUCH 4 GOOD」

2010年度3月海外調査(韓国) [NO.6]


訪問先名称:社会的企業「TOUCH 4 GOOD」
訪問日時:2011.3.1



1 創業の経緯 2008年創業
代表のパーク・ミヒョンさんは大学生の時に、オルタナティブ(代案的)な社会をつくり、青年の抱える問題を解決することを目的とする、インカレのサークル「タクタス」に所属していた。当時、大統領が交代し、社会的企業法が制定され、それに合わせて、サークル主催で青年対象の社会的企業のセミナーを主催した。
パーク・ミヒョンさんがいたグループで、社会的企業のあり方を検討したところ、以下の3点のコンセプトを決定した。①環境問題を解決する。②使えるものをつくる。③利益は社会福祉へ寄附する。
韓国では横断幕はあらゆるイベントで大量に制作、廃棄されている。これらをいかに減らしていくのかをグループのテーマとした。

全国で行われる地方選挙1日で使用される横断幕の総計を試算した。1地域に5名の候補者、ひとつの横断幕の大きさが10㎡、国に3487自治体で合算すると、合計52833.3坪、サッカー場25個分となった。
横断幕の削減をテーマに取り入れたリサイクル事業は我々が初めてではなかった。ではその発想はよかったが、なぜ成功できなかったのかを分析した。
①商品がかわいくない ②種類が少ない ③品質が良くない→素材をよく活かしていない ④販路が確立されていない

以上の検討の成果を発表して、セミナーは終了した。周囲からは、素晴らしい発想だと評価を得た。大学生のセミナーだったので、それで終わるはずだった。メンバーの3人は親しい関係でもなかったが、時折、お互いに電話をして、アイデアを実行してみないかと話をした。そして連絡を取り合って2か月経ったある日、チャレンジしてみようと決断した。当時、大手企業の起業支援「才能の寄附」の公募があった。支援期間は6ヶ月。だったら6ヶ月だけやってみようと思った。それがTOUCH4GOODの始まりだった。
当初、発足メンバーにデザイナーがいなかったため、工場に依頼に行っても相手にしてもらえなかった。そのために、たったひとつの商品を作り上げるのに4ヶ月かかった。その経験は後の活動に活かした。専門知識を得るために大学の講座やトンデムン市場に通い、必要なことを学んだ。

2 企業理念
(1)UP cycling T4Gのブランド名
より良いものをつくる賢いリサイクル。価値があるものに変える

(2)企業名の由来
GOODは良い、商品のふたつの意味を持つ。リサイクルにタッチすることで、いい商品をつくれると思い、命名した。

(3)宇宙にひとつしかない商品
企業が良い活動をしているから商品を買おうということではなく、みんなから愛されるような宇宙でひとつしかない商品をつくろうという結論に達した。
多様な商品ができるから、特別なストーリーができる。


3 企業概要
リサイクルをテーマにした青年ベンチャー、社会的企業。リサイクル系の少女時代といわれている。

(1)スタッフ
10名のスタッフ(女性9名 男性1名)は全員20代。実行力とアイデアにあふれている。反面、まだ経験不足で専門性が足りない。若いので、交渉の際に相手にしてもらえないこともある。
10名では手狭なオフィスだが、みんなで集まって仕事をしている。皆で一緒に話して一体感を持つと同時に、問題を迅速に解決する環境をつくるため。
6ヶ月前に5名のスタッフを増員した。10人の社員数に対して、それに見合った収益につなげるために5~6ヶ月は必要とみていた。新メンバーは経験が少ないので、経験を積んでほかのメンバー同様に戦力になるのにはまだしばらく時間がかかると思う。

(2)ビジョン
消費者が商品を手に取った時に、「かわいいね」ではなく、「横断幕をどうしたらいいのか」と考えてもらえるようにしていきたい。理想は、無駄な横断幕がなくなって、自分たちの会社の存在理由がなくなるようになることである。

4 3つの事業部の活動
(1)ファッション事業部
①概要
NPOや学校から横断幕を寄贈を受け、収集して洗濯する。スタッフでデザインをつくり、製品は自活センターに発注する。収益の5%をアトピーの子どもたちに寄付している。
②販路
  • オンラインショップ
  • オフライン販売 ショップに納品するか、ショップのスペースの一部を借りて販売している
  • 香港や日本の環境ビジネスイベントに出店。北九州の環境博物館には年2回訪問している。
③T4G遊び 市民との協働ワークショップ
ホームページで毎月5名募集。屋上に大きな広告板を置いて参加者全員で何ができるか考え、アイテムを作成した。毎月、扱う素材が変わる。先月はプラスチック製の花札でイヤリングを作った。

(2)クリン ソルション部
  • 行政やマスコミの環境キャンペーンに参加し、成功するためのアイデアを提案し、T4GをPRする。
  • NBC環境ドキュメンタリー「北極の涙」、「アフリカの涙」はT4Gが唯一、ライセンス契約を結んでいる


(3)都市型環境事業部
  • 韓国では人口の大半が都市部に集中している。都市部への一極集中から起こる環境問題についての教育活動を実施。
  • リサイクルでの教育
横断幕を利用した自分だけのオリジナルグッズの作成(筆箱など)
環境関連クイズおよびチーム活動

5 マネジメント
(1)インキュベーションセンターからの支援
T4Gはインキュベーションセンターで社会的企業としてサポートを受けていた。一番良かったことは、社会的企業として経験不足な点を補ってくれる相談相手(メンター)がいたこと。

(2)社会的企業の条件と資金援助
国や自治体からは人件費や宣伝費の支援を受けている。ソウル型社会的企業に認定されているので、事業基準はソウル市が出している指定表に基づいていて、国の労働部が指定する社会的企業の8つの基準は満たしていない。ソウル市からの資金援助としては1年間人件費が支給される。基準は国が指定する最低賃金と同じ。

(3)給与
政府が指定する最低賃金で支給している。代表はそれより安い。起業当初に比べると少しずつ給与は増えてきているが、豊かな生活はできない。

(4)収入と支出
毎月800万ウォンの売上。純利益は残らない。ソウル市の支援は4月で打ち切りなので今年は転換期になると思っている。家賃は毎月50万ウォン、再開発地域なので家賃が安い。ソウル市内でこの広さでこの値段は安い。机は全て拾ったもの。パソコンはリサイクル企業から買ったもの。

(6)自活センターとの関係
自活センターが先駆けて横断幕を使ったリサイクル商品をつくっていたが品質が悪くて売れなかった。今は自活センターの製品作成の能力と、T4Gの企画デザイン力を活かして、お互いにWINWINの関係が築けている。全国の自活センターや主婦の工房から問い合わせの電話がくる。


6 商品解説
  • 商品の価格は800~69000ウォン。
  • オフィスでの購入も可能。倉庫は別にある。
  • 素材として主に横断幕と広告板を利用
  • エコカバンのニーズが増えるとは考えていない。品質のいいカバンでかつエコ的な意味があるのはいいと思う。プラスアルファの価値をもつ品質のいいカバンをまず考えてつくっている。
  • 横断幕をなくすために、カバンという素材を選択した。カバンをつくるために選んだわけではない。それぞれの素材に応じて、商品のラインアップも変わってくる。例えば地図をリサイクルしてノートやパスポートカバーをつくった。
  • 銀行がつくった横断幕を使用してカバンを作成し、銀行の優秀社員に与える賞品にした
(1)「アフリカの涙」カバン
横断幕をリサイクルしてつくったもの、あまったヒモでつくった
NBC「アフリカの涙」環境ドキュメンタリー ライセンス契約している

(2)リバーシブルのカバン
地下鉄の広告横断幕、自転車のチューブやタイヤをリサイクル

(3)カード用財布
内部は服をリサイクル

(4)マウス入れ・ネットブック入れ
地下鉄の看板のリサイクル

(5)ペットボトルのタンブラー入れ

(6)捨てられたキーボードのキーフォルダー

(7)カバン 4年Who?
4年後、4年誰という意味 ワールドカップの横断幕を利用




社会的企業 ソーイング・フォー・ザ・ソイル Sewing for the Soil

2010年度3月海外調査(韓国) [NO.7]


訪問先名称:社会的企業 ソーイング・フォー・ザ・ソイル Sewing for the Soil
訪問日時:2011.3.2


【エコ・ウエディングの概要】
はじめに3名の社員が自分の経歴を紹介した。
  • Aさん(26歳)  代表の次に参加した。デザイン大学卒業。代表は学校の先輩だが在学中は知らなかった。その後、知人を通して知り参加。オーガニックなデザインという点に興味をもった。
  • Bさん(26歳)  Aさんの友人。社会的企業という点とエコという点に魅力を感じた。Aさんが楽しそうに話してくれたので期待して入った。入ったら半分は楽しいが半分はだまされた感じ。受注すると完了までとても忙しい。
  • Cさん(33歳) 9年間建設会社のインテリアデザイナーとして働いた。グリーンなテーマに関心があった。TVでエコウエディングを知り魅力を感じた。花嫁が緑を導いているというイメージ。社員を採用していることを知って面接に行った。給料にかなりの差があったから決心するのは難しかった。将来のビジョンを見ているので当面はがまんしている。

代表のインタビュー
2010年に社会的企業として認定された。会社名はSowing for the Soil。ブランド名はEco Wedding

韓国の結婚式による環境汚染の実態
年間34万カップルが誕生。400人のお客が参加。年間で13600万人が参加している。
170万枚のドレスが捨てられる。4250ブーケが捨てられる。6800kgの生ごみ。493トンのCo2。4560万本の木が切られる。37600万ドルのお金が無駄になる。
人に悪意があるのかといえばそうではない。たとえば韓国沖の原油流出事故の時には120万人のボランティアが参加した。人が悪いのではなく、エコ的結婚式を知らないからだ。
エコウエディングは世界のどこにも試みがない。
会社を作る前は・・・。自分は服を作る人間なので、初めにとうもろこしを原料にしてドレスを作った。日本のエコプロダクツに参加。東レから資金援助を受けて個人展示会を開催。つぎには、ハンジという草を使ってドレスを作った。ハンジはアンデルセンの童話の白鳥の王子にも出てくる。第二次世界大戦後木綿が普及したため使われなくなった。木綿の栽培には農薬をたくさん使っている。この成果をファッション・ミーというワークショップで知らせた。

エコウエディングの工夫
結婚式の招待状をエコにすることで30872本の木を節約でできる。
ブーケは根をつけたまま使う。
指輪はフェアトレードのダイヤモンドや、リ・ユースのダイヤモンドで作り直す。
結婚式全体のプロデュースをめざしているが、現在は部分的なものが多い。
3000万ウオンのうち400万ウオンが収益。5人のスタッフが分担している。
2006年に第一号の花嫁が生まれた。その後42カップルを手がけた。うち3カップルは無料。貧困家庭の支援。異文化家庭への支援。1回は38度線近くの屋外で実施。ここは生態系が維持されているので、エコのシンボルとして選定した。
各種の会社とパートナーシップを組んでいる。
エコウエディングをして家庭をスタートしたカップルが、その後さらに進化していくことが期待できる。開始して6年になるが、エコウエディングを作るというより、エコライフを作っていると感じている。1-2年はエコ。ウエディング、2-5年はエコ・リビング、2010年はエコ・ライフへ。各段階の商品を開発し、コンサルティングもして生活の方向も変えるという構想をもっている。
その他の成果としては、連携企業・産業が活性化した。オーガニックデザイナーの養成ができた。
マスコミから注目された。フランスのカルティエ公募展でアジアで一位となった。
売り上げは2005年から2010年で、2000ドルから16000ドルへ増加した。2005年から現在まで急増している。問い合わせ数は月2回から300回へ増加。そのうち20~30%が注文に至る。
去年までは結婚式のネットワークを作ることを中心にやってきた。結婚式は20件だった。
通常の結婚式は3000万ウオン(うち食事が2200万ウオン)。エコウエディングもそれをメドにしている。教会や野外でやる場合は式のすべてを請け負う。公共機関に提案している。
ホテルにも提案している。ホテルで開催する場合は、食事などはホテルのもので、それ以外を担当する。音楽、写真などは外注する。
ハジェセンターとは関係なかったが、社会的企業に認証されたのでハジャセンターから部屋を提供された。その代わりにハジャセンターの活動にも貢献するため、ハジャセンターがインキュベーションとしている旅行やレストランと連携している。ここへ移って1ヶ月である。

社会的企業になることのメリット
4人のスタッフの賃金が出る。代表には出ない。最低賃金なので生活がむずかしいため、上乗せしている。国からの補助は3年間で少しづつ減らされる。2005年から2010年の間は代表が2年間就職して貯金したものをすべて使い、所有していたペンション経営で得た収入も使い、ペンションは処分した。

エコウエディングに続いて、12時~13時には、生チョコレート製造・販売で社会的企業を目指す女性チャンチュンの説明を聞いた。
天然発酵チョコレート‘皇后(ファンフ)’の製造・販売をめざしている。
韓国伝統の方法で発酵した高級チョコレート。調味料をいっさい使ってない。

チャンチュンさんの経歴
ベーカリーの商品開発部で働いてきた。資格をもっている。社会的企業に関心があった。パン作を障害者がやるのは難しいが、生チョコ製造なら合っている。脆弱階層型社会的企業を目指す。
生チョコは、天然発酵したチョコレート。香港の会社と共同開発した。ボルネオのカカオ農場をこの会社が持っている。受注してから3日間熟成して作る。賞味期間は1ヶ月。2ヶ月熟成が続くので味が変わる。キムチと同じ。温度によっても違う。

入手資料:天然発行チョコレト‘皇后(ファンフ)’の説明  4p
URL www11036.hanmail.net