2012年12月18日火曜日

社会的企業 イウム



NO.

訪問先名称
社会的企業 イウム
訪問日時
20121022日(日)~23日(月)
場所

先方担当者

先方連絡先

訪問者
宮本、山本、佐藤、津富、新谷、白水、岩本、畑山、白谷


入手資料等

参考URL等

その他参考資料等

1)社会的企業 「イウム」は
文化を通じた地域社会の統合という目的で活動している。
文化というプリズムを通して、私たちの日常生活への関心を新たにして、地域開発のための支配的方法と投資の問題をイシュー化し、新たな地域開発モデルを代案的に提示している。地域の現場活動の具体性が創造性のモチベーションだと信じており、プロバイダの一方的決定によって都市基盤が解釈され、管理されるのが問題だと思って、文化を通じた新たな解釈の可能性を探求している。
2)社会的企業 「イウム」の活動内容
-青年商人プロジェクト:青年モールレアルニュータウン*
-井邑まちの市場活性化プロジェクト
-低迷した旧都心の伝統文化資源を有効に活用し、活力を引き出した韓屋生活体験館の運営
-全州韓屋村の村づくり事業
-在来市場を芸術活動、教育、青年起業家精神と若い感受性が結合する市場に新たに作っていく空の庭プロジェクト
-農村の多様な価値を知らせるためのリサーチ事業
-都市農村交流事業文化拠点づくりなどの地域再生事業
-青春作業所: 低所得層おばあさんたちと青年デザイナーが一緒につくる工房プロジェクト
*青年モールレアルニュータウン
 これは門前盛市(文化を通じた伝統市場の活性化モデル事業) プロジェクトを有効に活用して全州の南部市場で始まった事業。
この門前盛市プロジェクトは商業的に低迷している伝統市場に文化の息吹を吹き込んで、伝統的な市場を地域文化空間であり、日常の観光地として有効にするために、文化体育観光部から2008年から推進しててきた政策事業である。
青年モールレアルニュータウンは門前盛市アカデミーを修了した青年商人たちが直接お店を開いて運営している。全州南部市場だけの伝統的な市場と青年とは余り似合わないと思いますが、非常によく一体となっている独特の雰囲気を感じられる場所で、伝統市場で会う異色の青年店舗15個が全州南部市場の新たな観光スポットとして注目されている。カフェ、ボードゲームルーム、漢方茶屋、カクテルバー、ハンドメイド小物の店、ファッション雑貨店、食虫植物専門店などが運営されており、様々な体験プログラムと一緒に毎週土曜日の夜、ナイトマーケット、公演、ワークショップなどが開かれる。


22日(日)夕方~
社会的企業イウムが支援する南部市場内にある若者モールリアルタウンにて、若者が運営するカフェに集まり、若者達の事業のプレゼンテーションと日本の支援団体の紹介を行った。
*イウム代表 オンソンボックさんからの説明
韓屋村には現在い400万人の観光客が くる町になっているが、2001年に保存地区として合意形成できるまでは、建て替えられ、マンションになる予定だった。
現在は有名になって観光地、商業地化されてしまったが、南部市場を個性的な場にすることで単なる商業地ということになるのを防ぎたいと思っている。
南部市場は80年代にはとても賑わっていた市場。90年代にはさびれてしまい、朝市程度しか使われていなかった。また、98パーセント以上が50代という状態で高齢化が進んでいた。
この場所に多様な主体が関わることで、社会的な生態系づくりをしている。
使われていない場所や時間帯を若者たちの活躍の場にした。
夜の時間をつかって若者たち主催のイベントや出店など。
ゴミ置き場状態になっていた2Fをつかい、若者たちが出店。
育成事業として、起業したい若者をサポートし、様々なものをワークショップ形式で参加。
現在は土日については200パーセント以上の売り上げをあげている。
韓村と市場は分断していたが、現在は連動している。
モールリアルタウン内のカフェにて交流会


*市場でカフェを開業した チョンヨンワさん
昨年5月にこの青年モールの話をきき、プロジェクトに応募。
以前は観光広告の仕事をしていた。全州在住。
これまでも40代ぐらいのになったらお店を出したいとおもってきたが、こんなに気軽に店を出せると知って、やってみようと思った。
大学院では起業について学んだ。ここで学んだ事として、自分がうまいことできることをする。自分が好きなことをする。社会的に意義のあることをする。
という原則のなか、じぶんでは好きな音楽などを通じて何かしたいとおもった。
最初は大変だったが、だんだんと市場全体に人が増えてきているのできたいしている。
自分は(適当に稼いで幸せになる)が理想なので、そのようにしていきたい。

他、2名の若者起業家のプレゼン
日本からはK2インターナショナルの事業について岩本がプレゼンをした。 

参加している若者達の紹介
モール内を見学

モール内のレストランで食事


23日(月)10時~
22日夜はイウムが市から運営委託を受けている韓屋に宿泊。
昔ながらの韓屋をカジュアルな宿として改装し、旅行者が気軽に泊まり、韓国文化を体験できるところになっている。値段もリーズナブルで韓国の昔ながらの住まいを体験する事ができる。
オンドル(床暖房)についても、現在は温水やガス、電気などだそうだが、ここでは薪を使って火を起こしていた。

■イウムについての基本的な紹介
28名(職員)。2年前までは48名働いていた。今は3つの会社に分かれている。
     体験館の運営 全州市から委託を受けて運営している。この体験館は文化的なことの構築とゲストハウス。体験館の課題は文化を基盤とした団体のネットワークをつくる。
     南部市場での事業。ジツコリア(ジツ=家)。ハンドブックをつくろうとしている。
     チョムという地域の事業 農村のコンサルティング。都市の再生。農村の活性化をイウムはしている。
独立採算なので収益も独立している。
韓屋を改装した体験館に宿泊


青年実務者へのインタビュー 4名の実務者と代表、副代表が同席
■イウムに来る以前はどのような仕事をしていたか?
Aさん:全州出身でソウルで大学を出た。非営利活動に興味があり、ソウルでもボランティア活動に参加、アメリカでも韓国の市民団体のインターンとして活動した。農村に興味を持っていたところ、イウムが農村のコンサルティングをしていると聞き、イウムへきた。
Bさん現在は大学院に在籍中。全北大学でパソコン工学を勉強している。どんな企業に勤めるかで悩んでいるところだが、大手企業で務める事が幸せなのか悩んでいた。自分の地域で何かできないか?社会的企業に興味を持つなどがあり、イウムと出会った。現在は全州のとなりのチョムの商店街活性化事業に取り組んでいる。
Cさん 2008年にピースボートに乗った事から社会的企業に興味を持ち、共に働く財団でインターンとして働いた。その後、アルバイトをしながらNPO論を学んだ。しかし、現場に出たいという想いがあり2年前にイウムにきて仕事を始めた。出身はソウル。
Dさん プサン出身。大学はソウル。サークルで田舎とのつながりがあったが、卒業後に何をするか考えていた時に、田舎にきたら土地をあげると言われ、そのような生き方もある、田舎暮らしについて考えていた。いきなり田舎暮らしは難しいと思いここでの事業に関わりながら将来について考えている途中。
■収入について
Dさん 120万KW(約9万円)若者実務者は基本的に同じ給与
一般的な給与水準に比べると低いほうだが、やりたい事をやれている事などで納得がある。
適度(適当?)に稼いで幸せに・・・をモットーにしている。120万KWは小さな金額だが、生活するには十分だと思っている。
共同生活なども考えているが、現実的には難しい為、意識的な面での共同を目標にしている。
Bさん サムソンで初任給は約300万KWぐらいだと思う。
Cさん 確かにここで住むには十分だが、迷っている。学べる事が多いと思ってここにいるが、少し忙しすぎる。将来を考えると迷う。
Bさん 将来結婚をしたり・・と考えるとやはり不安。しかし、今はみんなといるので大丈夫。

■労働時間について
忙しい、なかなか時間には終われない。様々なイベント等もある為。
チョムのチームは遠いので、出来るだけ時間は長くならないようにしている。
それぞれプロジェクトの運営と事務作業があり、他に南部市場の場合は市場の人たちなどとの調整やミーティングが夜に入る為、遅くなってしまう。

■大学進学率80パーセントの意味について
代表:昔から学歴差別があり、大学を出ると身分が上がるという考えがあり、親たちが勧めているが、子どもの意図とは違うときがあると思う。
■新たなスタートをする若者が多い気がするが、社会的企業法が後押ししていると思うか?
代表:日本に比べてどうかはわからないが、子ども世代が親の考える学歴や仕事で幸せになるかに疑問を持ちやめている若者も多い。お金ではない余裕のある生活を望んでいる若者は増えていると思う。
社会的企業法そのものではなく、格差を埋めるための仕事や生き方意味があるのではないか?
■受け皿としてのイウムがなくてもこのような仕事をしていたと思いますか?
A:農村で3か月住んだが限界だった、しかし一般企業で働くよりはよかったし、このような支援がなくてもやっていたと思う。
Bもともと代案学校の出身で、子どものころから代案の人生を歩んできた。何とかやっていると思う。
体験館のリビングにてインタビュー

全州の街並み





      宮本先生より イウムの活動をヒアリングしての感想・コメント
全体的な感想ですが、日本に比べて若い人が元気。日本ではNPOが多いがそこで活動しようとしている若者も多いですが、雰囲気が韓国の方が前向きに感じる。どうしてなのか分からないが、一つの感想は、日本の場合はサラリーマン社会になったのが長いので、サラリーマンではなくて商売をしている親が少なくなってきているので、サラリーマンでない仕事をするのが不安。韓国ではまだサラリーマンも少ないのでその分、サラリーマンでない仕事をするにしても不安でないことが多いのかと感じた。もうひとつは親世代が労働運動社会運動している人がかなりいるっていうのは日本ではない。社会的な意識をうまく子どもたちに伝わらなかった。韓国の若者はその社会的意識がつたわっている。むしろこういう動きは韓国が引っ張っていくのではないかと思う。

富川(プチョン)文化財団、부천문화재단



NO.

訪問先名称
富川(プチョン)文化財団、부천문화재단
訪問日時
20121023日 10001520
場所
富川文化財団
(地下鉄1号線松内(ソンエ)駅 徒歩10分)
先方担当者
氏名 キム・ヘジュン(代表理事)
   その他、文化財団職員5
先方連絡先
所在地:
경기도 부천시 원미구 1 394-2 복사골 문화센터 4
京畿道富川市遠美13942 ボクサコル文化センタ4
電話番号:032-320-6300
メールアドレス:twtkr@bcfdagam
訪問者
宮本みち子、佐藤洋作、津富宏、白水崇真子、山本耕平、白谷素子、畑山麗衣、新谷周平(記録)、カン・ネヨン(通訳)

■入手資料等 財団紹介の小冊子
Bucheon Cultural Foundation News Letter, October 2012, vol.96
              Bucheon Cultural Foundation Annual Report 2011
■参考URL等 http://www.bcf.or.kr/
               http://blog.naver.com/mybcf
               www.facebook.com/mybcf
■その他参考資料等

【富川市の位置と財団の役割】
 富川(プチョン)市は、ソウル市と仁川(インチョン)市に挟まれたソウルのベッドタウンで、人口約90万人の都市である(ソウル市の人口は約1000万人)。富川文化財団がある松内(ソンエ)駅は、ソウル駅から地下鉄1号線で17駅目にある(日本で言えば、千葉県の市川市や船橋市にあたるだろうか)。
 富川文化財団は、市民の文化活動の交流を促進するための財団である。とくに富川市はベッドタウンであり企業都市ではないために、日本の横浜市や金沢市の文化政策も参考にしながら、文化の面に力を入れ、予算を投入しているという。国際的に知名度の高い祭もあるが、地域に居住している市民にとっては、必ずしもなじみ深いものにはなっていない。それゆえ、コミュニティをベースとした文化活動を盛んにするために、「文化分かち合いコーディネーター」を養成し、コミュニティセンター、学校、福祉館や図書館など、地域に送る必要があるという。あるいは、富川で育ったわけではない団体を富川に誘致したりもする。
 とくに、若者、女性、シニア(退職者、韓国では日本より定年が早い傾向にある)が地域に貢献できる道をつくることが財団の役割である。個人が講師をつとめたり、小さいチームを作ってプログラムを運営したり、あるいは、コミュニティビジネス、社会的企業等の組織の形で、市民とともにデザインをしていくのが財団の役目である。
 職員は、ここで80人、他の場を含めると170人いる。

【現在と今後の展望】
 地域で活動する若者を支援する基金(社会革新基金)をつくろうと考えているという。そして、ソーシャルベンチャーパートナーシップのネットワークに基金を運用する権限を与える。行政からの補助金と企業からの社会貢献によって基金を作って、民間で運用するような方向で今動いている。
 たとえば、国からの委託で財団が1年間若者のインキュベーティング事業を行うが、富川市では、14の若者の社会的企業を発掘した(全国では300)。発掘された社会的企業の約10%が現代自動車基金から援助を受けている。すでに社会的企業になっているモンタンのようなところは、社会革新基金や自治体の事業費を活用する方法もある。
2007年からの社会的企業育成法、今年からの協同組合法によって徐々にいい方向になっていると評価する。次の大統領選挙(12月)に際して、若者にどう希望をつくるかを考えており、夢を見る機会を提供し、それが社会問題を解決するエネルギーとなること、階層、世代に関係なく幸せになる文化を享受する権利を構築すること、すなわち、経済発展から文化の発展へと比重が移動していくこと、それが若者に大きな機会となると考えている。

【施設・設備】
 同じ建物内には、シアター、映像機材の貸出、健康家庭支援センター、女性センター、多文化家族支援センター、芸術図書館、若者カウンセリングセンター、退職者支援センター(シニア・ハッピー・デザイン・センター)、インキュベーションセンターなどが入っている。

【感想・考察】
 日本と同じように行政直営から民間委託への流れがあるようだが、財団やその代表理事の立場にもよるだろうが、決してその流れを悲観しているようには見えなかった。やむなく民間委託をするというよりは、積極的に若い世代の組織づくりを支援し、そこに委ねていこうとする姿勢を感じた。もちろんそれがどの程度の量と質を可能にするかによっては、国家にも社会にも期待されない日本の新自由主義と似たような状況を帰結するだろうが、いまだ自営業者的感覚や、労働運動の記憶が残るなかで、人々や若者が意思をもって柔軟に、ニーズに応じた新しい組織やサービスを作りあげていくことが可能であれば、日本とはまた違った大きな社会と、それに対する国家・行政との関係が築かれるかもしれない。






「富川は創造大学」(「○○は大学」研究所、00은 대학 연구소)



NO.

訪問先名称
「富川は創造大学」(「○○は大学」研究所、00 대학 연구소
訪問日時
20121023日 10001520
場所
富川文化財団
(地下鉄1号線松内(ソンエ)駅 徒歩10分)
先方担当者
氏名 パク・?(「○○は大学」研究所職員)
   ホン・ソヨン(企画担当)
   ユン・ジソン
   キム・ボラム
先方連絡先
所在地:
경기도 부천시 원미구 1 394-2 복사골 문화센터 3 문화공동체 플라자
京畿道富川市遠美13942 ボクサコル文化センタ3階文化共同体プラザ
電話番号:
メールアドレス:
訪問者
宮本みち子、佐藤洋作、津富宏、白水崇真子、山本耕平、白谷素子、畑山麗衣、新谷周平(記録)、カン・ネヨン(通訳)
■入手資料等
■参考URL等 http://oouniv.org/
■その他参考資料等


【概要】
 この活動は芸術表現活動で有名な社会的企業であるノリダン内部のプロジェクトとして4年前に始まり、今年、研究所として独立した。
 ○○には地域名が入り、例えば、「○○は芸術大学」のように、その地域全体が学び場としての機能を果たすことをイメージしたまちづくりの事業を行っている。ソウル市の自治区や富川市、仁川市などで展開されている。また、ある地域で若者が集まってこういうものを作りたいという時に研究所が支援を行っている。

【目的と活動】
もともと若者支援のために始まったものだが、そのためには地域とつながる必要があるという考えから、地域と若者を結合させるものとしてこのような活動になっている。「誰でも教える、どこでも学べる」をモットーとし、「地域の学び場」となることを目指している。
 たとえば、20代、30代の若者が地域に入って、商店街の店主を講師として講座を開いたり、コミュニティバスの運転手さんを講師とした街のツアーを企画したり、市場の肉屋さんを講師として焼肉をしながら地域の話をしたりしているのだという。あわせて街の雑誌、祭、夜市場などのイベントを企画したりもしている。
この活動が、若者の仕事を作ることにつながっていくことを期待している。今年修了した若者は、社会的企業や協同組合を作る準備をしたり、メンバーそれぞれの地域で「○○は大学」をつくる準備をしたりしている。ビジネスモデルとしては、文化財団などからの委託事業を行ったり、地域コミュニティや商店街などからの要請で講座を行ったりすることで資金を得ている。

【参加の動機・経緯】
 研究所職員であるパク氏は、8年間の大学在学中(兵役代替の産業隊への勤務を含む)に雑誌を作りたいと起業準備をしていたなかで、この活動に関わり始めたという(ノリダンには関わっていない)。
 3人の女性メンバーは、大学生の活動を紹介するウェブサイト(「ステップアップ」)でこの活動を知り、文化活動の企画をしたくて、あるいは、絵を描くという自分の才能が地域でどう生かされるかその方法を学びたくて、この活動に関わったという。

【感想・考察】
 具体的なレベルでの話をあまり聞けなかったためはっきりしたことは言えないが、ホビーバンクや想像キャンプなどと同様に、若い世代の人々が在学中から自分達の自由な発想で、社会と関わり「社会的なるもの」を構築していくさまが感じ取れた。
 また、モンタンと同様にノリダンから派生した事業であるが、やはり社会的企業の「社会的」に欧米語のsocialに含まれるとされる、多様性を可能にする社会の基盤構築への意思が含まれていることを実感させられる。






서울시 대안교육센터 ソウル市代案教育センター

NO.

訪問先名称
서울시 대안교육센터  ソウル市代案教育センタ
訪問日時
2012102410時~12
場所
ソウル市西大門延禧洞 167-1西大門青少年 3
先方担当者
キム・ミンギョン
訪問者
佐藤洋作、津富宏、白水崇真子、岩本真美、新谷周平、山本耕平、宮本みち子(記録)、白谷素子、畑山麗衣、カン・ネヨン(通訳)


概要】ソウル市代案学校センターは競争と他律的学習ではなく暖かいケアと自己主導的学習が可能な都市型代案学校を支援し、ソウルの学校外側青少年の学びや成長を支えている。ソウル市において小学校から高校までで(企業と接続した職業学校であるマイスター校含む)で2012年には18,578名(約1.5%)が学校の外側におり、そうした学校外側青少年を対象にした29ケ所のフリースクールと4ケ所の飛び石拠点空間とその他の施設を含め36ケ所をネットワーキングしている。生徒数は924人に上る。「ソウルは楽しい学校だ」というコンセプトでセンターは学校外側青少年事業のハブ的な役割を担っている。ソウル市代案教育センターにネットワークされたフリースクールはソウル市の保健福祉委員会や児童青少年委員会からの支援を受けているが、教育長管轄の代案学校も30以上あり、こちらは教育課程が規定され卒業資格も得られる。

活動
)都市型フリースクールモデリング事業
・都市型フリースクール発掘/支援拡大
・新しい都市型代案をコンサルティング
)教育研究事業
・フリースクール教師養成、専門教育強化
・一般学校教師向けのフリースクール職務履修過程家庭を運営、学術研究、フォーラム
3)総合支援事業
・代案的空間とプログラムを提供し、学校外側青少年とソウルな多様な学び場をつなぐ
・インターンシッププロジェクト、メントー、導き教師の配置
4)広告対外協力事業
 ・社会資源連携プロジェクト…早期発見、OB協力、メントプールづくり
 ・オンライン、オフライン広告支援…HP、ニュースレター、広告物、イベント企画

組織・運営
2001年から延世大学がソウル市から委託されてソウル市代案教育センターが運営されてきたが、2011年からはソウル市学校外側青少年支援の法律的基盤を備えてソウル市学校外側青少年支援センター(ソウル市が(社)韓国青少年財団に委託して運営)へ拡大改変。職員現況は11人。

質疑】一部
質問:韓国の青少年問題の中心は家出だと聞いている。家出の場合は、このプログラムの対象にはならない
回答:家出は韓国では危機青少年の分類になるので別の機関の、精神福祉やシェルターがある。家出も含めるが主ではない。今までは公式的に連携してこなかった。シェルターとの連携も今までもあったので、対外協力事業の中で公式的に連携をしようとなっている。シェルターの協議会と連携をしようと話をすすめている。
質問:代案学校とネットワークに関係しているフリースクールの決定的な違いは?
回答:お金の出所がちがう。私たちのフリースクールはソウル市から出るので市民にできるような自由なもの。代案学校は教育庁で、その場合はある程度の法的なものに従ってほしいといったもの。行政的なカリキュラムがあるといった違い。一番違うのは教育課程が異なっている。学歴を認定される、されないの違い。フリースクールは学歴を認定されなくても、治療や青少年が変わっていくという面では自由な教育課程。
質問;フリースクールには学校の教師がつれてくるのか?親が連れてくるのか?市民運動から?
回答:学校辞めてすぐに案内できるような仕組みではないので、自分たちが調べたり、学校から案内する。学校を辞めたいということはフリースクールにくるルートを選ぶしかない。学校を辞めていないで、フリースクールに通い卒業証書はあとからもらうという仕組みもある。
質問:韓国の不登校・登校拒否は、実数をさぐってもデータがない。不登校の数を調べている実態はある?
回答:統計は韓国の全数調査をしている教育科学部が調査している教育統計があり不登校の数を算定している。不登校、病気と・・・覚えていないが3つの分類があって調査されている。全体の総数はわかる
質問:外国に行く子が増えている。残りの病気は増えていない。実態としてはどうか
回答:留学と書いていても、留学でない場合がある。お金がある子は留学、お金がない子は不適応と書くしかない。留学をしても適応せず帰ってくる子は多い。
質問;その子たちがこのプログラムを利用するということは可能性があるわけですね。いじめ体験や排除された経験をもっている子が対象となってくるということですね
質問:なぜソウル市が条例をつくったりしてフリースクールに関わるようになったのか?民間だったら関わらなくても良いはず。民間側も関わられるのがいやになるはず。
回答:政治的にこういった問題意識をもった市長に変わった。民間の団体で活動していた人が市長になっている。
質問:今度の市長にはすべての分野で市民の力でソウル市を運営するという方針があるので、この分野でソウル市民を巻きこもうとしている。
質問:(高校までを対象とした)フリースクールなのに13~24歳を対象者にした理由は?
回答:青少年の年齢が高まっている。条例にものっている。19歳までなく20歳前半にのびた。成長する期間がのびた。ソウル市も同意してソウル市議会を通過した条例。青少年の前提が25歳にかわった。法律に定めて条例ができたのでそのようになっている。

感想・考察
都市型代案学校は都市の多様なネットワークを活用して新しい人文学を勉強し,インターンシップやプロジェクトを通して学校外青少年が自己成長ができる学校である。ソウル市代案教育センターは都市のなかにある小規模の代案学校を行政,財政,プログラムの側面から支援する、教育の新たなキーワードである「ネットワーク」ということばを積極的に実践する教育支援機関である。日本のフリースクール運動を見習いながら立ち上がってきたソウル市の代案教育運動であるが、その展開はハジャセンターが年々変化成長しているように、その質量とも我が国の状況を凌駕している。さらには2011年末にパク・ウンスンがソウル市長になり、フリースクール支援の法律的基盤が整えられ韓国の代案教育運動は新たな発展期を迎えている。

資料-ソウル特別市学校外青少年支援条例
「施行2012.7.30」「ソウル特別市条例、第5328号、2012.7.30制定」

第1条(目的) この条例は、学校外青少年に対する代案教育などの教育及び自立支援などで学校外青少年が健全な社会構成員としての成長を支援することを目的とする。

2条(定義) この条例で使用する用語の定義は以下である。
1.  学校外青少年とは、学業中断青少年と非進学青少年、勤労青少年など正規学校(「小·中等教育法」第2条の規定による学校)の教育を受けないすべての青少年のことをいう。
2.  代案教育とは、学校外青少年の欲求に符合するよう提供される人性及び適性中心の教育と現場体験中心の教育、進路教育をいう。
3.  代案教育とは、第2号の代案教育を行う機関として「小·中等教育法」の第4条の規定によって認可されていない機関をいう。

3条(市長の義務) ソウル特別市長(以下、市長という)は、学校外青少年が学校外の空間でも自尊感を回復し未来への夢を実現できるよう、学校外青少年達を有害環境から保護し、彼らの欲求に符合する支援政策を施行しなければならない。

4条(学校外青少年総合支援計画の樹立) 
    市長は学校外青少年に対する体系的で中断しない支援のため、毎年学校外青少年総合支援計画(以下、支援計画という)を樹立、施行しなければならない。
    支援計画には、次の各号の事業を遂行するため支援対象と規模及び方法などに関する事項が含まれなければならない。
1.  学校外青少年に対する社会的認識の改善事業。
2.  学校外青少年への教育支援事業。
3.  学校外青少年への自立支援事業。
4.  その他、 学校外青少年を支援するための事業。
    市長は、支援計画を樹立するため、毎年、学校外青少年の実態調査を行い、前年度事業の成果を評価しなければならない。
    市長は支援計画を樹立する際、直ちにソウル特別市議会所管の常任委員会に報告、支援計画による必要経費を来年の予算に反映しなければならない。

第5条(学校外青少年支援委員会の設置)
市長は、学校外青少年に対する支援施策を審議·諮問するため、ソウル特別市の学校外青少年支援委員会(以下、委員会という)を置く。
委員会は、学校外青少年支援対策に関する次の各号の事項を審議·諮問する。
支援計画の樹立·変更に関する事項。
非営利法人·民間団体の学校外青少年支援事業に対する財政支援に関する事項。
学校外青少年の有関機関ネットワーク及び地域社会の協力体系を構築することに関する事項。
学校外青少年の人権侵害及び差別事例に関する、関係機関の陳情及び改善要求に関する事項。
第11条の、ソウル特別市が学校外青少年支援センターを運営することに関する事項。
その他、学校外青少年への支援に関して、市長が会議付する事項。

第6条(委員会の構成など) 
    委員会は、委員長一人を含めた15名以内の委員で構成され、行政1副市長を委員長とする。但し、やむを得ない事情があった場合には女性家族政策室長に委任することが可能である。また、民間委員のなか、一人を互選し共同委員長とすることができる。
    委員会の委員は、次の各号のひとつに該当する人で、そのなかで市長が委嘱するが、行政1副市長、書生家族政策室長、教育協力局長、ソウル教育庁の生涯進路教育局長は当然職委員になる。
1.  ソウル特別市議会の議長が推薦する委員2名。
2.  青少年関連の専門家又専攻大学教授。
3.  ソウル特別市の館内警察庁及び少年分類審査員、保護観察所など、校正機関の青少年業務担当責任者。
4.  ソウル市館内雇用センター、職業専門学校など技術及び職業訓練機関の青少年業務担当。
5.  青少年関連事業を施行する非営利法人·民間団体の代表。
6.  学校外青少年の保護者代表。
7.  その他、青少年の教育、福祉に関する学識と経験豊かな人。
    委嘱委員の任期は2年としえん再任できる。ただ補欠委員の任期は前任者の残った任期とする。
    委員会の運営に必要な事項は規則できめる。

第7条(代案教育機関支援) 市長は、代案教育機関が学校外青少年支援事業を推進する際、必要な費用の全部又は一部を予算の範囲内で支援できる。

第8条(共有財産の無償貸付など)
市長は代案教育機関の設立運営のために必要な際には、「ソウル特別市共有財産及び物品管理条例」によって、共有財産を無償貸付するか優先賃貸又は使用料軽減などができる。但し、無償貸付、使用料軽減はソウル市が代案教育機関を直営又は委託する場合に限る。
市長は、不要物品などを代案教育機関に無償譲与することができる。

第9条(公共施設利用権) 市長は、代案教育機関の学習者が市管理の公共施設を利用する場合は「小·中等教育法」によって、学生と同等な権利と便宜を保障しなければならない。

第10条(地域社会と協力体系を構築) 市長は、学校外青少年の教育及び自立支援のため、教育庁、警察庁など有関機関と青少年支援センターまたは関連社会団体とは緊密に協力しなければならない。

第11条(学校外青少年支援センターの設置など) 
    市長は、学校外青少年支援事業を効率的に推進するため、ソウル特別市学校外青少年支援センター(以下、支援センターという)
    支援センターの機能は次の各号と同一。
1.  学校外青少年の成功事例発掘·広報。
2.  学校外青少年の相談と保護支援。
3.  学校外青少年の人権、差別の実態調査。
4.  代案教育プログラム開発·又は補給。
5.  学校外青少年の進路教育。
6.  学校外青少年の就職支援プログラムを運営。
7.  学校外青少年支援法案の研究。
8.  学校外青少年支援ネットワークの構築及び管理。
9.  代案教育機関への支援。
10.           潜在的学業中断青少年の予防事業支援。
11.           学校外青少年の復校支援プログラム運営。
12.           その他、市長が推進する学校外青少年支援事業に必要な事項。
    支援センターの組織などの運営に関する必要な事項は市長が決める。

第12条(支援センターの委託) 
市長は支援センターを効率的に運営するため、青少年関連事業を施行する非営利法人·民間団体などに委託することができる。この場合、委託方法と支援など必要な事項は「ソウル特別市行政事務の民間委託に関する条例」を準用する。

第13条(支援センターの指導·点検) 
市長は、監督上必要と認定する時は支援せんたーの運営と財産にかんする必要な報告させたり資料の提出をさせることができ、関係公務員に関係書類と施設の検査をさせることができる。
支援センターの長は指導、点検時指摘された事項は直ちに是正措置しなければならない。

第14条(施行規則)この条例に関する必要な事項は規則で決める。

付則 <第5328号、2012.7.30>
第1条(施行日)この条例は公布した日から施行する。
第2条(委託運営による経過措置) この条例の施行当時、委託運営中のソウル特別市代案教育センターはこの条例によってソウル特別市の学校外青少年の支援センターと見る。