2010年10月22日金曜日

MTC Work Solutions

2008年度3月海外調査(シドニー) [NO.1]


訪問先名称:MTC Work Solutions
団体ステータス:NPO 社会的企業
訪問日時:2008.3.13


<主な事業内容>
MTCでは多文化背景の人たちやバリアのある若者から高齢者まで13-65歳までの人たちを支援している。国、自治体からの補助金によってまかなわれている事業がほとんどだが、多くの参加者が成功している為、黒字が出ている。黒字分で行政の対応できない人へのプログラム(移動チューター、移動フードサービス)やオルタナティブスクール(ワラキューカレッジ)の設置なども行っている。

<ヒアリングの概要>
今回の調査では主にConnectionsのプログラムの実践についてお話を伺った。
Connectionsは13-19までを対象としたプログラム。
ユースパスウエイとは違い、学校などから完全に離れてしまった若者達に対してのサポートを行っている。学校以外の様々な支援により職業資格を取ったり、学校に戻したりと自立のためのサポートを行っている。
現在6名から8名と少人数の若者達に継続的にサポートをしている。
他にもジョブネットワーク等の支援も行っている。
この団体は地元で必要のあることを一つ一つ行う事によってしっかりとした信頼を得て、実績、資金的な余裕もあるようだった。







■参考URL  
http://www.mtcwork.com.au/about.php


Mission Australia

2008年度3月海外調査(シドニー) [NO.2]


訪問先名称:Mission Australia  (ミッションオーストラリア)
訪問日時:2008.3.12


<主な事業内容>
ホームレス支援、雇用支援、若者支援等のコミュニティーサービスを行う全国にある非営利団体の中のキャンベルタウンにある支部
ユースパスウエイのプログラムも実施団体となっている。
この地域は低所得者層、多文化背景の住民が多く、若者、子供、家族の問題も多い地域である。
ユースパスウエイのコーディネーターはこのほかにも別の地区も担当を掛け持ちしている。









<ヒアリングの概要>
この地域におけるユースパスウエイ実施団体の役割・仕事
この地域では貧困の問題、多文化背景の問題が多く、学校では対応しきれない問題を民間団体が担っている。
学校との連携は非常に難しいが、実際に成果が出てくるにつれて、学校側も理解を示し、今ではうまく役割分担が出来ている。

後半は日本の若者支援について、質問が多くあり、非常に議論になった。
オーストラリアでは支援の対象はどんどん若くなっており、現在は0歳~5歳がメインターゲットになっているとの事だった。






■参考URL  
http://www.missionaustralia.com.au/



Youth Café Bankstown Home Base

2008年度3月海外調査(シドニー) [NO.3]


訪問先名称:Youth Café Bankstown Home Base 



団体ステータス:非営利団体
訪問日時:2008.3.13
場所:Bankstown



■開設:2002年から非営利団体がバンクスタン(多民族共生エリア)に開設している多文化ユースセンター。民族の異なる若者間の衝突事件がきっかけで開設される。料理もできるし軽食も取れる。 プロジェクトを申請して行政から支援を受けて運営。家賃8万ドル(年間)であり運営は大変。開設当初はたまり場になるのを心配して地域からの反対があったが、それから6年たち安全なたまり場になっている。火曜日から金曜日の午後3時から6時(7時)まで開設。水曜日は女の子の日になっているが、イスラム教の家庭が多いからスカーフをとっても安心できる時間枠が必要だからである。



■職員:マネージャー1人、ブロックインコーデイネーターホームベース(?)1人、ユースワークのプログラム担当1人、ストリートワーカー2人(アンジュー、ジュリアナ)。その他パート職員数人。




■アウトリーチ:ストリートに出てパンフレットを渡してユースセンターを訪ねるように勧誘する活動。(※ストリートワークに同行)
センターはバンクスタン駅に近く、若者が溜まっている駅周辺まで数分のところに位置している。ジュリアナ(25才?、女性)がアンジュー(31才?、男性)と連れだってたまり場エリアに繰り出す。ジュリアナはタンクトップにパンツというカジュアルな服装にキラキラした笑顔の若い女性。アンジューはといえば、短パンにだぶだぶの赤いTシャツといった服装で、力士のような体躯の南パシフィック系の男性。ジュリアナもアラブ系の雰囲気があり、さすが多民族共生の国。二人は、出会う若者に声をかけ、無造作に手にしているチラシを手渡す。この地域でストリートワーカーとして働き初めてジュリアナは1年(?)、アンジューは半年(?)ほどだが、すでに若者たちとは顔なじみ様子。まだ学校の放課後には早く、あきらかに怠学か不登校の若者たちが数グループになってたむろしている。あの子は犯罪を犯したことがある子、あの女の子は子どもがいて、旦那は若くまだ学生だ、などなど。いつでも遊びにおいで、相談においで、とにかく明るくフレンドリーに声をかけて回る。遠巻きに観察していた私達も若者たちの許可を得て、記念撮影。数十分のストリートワークの後、センターに帰る。学校帰りの子どもたちも立ち寄り始めていたが、予定されていたプログラム(南パシフィックの芸術ワークショップ)はなかなか開始される段取りには至らず、私達はセンターを後にした。
アウトリーチで駅前へ 沢山の若者がたむろしていた。
アウトリーチは男性、女性スタッフ2人で行う。町にいる若者達から声をかけてくる場面も多かった。


■参考資料
平成20年4月14日
Australian Government + Centrelink によるパンフレット
(重要な部分だけ意訳。オーストラリアの諸制度の全容がわからないので、正確でない箇所もある。宮本みち子)

若者手当てYouth Allowance
               
若者手当ては、フルタイムの学生、フルタイムで見習いまたは訓練を受けようとしている者、求職をしている若者に対して支給する助成金である。義務に相当する求職活動、勉学、訓練、徒弟の間を異動する場合は、ひとつの手当ての受給を許される。

<誰が受給できるか?>
1.16歳から24歳(独立しているとみなされる場合は15歳から)で、該当する学校の該当するコースでフルタイムの勉学をする者である。中等学校、学部、資格専門コースである。2008年1月からは、専門教育のためのTAFEコースと大学院コースも認められる。
2.16歳から24歳でフルタイムの見習い(独立している場合は15歳)または、同年齢で積極的に継続性のある仕事を探したり、パートタイムの仕事と訓練を組み合わせようとする者、病気などのために活動テストを一時的に免除された者。
3.21歳未満で、パートナーがいて扶養する子どもが6歳から15歳の場合、またはシングルで8歳から15歳の子どもがいて積極的に適切な仕事を探しているか、ワークフォアドールなどで15時間以上働いていているか、活動テストから短期間免除されているか、または、25歳になろうとしていてオーストラリアアプレンティスシップ(見習い)に従事する直前に、若者手当てを受給しようとしている。
4.または、もし25歳になる直前に若者手当てを受給し今もなお見習いに従事している、25歳以上のフルタイムの見習い従事者。
5.オーストラリアに在住していること、それは住んでいて、①オーストラリア市民で、②永住ビザを持っていて、
6.少なくとも104週間住んでいるオーストラリア在留者としてオーストラリアに滞在し、
7.若者手当てを請求するその日オーストラリアにいること。
備考:25歳以上のフルタイムの学生と見習いに従事する者はAustudyに申請できる。
最低資格年齢は、州または自治体の最低学校修了年齢によって異なる。

<18歳未満で学校を終えたい場合は?>
若者手当てを受給するためには、通常、フルタイムの教育、見習い、訓練を受けるよう求められる。その条件を満たさず若者手当てを受給している場合は、センターリンクにおいて、参加要件と活動テストの要件を満たすために積極的に求職活動をしていることを示す必要がある。しかし、短期の病気や怪我のためそれができない場合は、それが癒えるまでは受給することができる。

<21歳を超える場合は?>
21歳から24歳でフルタイムの学生の場合は申請できる。もしニュースタート手当てを受給しフルタイムの勉学をしようとするなら、そのコースが12ヶ月以上続く場合だけ申請できる。21歳以上でフルタイムの学生または見習いに従事していない場合は、ニュースタート手当てを申請する必要がある。

<25歳以上でフルタイム学生の場合は?>
25歳以上の場合は、つぎの場合だけ若者手当てを受給できる。
もし25歳の誕生日の直前まで受給していて、
同じコースで学ぶ予定である場合。
その他のフルタイムの学生か見習いに従事する者で25歳以上の場合は、Austudyを申請できる。

<いつから若者手当てを受給できるようになるか?>
センターリンクと接触後、14日以内に申請書を提出すること。もし資格が認められれば、センターリンクと接触した日にさかのぼって支給される。
備考:パートタイムの学生または見習いである場合は、資格があるかどうかをみるために、面接を受けなければならない。
つぎの条件に該当する場合は、支払いは後になる。
単身の場合は2500ドル以上の流動資産(銀行預金または現金)をもっている場合、パートナーか子どもがいる場合は5000ドル以上の場合。
損害に対する保険支払いなど、一括払いの賠償支払いがある場合。
オーストラリア生まれでなく、合計2年以上ここで暮らしてはいない場合。
オーストラリアで生まれたが、合計2年以上ここで暮らしてはいない場合。
あなたかパートナーが、leave entitlement 給付か、解雇給付redundancy payment
を受給している場合。
同様に、申請に先立って6ヶ月間の季節的、臨時的、断続的な仕事に従事し、そこから一定レベルの収入を得ている場合。
自分から仕事をやめるか、または不始末のために解雇になった場合。
学業の開始が申請より後になる場合。

<どのくらい若者手当を受給できるのか?>
つぎの条件の如何によって受給額が決まる。
・ あなたと親または保護者またはパートナーの収入と資産が一定以上であるかどうか
あなたが独立しているかどうか
勉学のために実家permanent homeを離れて暮らす必要があるかどうか
パートナーがいるかどうか
子どもがいるかどうか
扶養する子どもがいるシングルで、登録されていてregistered活動している里親foster carerであり、家庭教育者または遠隔教育者であるか、または大家族であるか
(翻訳が不正確、オーストラリアの事情を理解しないとわからない)
備考:もし18歳以下の場合は、給付金は親のどちらかに支払われる。どちらの親が受け取るかをセンターリンクに届ける必要がある。
「若者障害補助」
21歳以下で、部分的に働くことができるpartial capacity to workと認定され、若者手当てを受給している場合に受給可能。
21歳以上でニュースタート手当てを受給している者の受給額を上回ってはならない。
註:ニュースタート手当て
21歳以上の失業者で年金受給年齢に達しない者に対する給付。求職活動をし
ていなければならない。

<収入と資産に関する規則>
「親の資産調査 means test」
あなたが学生の間または仕事を探している間、親が経済的にサポートできるかどうかに関する審査
「家族資産調査」
家財、車、ボート、家具、投資、現金、不動産、個人財産などの調査
住宅は含まない。また、農地や事業資産の75%はカウントされない。
「親の所得調査」
両親の合計課税対象所得
経費:課税期間において課税対象所得から控除した経費
被雇用者の付加給付
オーストラリア以外の国から得た所得
事業での損失
「実質家族資産調査」

「親の所得調査が適用されない場合は?」
親が所得扶助を得ている場合
例外的状況救済給付を得ている場合
ヘルスケアカードを持っている場合
あなたが独立している場合
「親の所得や財産が変動した場合は?」


<独立している場合は?>
家族から独立していることが認められれば親の所得調査はいらない。
つぎの場合に、独立していると認められる。
25歳以上
過去2年間に最低18ヶ月、週に最低30時間働いている。
中等教育終了後最低2年間で、週15時間働いている。
不完全な(部分的)就業能力をもっているpartial capacity to workと認定されている(求職者の場合)
少なくとも18ヶ月前に中等教育を終え、オーストラリア支払い区分尺度で最低賃金水準Aの75%を得ていること。学卒後18ヶ月間に稼ぐべき額は現在18,525ドルである。これは訓練生に適用する金額である。
結婚しているか、していた。
12ヶ月間、結婚に近い関係にあった。
6ヶ月間結婚に近い関係にあったが、パートナーが死亡したか、DVがあった。
扶養する子どもがいるか、過去にいた。
難民、孤児、または国の保護下にあるか、過去にあった。
養護施設にいるか、精神的に困難か、居場所がわからないか、監獄にいるため、親の責任を果たすことができない、または
つぎの理由で家庭にいることが合理的でない
極度な家族崩壊
親の家に居続けたら深刻なリスクがある
常に、食料、水、衣服、力、住居、睡眠の剥奪状態
家のなかが、ドラッグやアルコール、いじめ、犯罪的あるいは違法活動、家庭内暴力があって、健康や福祉が著しく脅かされている
親に安定した住居がないため、親が適切な家庭を与えることができない場合
「個人所得調査」

「個人資産調査」

「パートナー所得調査」
        略
<若者手当てを受けた場合、その他のベネフィットを得ることができるか?>
・家賃補助
・交通費補助(学生の場合、実家と学校との間の交通費)
Lump sum advances

基本給付額
単身、子なし
18歳未満で親の家     $194.50 
18歳未満で他出      $355.40
18歳以上で他出      $355.40
18歳以上で親の家     $233.90
単身、子あり         $465.60
パートナー有、子なし     $355.40
パートナー有、子あり     $390.20
借家補助が可能
単身、子どもの基本的介護者  $537.70
Granted an exemption for foster caring/home schooling/distance education/large family
長期所得扶助受給者のための特別受給者または移民で、21歳以上、フルタイムの学習またはオーストラリア見習い制度のために英語の勉強をしている者
単身、親の家   $287.20
単身、他出    $431.70

Willoughby City Council Chatswood Youth Centre

2008年度3月海外調査(シドニー) [NO.4]


訪問先名称:Willoughby City Council    Chatswood Youth Centre

ウイロビー市立 チャツウッドユースセンター 

団体ステータス:自治体運営施設
訪問日時 :2008年3月12日


<センターについて>
Willoughby City Council(ウイロビー市 シドニー中心部から電車で15分ほどのところK2の拠点のあるChatswoodが中心地)が開設している若者の為のたまり場。
12-18歳対象 男女 地域の若者全般が対象
センター内にはビリヤード台、インターネット、ミュージックルーム、バスケットコート、スケートボード場、キッチン等があり、すべて無料で使用できる。
どこかでたむろしたり、無駄なお金を使うなら、ここにきて楽しい事をしようという呼びかけを行っている。


このセンターの目的は一般の若者全般を対象にした居場所、就労への支援であるが、この場所に来る若者の中には多くの問題を抱えた若者が来所している。
問題に対する専門的な職員は居ないが、問題がどのような状態かの見極めを行い、必要な支援機関につないだり、専門家につないでいる。
特にこの地域には色々な文化背景の子供達が多く、地域特有の問題もある。
自分自身への尊重、他人への尊重、ここにある物への尊重を大事にしている。
多文化背景の若者やその家族の為のセミナー等も行っている。
若者が尊重心を見せない場合、注意、警告、また立ち入り禁止等も行う。
人間関係を構築する為の場所にしたいと思っている。





*求職活動、履歴書と書きたい若者を支援している。
家、ドラッグ、友達、等の問題がある場合は支援機関を紹介する。
カウンセリング等は必要があれば、来てもらいカウンセリング等をしてもらう事もある。
また、警察官や医者などにも来てもらい、若者との間に信頼関係を作るためのイベントを行っている。


<利用者数>
通常は月曜日~水曜日 3時~6時ぐらい30人ぐらい
木曜日、80人ぐらい ~9時 金曜日 60人ぐらい ~9時 

●金曜日 無料の料理と映画上映をしている。
金曜日はお酒を飲む若者が多いために食事を提供してあげる事で飲みすぎない事や一緒に色々な活動をする事により問題を防ぐ事が目的としている。
この地域は公園などで飲んだりということをする若者が多い。
また一緒に食事を作ったり、活動する事による効果もある。

●誰でも利用できる場所だが、一部のマナーの悪い(ドラッグや酒に酔っている若者など)は入場させないようにした。この事により、多くの若者が来れるようになった。とくに女の子の参加が増えた。
問題のある若者を排除するのではなく、その若者の状態を受け入れないという姿勢をとっている事が大事だという。

●このような拠点はいくつかあるが、それぞれの特徴、考え方があり、若者は好きなところにいける。ノースシドニー(ハイリスクの人達が多い)、モスマン(障害者に対応)など
この地域の場合は富裕層が多いが、親と子供のコミュニケーションがない家庭が多いため、そのような特徴に対応したプログラムを作っている。






<スタッフについて>
スタッフ 利用者から資格をとって正規スタッフになっている者もいる。そのような機会を与えたいと思っている。警察官になりたいという若者も支援している。
スタッフの持っている資格はユースワーク、ソーシャルワーク、もしくは資格なしだが対人関係がとてもうまい人もいる。(マネージャー、コーディネーターになると資格が必須)
ユースサービスのコーディネーター 事務職 他のプログラムも持っている。
ユースセンターのコーディネーター このセンターのコーディネーター










<ユース インターエージェンシ ミーティング>
1ヶ月に一回のユースサービスを提供している人のミーティング(ユースインターエージェンシーミーティング)があり、このようなミーティングを通して学校や他団体との連携が図れている。学校の先生、警察官(ユースリエゾンオフィサー)、地域のユース活動をしている各団体、行政等が参加。集まりでは地域でどのような問題があるかを出し、どのような支援をすればよいかと建設的に話し合い、具体的な提案なども行う。
財源についても協力し合って確保できるように協力し合うなどしている。
ミーティングは1回2時間毎月第一水曜日、色々な地方自治体で行い、その地元の人が座長となり、議題等も決める。委員会が一年間の計画を作り、ゲストスピーカー等も呼ぶ。
1回のミーティング20~30名 (登録は80名程度)
ミーティングに内容はメーリングリストにより全部の登録者に送り共有。
若者のホームレス問題(住宅問題)精神保健について、障害のある若者に対するアクティビティーの計画等について、等々が話し合われる。
このミーティングは今回視察したどの団体、機関でもそれぞれの地域のユースインターに参加していた。



■参考資料
Willoughby City Council  Chatswood Youth Centre
http://www.willoughby.nsw.gov.au/Chatswood-Youth-Centre.html 
Open Monday - Wednesday, Saturday and Sunday from 2.30pm to 6pm 


Open Thursday 2.30pm to 8pm
Open Friday 2.30pm to 10pm





NSW Police Force

2008年度3月海外調査(シドニー) [NO.5]


訪問先名称:NSW Police Force

      ニューサウスウエルズ州シドニー警察
訪問日時:3月12日


<ECLOの仕事について>
州によって法律が異なるのでNSWについて述べる。
Irenaの仕事はエスニックコミュニティの連携担当。1987年に西部地区以外に住んでいる人々のニーズに対応して作られた。やがて一般の市民、警察官にとっても必要なニーズということで拡張された。ECLOは他民族の背景を理解する職種である。
NSWは言語が246ある他民族都市。言語別のECLOを雇うのは無理なので、一般的コミュニケーションをとる職員を採用。警察官ではない、訓練も受けていない。地域住民を教育することが仕事。政府、NGO機関と密接に連携している。
目標は、犯罪防止、各種ミーティングに参加して彼らの問題意識を聴く機会をもっている。
住民の援助+警察官の理解への援助。住民―ECLO-警察という関係。住民は警察官の制服を見るだけで恐れを感じるので、それを和らげる。Irenaも非英国圏出身なので若者の気持ちがよくわかる。


<若者に関係する警察官>
2タイプある。A:若者に対応する警察官とB:学校連携警察官である。
Aについて
NSWで発案されたもので、1998年開始。連携が役割で、若者とか親とかと連携を取る。25歳以下は200万人いる。効果的にコミュニケーションできることが必要。犯罪を犯した人々に警告する。裁判所またはJustice Boardと密接に関係し、犯罪防止の施策を作って実施する。
Bについて
学校の犯罪防止に取り組む。校長と密接な関係。2006年3月で40人がいる。
狙いは、学校における暴力の減少と、学校で勉強を継続する責任を負う。中等教育のすべてを対象。学校を訪問して協力を築いていく。犯罪防止のためのワークショップを実施。
いじめ、暴力を学内で解決するかどうかも関しては、複合的であるので連携が必要である。
10年間見てきた結果、1997年犯罪法offending actができた。犯罪への自己責任を負うこと、親も責任を負うことが特徴。軽い罪については裁判所に送らない、犯罪歴を作らない
なぜなら、警察には記録が残る。警察官は閲覧できる。一生残るためである。対処法 1.注意 2.警告 3会議 4裁判所。


<この地区の問題行動への対策>
落書き 万引き 通学時間にぶらぶらしている、不登校
ユースリエゾン警察官が、校長に伝える。
プログラムの中で仕事をしている。前向きになり、スキルを得られるようにと考えて仕事をしている。ネットで情報を得られるので、何回くらいやっていいか若者は知っている。そこで、警察は情報をネットで提供している。
 SHAPE  \* MERGEFORMAT
不登校的生徒対応は別のセクション

問題行動をする子どものタイプ
A 1-2%は先生の権限に対してチャレンジする子どもー力関係を行使しようとする
B 10-12%は授業中に態度が悪く先生や生徒を困らせる。注目を浴びたいから。
C 85%は従順で意欲がある
NSWの北地区は住んで良い場所。社会的経済的に良いから
南西、中央、西地区はABがもっとも多い。
この地区は不登校率が低く学業達成が高い。処分低い
担当 シドニー三角形 高校13 小学校50


<特別学校または特別教室>
シニア教育担当―学習障害、知的障害、問題行動、特別教育(含:不登校、障害)
普通の子は私立学校へ行く、なぜなら公立校に問題のある生徒が集中しているから(私立校では受け入れないから)都心部で起こっている現象としてキリスト教系学校が拡張
Aに対して:精神的行動的困難。特別学校または特別教室へ
1クラス7人―教員2名 1年から18ヶ月
1回40分―3回視察してデータを取る
座っていられるか、先生にたてついているか
12ヶ月間教師と共に生徒の態度を変えるとりくみを行う
教師へ
親への働きかけ
悪いこと、反対の行動を教える
年長の子、思考力を教える、自己モニターによって、自己責任をとれるようにもっていく
問題行動をとる子の年齢が下がっている。自分の時代から教育が大転換した。
昔は家に子どもを監督する人がいた。今は、共働き、TVなどが子守役
昔は、親は少ししかしてくれなかったが親を尊敬していた。子どもたちは、学校時代が終われば仕事があり、女の子は家庭を自動的に手に入れられた。
今は、アメリカTVのアクションのヒーローをまねしている。なぜならアメリカのTVの主人公をモデルにしているから。モデル:結婚はしていない、仕事は??
やさしく接していると増長して社会に受け入れられなくなる。親の教育力が低い例
もともとは普通の学校とは別の所だった。今は普通校に入れるようになったが、学校は受け入れないので、強制的に配置する。
不登校に対して
対人恐怖の例―自宅で勉強、学校に誘導。Home laison officer―教育・特別教育の学士
学校の不登校の傾向を把握して早期に対策を立てる。



■参考URL
http://www.police.nsw.gov.au/homepage 
 
 

Wesley Mission

2008年度3月海外調査(シドニー) [NO.6]


訪問先名称:Wesley Mission

Ashfield Independent Living Centre
Out -reach Service
訪問日時:2008.3.11


Weasly missionは若者生活自立支援のためのCommunity Servicesを提供している教会系の非営利団体。この団体が提供するCommunity Servicesの一つがAccommodation Services

財源:Community Servicesの一つがAccommodation Services(宿泊設備提供)で、その財源は連邦政府と州政府両方のSupported Accommodation Assistant Program(SAAP)から得て運営。このプログラムを実施するのはDepartment of Community Service(地域社会省)。この団体の実施しているAccommodation Serviceはその中の一つであり、団体が提供する他のサービスと連携しながら実施している。


【宿泊施設提供プログラム】
宿泊施設提供プログラム(Independent Libing Progam)は、Street Outreach, External Living Skills Training,Living Skills Preparation, Residential Unit,Exit House,Aftercareなどの継続的な生活自立支援プログラムと連動して実施される。1994年から開始。
若者が全国をカバーしているYouth Assistant Association(YAA、若者情報センターのようなもの?) にアクセスするか直接Weasly missionに来ればAccommodation Servicesを受けることができる。


■対象:16歳~22歳、今すぐの一時的な宿泊が必要なものは対象とならない、家庭生活がうまくいかずホームレスになる若者の救済

■期間:緊急サービス:1ヶ月~3ヶ月、中期サービス:6ヶ月~12ヶ月、長期:12ヶ月~18ヶ月

■賃貸契約:法的な拘束性を持つLICENCE AGREEMENT(賃貸契約書)を取り交わして初めてAccommodation Servicesに参加することができる。権利・義務関係の発生。契約違反に対しては1回目は「警告」、3回目になると「退去命令」。実際の社会生活を学ばせる。目的は自立して生活できるようになることである。

■住居:2~3人で同居する形式で、11軒点在。普通の家の形、地域社会の中で生活することを学ぶため。モニターしやすい事務所の近くには緊急時用の宿泊施設があったが今は中長期用になっている。

■面談:職員は全員がパートタイム。それぞれのクライアント担当の職員が1週間に1~2回、1時間か2時間くらい面談。収入を得るための支援として1日4~8時間一緒に費やすこともある。お料理レッスンもまれにやる。「空きありますか?」の問い合わせから2回の面談を実施。1回目にはかなり詳細に渡るアセスメント(Client Interview Assessment Formに記入)。どこから来たのか、今までどこに住んでいたのか、学歴、犯罪歴など。


■契約:短期的、長期的目標を決めて、その達成のためにさまざまなプログラムに参加すること、ワーカーがそれをサポートするという契約関係の重要性。子どもが居る若者は親のスキルの勉強会にも参加。対人スキルを把握して共同生活で対人関係を学んでもらう。生活スキルとライフスキルも把握して、お料理、予算の作り方、時間の管理、教育、就労、衛生、健康の管理、掃除の仕方、対人関係の解決の仕方などの基礎的スキルがあるかどうか把握する。Accommodation Servicesへの参加にはクライエントの背景をチェックするため3人の推薦者(電話番号必要)が必要。親、クライエントを6ヶ月以上知っているもの。
もし、このような審査からこのアコモデーションにふさわしくない場合は別の組織を紹介する。
入居する為の第一条件は収入があること。雇用がない方には若者手当等があるが、このようなものは一時的な救済なのだということを学んでもらう。
また、次に教える事はライフスタイルを持つこと。たとえば食事(いくらぐらいでどの程度のものが食べられるか、また健康に良い食生活などを教える)
この近辺に6、7(?)箇所のアパートや一軒屋があり、それぞれ若者の段階によって移り住む。一番リスクのある若者は事務局と同じ棟の部屋にほぼ自立が近い若者の住まいは月1度ぐらい見に行くのみ。

■部屋代:1週間90ドルくらい。16歳17歳のように若い子は少し低額になるが、1週間に140ドルから160ドルの若者手当(basic incom)が支給される。靴ひもくらいの予算。学生でしたら財政的に大変だからカジュアル(非正規)な仕事につくように促す。最初めの6ヶ月は家賃(レント)は毎週70ドル、頭金(ボンド、後で返還分)が5ドル、光熱費が9ドル、電話代が6ドルの合計90ドル。光熱費や電話代の支払いは自分で管理できるようになったら若者に移譲。6ヶ月を過ぎると家賃を上げる、3ヶ月ごとに見直し10ドルぐらい上げていく。お仕事を持っている人には1ヶ月ごとに見直し、家賃とボンドを相互に上げる。ワーカーと予算計画を立てさせライフスタイルを維持できる最高限度に払える金額を払わせる。禁煙しなさい、自炊しなさい、クラブばかりいかないで勉強しなさい。 



【連携プログラム】
■準備プログラム(Living Skills Preparation):9つのステップをクリアーしていないとIndependent Libing Progamに参加できない。この9つのステップは、「Time Management」,「Budgeting」,「Cookinngu and Nutrition」,「Cleaning and Laundry,Orientation,Healty and Hygiene」などによって構成されている(詳しくはK2訳版「Living Skills Preparation Program」参照)。料理レッスン、献立計画、節約・家計、予算など、若者手当の使い方の指導。社会的家政学(宮本)のような学習プログラム。1ステップで1週間を充てるが、既にクリアーされているステップは省かれるからここのクライアントによって必要な準備期間は異なる。


■発展プログラム(Exit Housing):18ヶ月くらいになり家賃を90ドルから110ドルくらい払えるようになるとAccommodation Servicesを出て次のステップに移行するためのケースマネージメント(Exit Housing)に入る。115ドルも払えれば友達と一緒に230ドルくらいのところに入れるでしょう。子どもが居たら児童手当もあるからもっと高くても家賃が払えるでしょう。
この家を出るプログラム(Exit Housing)はIndependent Libing Progamの継続プログラム。共同生活(家具付き)から自分の家具を準備した単独生活。25歳まで18ヶ月プログラム。定額家賃、シングル130ドル、家族は160ドル、シングルマザー140ドル(子ども一人)。このプログラムではワーカーとの面談は1ヶ月に1回のみ。家賃以外は本人名義で、普通の賃貸契約の一歩手前。このプログラムにはいるまでに、家賃の4週間分の頭金、家具の準備、2週間の前払い家賃、そして食費(150ドルは必要)など、610ドルも準備していなくてはならない。なにごともことを始めるには準備が必要であることを学ばせる。
事務局の同じ棟にある部屋で住んでいる女性、シングルマザーで子供と一緒に住んでいる。近く次のステップに進む予定との事。
事務所の庭 住宅地にある普通の家。


■その他のプログラム
ワーカーがクライアントの家に赴いて実施するTraining Programもある。それから街のショッピングセンターなどのたまり場にいる若者に接近してホームレスになる前に早期介入し支援機関に紹介していく14歳から23歳を対象にしたYouth Outreach Programもあり、8年間サービスを提供してきている。若者のたまり場の運営や、学校が休み中の時間を使って安全な活動プログラムを提供している。サッカー、ロッククライミング、映画、カヤックなど若者興味のあることを計画化。ワーカーは学校とも密に連絡を取りながらと若者たちとの信頼関係を深めながら支援関係をつくりだしている。さらにはさまざまな就労サポート機関のネットワークであるジョブネットワークのひとつであるJPET(Job,Placement,Emploimento,Training)というプログラムも重要である。センターリンクで手当を受け取るためにはジョブネットワークが提供するこのようなプログラムに参加しなくてはならない。またこの間、早期介入策は発展し今では0歳から5歳児へのデーケアなどとより若年化してきている。
JEPTプログラムのスタッフ達、ミーティング中
アウトリーチ担当の女性。ここでは制服を着用し、すぐにわかるようにしていた。


■参考URL 
www.wesleymission.org.au











 

St. George Careers Development

2008年度3月海外調査(シドニー) [NO.7]


訪問先名称:St. George Careers Development
訪問日時:2008.3.10


<団体の概要と地域性>
St. George Careers Development はHurstvill市の中心部にある。Hurstvill市はシドニーシティーから車で20分程の町、ショッピングモールの直ぐ近くにこの拠点がある。ここでは様々なキャリアに関するプログラムを国の委託を受けて実施している。ユースパスウエイの他、失業者の為のトレーニングプログラムや起業のためのプログラム、資格取得などもできる資格を持っている。
この地区は中国系の富裕層の多い地域であるが、移民の多い地区の為に家族が英語が話せないなどの文化的な問題、また落書き、不登校、アルコール、ドラッグなどの問題も多い、富裕層の多い地区の子供達は両親が働いているためにかぎっ子や学童保育等で親の関わりが少ない家庭が多い。
前回の訪問時に一度訪ねているが、その後のユースパスウエイの運営、実践の状況について、また今回は職業教育制度についての話を伺った。


<オーストラリアでの職業教育制度について>
オーストラリアでは全国職業教育制度ボケーショナルエデュケイション(VET)という制度がある。 1~4の段階がありそれぞれの段階には一般教育での基準と同等の資格が与えられる。(1、2義務教育相当、3高校卒業資格相当、4短大相当?)、この基準は全国共通である。この資格はRTOという認定資格のある学校、または職業訓練機関で取得できる。
認定資格のある学校または職業訓機関から派遣された先生が来て、VEC―1を取得した場合、普通学校の9年生を終えた事となる。またVEC―2を取得する事により普通学校10年生を終了した事となる。オーストラリアでは10年生までが義務教育となる為、その後は高校において普通教育を受けることもできるが、または見習い工などとして更に高い職業資格を取りながら働き、11年生、12年生を終えることもできる。
このような制度ができたのは約12年前だという、それ以前はそれぞれの地方や学校により一貫性のない資格基準を置いており、一部の学校などではディプロマ等の資格が簡単に取れるなどの問題があったが、この制度ができたことで均一になった。また日本と同じように普通教育において脱落する若者が多かった事もあったが、この制度により普通学校を辞めた若者もその後の進路が持ち易くなった。また、普通教育の中での職業教育が定着したのも8年前程からである。この制度により高校卒業資格をとった場合、いくつかの教科においては大学への進学資格も得る事ができる。また、このような資格制度はあくまでも各種の職業適性能力のみを評価するものであるので、学校教育に脱落した若者、もしくは大人であっても段階を踏んで職業資格を取る事ができ、それが国の基準にしたがった義務教育、高等教育の資格として評価される。



<具体的な資格取得のためのプログラム>
*T-Vet(学校に行かなくても卒業資格が取れる制度)3日間学校、2日間職業訓練等
*トレイニーシップ制度(1年間)(主にビジネス、小売、接客等)
週のうち半日はTAFEにて座学学習、他は現場にて仕事をすることにより職業訓練資格3が取得できる。
*アプレンティスシップ制度(4年間)(主に職人、メカニック、シェフ等)義務教育の10年生を終えている事が条件。仕事が中心になり、週1回のセミナーを受講する。









<ユースパスウエイでの実践について>
対象:13歳~19歳で学校に行っている、または学校を辞めて12ヶ月以内の人
目的:1)予防、防止、なるべく早く学校教育の中に入れておくことを目標にしている。2)何らかの形での職業教育、3)仕事の支援 を目的として活動している。

ユースパスウエイに来た若者をどのように支援するのか?
1)個人がどんな問題を持っているのかを明確にする
2)どのようなバリアがあるか 15つのバリアを参照する。
3)どんなバリアがあるかを話し合って、本人と契約をする。
EX:学校に不満足、読み書きができない、など 同意すれば、TAFEで勉強等。
4)基本的な問題 小グループ、カウンセリング、
EX:不登校・・・なぜ、不登校? 精神疾患、自己尊重心がない、仕事につながらない。
5)対処できないほかの分野 
EX:家族の問題、兄弟の面倒を見なくてはならない・・・→他の可能性も検討
6)グループ分けする(同じ共通点を持った人をグループ分けして、活動する事も有効)
EX:ライフスキルについて コミュニケーションスキル等どういうキャリアに興味があるかというテスト、履歴書が書けるようなセミナー、チームで何かするという事を学ぶ、自己尊重心を学ぶなど。勉強の仕方、図書館の利用の仕方を教えるなど・・・。

【具体的なあるクライアントについての事例を紹介】
15歳以下 非常にリスクを抱えた子供 
*スクールカウンセラーから 13、4歳で学校嫌い、授業に出ないなどの落ちこぼれの子がいると依頼を受ける。
カウンセラーはTAFEに行くように勧めたが、TAFEにいける年齢でなかった。
本人は行き場がなく、誰に相談してよいかわからなかった。
→この子のニーズ、目標が何かという支援プランを作るのにユースパスウエイを使った。
*基本的には学校に戻す事を目的としてプランを立てた。
*このプログラムを実施する為に学校に行かなくても良い日を作る週半日つくってもらった。(学校に行っていても問題行動なら、こちらに来たほうが良い。)
*最初は準備期間12週間・・どういうことをしたらいいかを見る。アクティビティー等をする。 *第二段階・・12週間 BBQ台を作る等 自信、達成感を作る 何かを建設的に物を作る。
*第三段階・・自信をつけて学校に戻す。
*グループで行動 +個人の必要に応じたカウンセリング、支援も行う。




*15のバリアについても同時に対処する

このような事例がいくつもあり、実績ができるに伴い学校との関係性はだんだんとできてきたという。しかしこの国でも実際は学校との連携は非常に難しく、この団体のようなNPO等の努力により学校との信頼構築がゆっくりと進んでいるようだった。
学校との連携に必要なのは学校にこまめに通い、先生の仕事をとるではなく、アドバイスをするのだという姿勢で望む事だという。
また、スクールカウンセラーについては一人当たりの仕事が多く、一人で2、3校を兼任している為に地域コミュニティーとの連携ができていない、その点でこのようなNPO団体がになう役割は大きいとの事、この点についても日本と共通点であると思う。
学校にはスクールカウンセラー、進路指導員(キャリアアドバイザー)福祉チーム(ウエルフェアチーム)(主に学年主任などが入っている。)が連携して子供達の支援に取り組んでいるが、この団体では主に福祉チームにアドバイザーとして参加し、活動を行っている。


■参考URL  
http://www.sgcdc.com.au/

■参考資料
Youth Pathways Initial Transition Plan





 



Department of Education, employment and Workplace Relation

2008年度9月海外調査(シドニー) [NO.6]


訪問先名称:Department of Education, employment and Workplace Relation

     (教育雇用職場関係省)
訪問日時:2008.3.10


オーストラリアの教育科学訓練省シドニー支庁
ケンさんはNSW州のYOUTH PATHWAYSプログラムのコーディネーター。2005年の訪問(宮本、岩本)の際の担当者。その時はできたばかりだったプログラムがどのように社会に浸透してきたか、その評価などをインタビューした。今回のインタビューにも快く応じてくれ、また他のプログラム団体への橋渡しをしてくれた。



<内部資料の説明(守秘義務のある資料)>
・提供者側の支払いの実態
各州でプロバイダーがどれだけいるか。
参加者数


・2006年に財源の83.46%を受けた。2007年には95.17%。完全に執行することが困難だと報告している。プロバイダー(提供者)の意見では、学校・地域がうまく紹介してくれないため、プログラムがあっても現実うまく利用されていない。


・2006年29の供給者が契約の100%を遂行。2007年では97のうち57の提供者が100%提供できた。次第によくなってきている。


・プログラムは、1.アセスメント 2.援助 3.継続支援。3段階まで到達した人の数はかなり増加している。2006年と2007年で財源は50%増であった。財源は、精神保健財源からの財源とも関連している。なぜなら、参加者の20%が精神疾患をもっているといわれていて、大きな問題を抱えている。
2006年 登録している参加者のうちフルサービスを受けた人が62%
2007年 登録している参加者のうちフルサービスを受けた人が77%
かなり上昇している。成功したのはよい連携をもっているからである。早く連携をもち、若者が興味をもつようにしていることが成功の鍵。当初、提供者は学校へいってもどういう人がサービスを必要としているかがわからなかった。学校との信頼関係を築けたことが成功したこと。はじめは厳しい状況だったが改善された。


・午後訪問するキムさんのプロバイダー:若者との関係をうまく築けなかった。なぜなら経済的に裕福な地域であること。若者が少ないこと。


・リサさんのプロバイダー:うまくいった地域。若者の数が多い。若者の数が多い。ワーキングプアが多い。財源は人口に対して支払われる。


・参加者の特徴:父親がいない男子(調査の結果。父親の影響のない男子は学力だけでなく学校ですべてにおいてうまくいかない)、18%・15% 先住民12%・11%、障害者、9%、6% 文化的多様 8%・8%、介護責任のある若者 6%・4% その他 59%・53%


・参加者のゴール:1.学校 38.8%、2.TAFEなどの専門学校 16.4%、3.見習い訓練 7%、パートタイム雇用 10.6% フルタイム雇用 10% ジョブネットワーク活動への参加 2.8%、無業 14.1%


・2006年首相が精神疾患に関するイニシアティブをとり大きな財源を使うと発表。一部をユースパスウェイズが獲得した。精神保健財政によって50%予算が増えた。サービス提供者は、精神疾患のケースワーカーとして働けることが条件となった。


・モニター・評価・報告の枠組み:中間・終了後の2回参加者からのアンケートをとる。外部コンサルタント会社が評価する。かなり綿密。どのような改革をするかを明らかにする。参加者の話、提供者の話、契約会社、行政などが評価対象となっている。


・2006年の結果
サービス対象者の多くがバリアをもっている人たち。85%はまだ学生か何らかの教育・養成を受けている。うまくいった。


・メンタルヘルスの意味:そううつ、分裂を含め全部をさす。分類は行っていない。ケースワーカーは診断の能力、資格がないし、それを期待していない。学校その他の組織から把握する。本人が打ち明けることもある。発達障害もある。


・対象は13-19歳(12歳も含める)。基本的に学校につなげることが主な目的。
学校をやめそうな子、やめて1年たっているがもう一度学校へもどれるのではないかという子を、リコネクトする。



<学校との連携をどのようにとるのか?>
・3つの学校タイプで異なる
公立学校―副校長または学年主任、カウンセラーが担当。YPを歓迎
キリスト教系学校 個人ケアの体制をもっている。YPを拒否。
私立学校 YPを拒否。


・誰が担当なのか、適切な人を探して進める。連携するのに一定時間がかかった。
学校によって歓迎するところと拒否的なところがある。


・省庁から学校へ連携を強制することはないのか?
学校によって管轄が違う。公立は州の運営、YPは連邦政府なので強制はできない。したがって法律上は権限がない。しかし公立校は歓迎している。私立などは独自の仕組みをもっているので結構だという。それでも利用している学校はある。




 <学校を去った子を再び学校に戻すことは効果があるのか?>
・新しい学校へ移ることを勧める。最低義務教育は必要。専門学校で卒業証書をとらせる。またはTAFEで高校資格をとる


・YPを使って多くの生徒は専門学校で卒業することが多い。 職業教育を受ける場合もあるしそうでないこともある。
普通学校がきらいな場合は、TAFEへ行って職業教育を受けることが奨励されている。
10年生が修了していないコース、12年生を終えていないと受けられないコースもある。


・普通教育がきらいな生徒には職業教育が非常に重視されている。研究および政治的レベルでは、もっと専門職を養成すべきだといわれている。たとえば電気技師、配管工などで、現職がリタイヤする時期。人材が不足するだろうと予測。職業教育が奨励されている。 



<職業教育について>
パンフレット:キャリア・アドバイス・オーストラリアを紹介
 

・系統的な職場学習:学生が数週間職場体験
キャリアと移行サポート:地域コミュニティパートナーシップ 全国213ヵ所
 

・業界がどのような状況なのか情報を提供する
これらの状況を若者・学校などへ情報として提供して働きかける
キャリア・インフォーメイションセンターもある
 

・新しい行政省になった。教育・雇用・職場が入っている
雇用に関する業務対象
準備ができている人
バリアがある人
事業主
 

・予算は連邦政府、提供者はNPO,ビジネスなど
5つのプログラム:就職する準備ができている人の場合
 

・Job  Network 全国的 対象者は長期失業者
Disability Employment Network JNと似ているが、障害者、雇用後も継続支援必要
Vocational Rehabilitation Service 先天的疾患を「もっている人、雇用される場所への支援


・New Enterprise Incentive Scheme 失業している人が起業するための支援

・ Indigeneus Employment Policy 先住民雇用支援


・準備ができていない人に対して
40万人が失業中。うち複数のバリアがあって仕事につけない人のプログラム。2年間
支援。健康、住まい、薬物などの克服


  ・Job placement employment and training
15-21歳でホームレスのリスクのある人
目的は生活の安定―>地域・人々につなげる
薬物、アルコール、虐待、家庭崩壊、四世代も働いたことのない家族。


  ・Work for the Dole
    失業手当を受けている人々のための作業体験。地域で必要とされている仕事を見つけて体験させる。作業体験。地域で必要とされている技術を身につけるためのプログラム。
コミュニティワーク コーディネーターが提供する。
例;観光名所の美化活動。特別養護老人ホーム。
専門職の仕事を奪わない範囲。文化遺産、環境、地元地域の整備。18-64歳対象。18-20歳 2週間15時間作業。55歳以上はもっと短くてもよい。
ホスピタリティ コース
調理・接客業は要求が高い分野。ホームレスの食事作りもやっている。
接客スキル。倉庫の整備スキル。庭のいす・テーブル作り=>地元高齢者施設に提 

失業手当を受けるのにある人はかならずこの活動に入らなければならない。
相互義務に同意
保険というものはない。仕事のない人はベネフィットを受ける権利がある。学卒後仕事がなければ手当てを受けられる。しかし権利に責任が付きまとう。いつまでも仕事に就けない場合も、手当てを払い続ける。さまざまな手当てがあるが、それに関する規則がある。求職活動を続けなければならない。ワークフェアの哲学。1930年代不況期から続いている。


・Green Corps
  若者のためのプログラム。スキルを身につけ雇用を得るため、10周年。文化遺産や環境遺産の維持。75%は地方遠隔地の支援を考えている。干ばつだったから。5つのプロバイダーによって案を本省に提案する。スポンサーを探してこなければならない。地方自治体、ランドケア団体、地元団体など。本省と文化・アート省が承認する。
17-20歳 新しい仕事スキルの向上、社交スキル向上
26週間単位10名、参加者がやめた場合は加える。16歳半でも参加できるが問い合わせをしてから。市民権があってもなくても参加できる。遠隔地では特に先住民に参加をうながす。手当てではなく、作業に対して支払いを受ける。自分のお金になる仕事。もっと働きたいという意欲を高める。やっと生活ができる金額。失業手当より高い。多くは親と住んでいる。そうでない場合は非常に厳しい。親の家に住めない場合は家賃補助がある。JBともかかわる。親と同居して保護を受けられる場合はプログラムの成功率が高い。
野生動物の保護
野生動物に無線をつける活動
砂丘で亀が卵を産むのを守るために人や風が入るのを防ぐ柵を作る活動
コアラの生息する場所を異動する活動
先住民と協力してブッシュタカという食べられるブッシュを集める活動
歴史的鉄道の保存
予算 2007-8年の1年間 2500万ドル
174プロジェクト 最低1740人参加
2007年 10年間の結果
18000人
1400万本の 樹
8000kmの柵
9000kgの種
37000ヘクタールの草取り
個人の利益
雇用を得る
認定を受ける訓練
生活スキル
チームワーク、多様な人との交流、規則的な生活、6か月以内の仕事経験で仕事がみつかる
プロジェクトワートナーと接するー>地元の動物園への就職
88%の参加者が満足
3ヶ月後に57%が仕事に就いている
TAFEや学校に行く人
園芸関係
どちらにも属さない人もいる

JPとGreenCorpとが連携して進めるー>Job networkへ紹介する

・オーストラリアでは、仕事がない場合には誰でも手当てを受けられることを知っているので、Centre Linkへ行って支払いを受けるのがあたりまえ。これらの手当てを世帯でシェアすれば生活できる。つまり共同生活すれば生活できる。


・このような状況に対して、一方では「太い竹棒が必要だ」とはいわれている。働こうとしない人を生まないためには、竹でたたき続けることが必要だという意味である。

 

■参考

Connexions City Center


2007年度海外調査(イギリス) [NO.1]      


訪問先名称:Connexions City Center
訪問日時:2007年11月26日
場所:Birmingham


*【訪問意図(宮本)】*
景気が回復してきているけれども、学校から仕事への移行の制度が不十分な日本の参考にしたい。包括的な支援システム(ホリステックなアプローチ)から学びたい。高校中退ぐらいから34歳までの仕事に就けない人、メンタルに困難な人などへの支援のあり方を模索している。


*【若干の説明】*
・新しい転換期を迎えているコネクションズ:(笑い)義務教育後継続教育18歳まで。コネクションズは13歳から19歳を対象に働いている。コネクションズの財政は政府から来るが私的機関である。組織の形式の株主はいないが一般の会社と同じ。コネクションズは変化の時にある。
コネクションズの活動は関連組織と共同化していく形に変わる。ユースサービスとか少年犯罪関係の機関ともう少し緊密に働いていかなければならないということで資金がそちらにも回っていく。子どもが0歳から発達していくのになにが必要か考えてまとまった形で働いていくようになる。予算は1400万ポンド(30億)がバーミンガムのコネクションズに下りる。13歳から19歳までの14万人くらいの若者を対象に働く予算。軽度な障害者も含めて学習障害のある場合は25歳まで対象になる。
昔に比べて、成長が早くなっているのでもっと若くから始めないといけなくなっている。他の同じような機関とどのように組み合わせたら効果的か思案中。13歳以前と19歳以後の活動をしているところとの共同関係を模索している。19歳になろうという時点で、成人対象の活動に送り渡す活動をしている。学校在学中の13歳の時点でコネクションズの内容について教え、15歳から16歳の時点でPAと一緒に個人やグループで活動を始める。学校の中ではキャリアサービス、将来性のある仕事に就くためのガイダンスを行う。PAというのはその他のソーシャルサービスと協力して若者がニートにならないように見ていく。エデュケーションソーシャルサービスは、学校に出ているか、なぜ出ていないのか見たり、家庭に行ったりして調べる仕事で、市の職員である専門職のワーカーがあたる。一人で何校かの学校を対象にしている。





*【質疑】*
Q.チルドレンズトラストとはどういうものか?
A.組織があるわけではなく概念みたいなもので、それぞれの代表からなる委員会のようなもので、子どもにかかわる活動に対して中央からそこにお金が入ることになる。一箇所に集めて予算を割り当てていく。どのようにそれぞれの団体に配分していくのか、来年の4月1日から、どうやって配分されるかは委員会で決められる。コネクションズには4つのやらなければならないことがある。(説明はなされぬままに)。コネクションズにはそれに配分されるだろうが、実際にうまくいくのかはやってみなければわからない。理論では今までどおりにうまくいくはずだ。一人の専門の人が一人の子どもの面倒を見ると必要なものはすべてにアクセスできるようになるという理屈だ。その一人の責任者がいればすべて必要なものがカバーできる。コネクションズのお金が児童福祉の領域に流れるのではと言う不安についてバーミンガムでは、今の時点では、4つの仕事で今まで通り続くはずだ。それをやっている限りは有利な立場にあるはずだ。コネクションズのサービスが無効であることを証明しなければならないからだ。

Q.困難な若者へのサービスの手法は?
A.例えば、親でも先生でもこの子どもは危ないと言うときに書類に書き込む。照会書のようなもの。親か教師でないと書き込むことができない。本人でも書き込めるが、コネクションズのPAに見せてもいいけど、コネクションズを通して次の組織に行く。書類が届いた時点で、PAは専門の分野があり、問題によって適切なPAを選定して付けてやる。今の時点ではそうだが、今後はどんな問題にも対応できるように資格を取らせる。来年の4月までに資格を取らせようと考えている。この地域は7箇所に分かれているが、1箇所でカバーできるようにしたい。

Q.マルチエーゼンシーとは?
A.コネクションズが他の機関と働くという意味。例えば、貧しくてメンタルな問題を抱え仕事に就けないケースでは、来た時点でまずできることを見つけ、一週間後に来なさいと言っておいてその間に他の機関と連絡を取る。他の機関とは、ドラッグエイゼンシーとか、ホームレスの面倒を見るところ、そうゆうところと連絡を取る。男女の割はよくわからない。アクションプラン(行動計画)をつくってどんどんリファーしていく。今はPAが出かけていくが、これからは関係者が一堂に集まってカンファレンスやる。若者自身との相談ということでは、本人が初めからかかわっており本人が自分からやったことが大事だ。

Q.コネクションズはリード権を持っているのか?
A.その時点の事情によるだろう。情報共有が基本的なことであって、誰が主導的な立場たつかどうかではなく、その時々によって異なるだろう。

Q.予算配分について?
A.スタッフの人件費に予算が行くから、スタッフの頭数によって配分される。他に予備費を取るという形になるだろう。情報をできるだけ集めてどこに必要か予測を立てて計画を立てる。

Q.バーミンガムにはコネクションセンターがコネクションズの直営とユースセンターにもおかれているがそれは特徴か?
A.政府の方針として3種類ある、地域別に決定権を分けた。若い人がコネクションに来やすくした。

Q.19歳以後の若者をどこにつなげるのか?
A.19歳になる前からこの人はそれなりなところはへとつなげていく準備をしておいてこの時点でつなげていくのがPAの仕事。








*【現場のPAからの説明】*(10人のPAをまとめているリーダーPA)
・自分の仕事は児童保護などの法律などがわからない場合など、PAへの援助。PAの進歩の基準によってPAの観察。ちゃんとやるべきことをやっているか確認する。ニート作戦のとりまとめ。例えば土曜日などに来年卒業する生徒などに手紙をだしてニート・イベントを時々やる。そこにトレーニングプロバイダーなどがきてサービスを紹介する。社会福祉、エデユケーションソーシャルワーカーズなどと一緒に働く。問題のある子どもや学校に行かない子どもなどに支援機関を知らせる。カレッジとは職業学校とは違うが、ここがニートをとらなければならない。そのためには対処できるコースを設けて、そのアドバイスも仕事だ。関係ある人がみんな集まって一人の子どもを支援するという方向に進んでいる。
コネクションズはキャリアサービスだったが、そんなことばかりは言っておれなくなった。PAはキャリアサービスから来ていたがこの5年くらいでユースワークや心理等から来るようになった。コネクションズは若い人の生活全体を見なければならないから、やってみたらキャリアサービスだけではいけないことがわかってきた。キャリアサービスも薬やホームレスなどのバリアを乗り越えることを指導しなかったら不可能である。
初めはキャリアサービスで始まったが、次第にPAが若者と同じようなバックグラウンドから来る人が多くなってきた。キャリアサービスから来たPAとユースワークからきたPAでは、最初はいろいろあった。どうゆう組織でもそうゆうことはある。今はまとまってそうゆう問題はなくなった。コネクションズのPAがリファーすれば今は「コネクションズ」とは何かわかるし、政府の方針が周知されているから他の機関と連携がすぐ取れる。他の機関よりもコネクションズのPAは若者に深く関わっていることが知られてきている。始まった頃はキャリアサービスと変わらなかったが、今は若い人の生活にかかわってきているので変わってきている。
個人的なキャリアサービスはこれからも必要だが、学校に任せると、学校のためのキャリアサービスに陥りがちだ。学校では仕事の推薦だけで子どものバックグランドまで調べた指導をしない。PAはコネクションズのデプロマをとらなければならないからコネクションズのPAは全員必ず時間さえあれば、生徒を指導する学校の中に入るPAでもセンターで困難な若者をサポートすることもどんなところでもやれるはずだ。それでも難しい場合には自分が指導するようにする。


BAYC (Birmingham Association of Youth Clubs)

2007年度海外調査(イギリス) [NO.2]     


訪問先名称:BAYC(Birmingham Association of Youth Clubs)
訪問日時:2007年11月26日


*【概要】*
ユースクラブの運営やユースグループのサポートを手がける団体。UK Youthという全国組織の一環という位置づけ。


*【活動内容】*
・BAYCは1898年に チョコレートのカウビーという会社が出した資金でできた団体。若い女性に自由な時間とか活動する機会を与えるためにできたもの。若い人と一緒に活動する長い歴史を持っている。百何年間の間に組織は必要に応じてだんだん変わってきた。といっても最終的な目的は若い人のために活動すること。若い人を世話をするのでなくて同等なパートナーとして活動すること。

・かつて炭坑があったブラックカントリーという地域の若者を対象に活動。

・若い女性と若い女性のために働く人のための活動を展開。代行レッスンや、教育から落ちこぼれた人のためのカリキュラム、若い未婚の母親などのための活動。アクションリサーチをやる若い人をサポートしている。このアクションリサーチはコミュニティーの中でどんな役割を負っているか若い人たち自身が調べに行く活動。若い障害者のために行っているプロジェクトもサポート。

・ユースチェンジというプロジェクト。13歳から25歳の中から選ばれた若者をパネルとして実際にプロジェクトが役に立っているかどうかを見るプロジェクトを展開。

・働いているユースワーカーはみんな資格のある人か資格を取る途中の人。その資格はデプロマ、大学卒業資格の一つ下だが、2010年までには大学卒業資格にかわる。フルタイムが8人、補助的にフルタイムの人が2人。その一人はコネクションサービスから来た人。事務関係のフルタイムが3人、その中の1人はユースワーカーとしても働いている。ボランティアは2人だが、実際にかかわっているボランティアは100人以上。90歳以上のボランテイアの人もいる。


*【質疑】*
Q.資格の内容は?
A.フルタイムで2年間、パートタイムでやると3年間かかります。ユースワークに関する理論に基づいた実践方法を教える。このコースの目的は、ボランティアのようなもので始めた人をマネージメントだとかプロジェクトをやるための資格です。ユースワークとかコミュニティーワーク、あとプレイワーク、あとマネージメントに関すること、文化的背景について、機会均等といったことについて理論に基づいた実践を勉強する。

Q.対象は?
A.主に13歳から19歳を対象にしています。援助金がここに集中しているからです。障害がある場合には28歳までです。そのやり方については公的なものであってもボランティアでも同じようなもの。一応基本的には若い人が自分で選んで活動に参加する。そのボランティアというのは学校教育と比べて義務ではないということです。

Q.コネクションズについて?
A.コネクションズでは若い人が自主的にかかわったこと以外では効果が現れていない。自主的に来ていないものに対しては事務的なことが多くなり学校的になってしまう。学校は嫌だと思っている若者に対してはコネクションズの効果は落ちてしまう。もともとコネクションズというのは若者がどこにいるか確認しておく必要があった。もともとキャリアサービスとして発展したわけだが、それがそれだけではだめでもっとインフォーマルなアプローチが必要になってきたが、それはユースワークがやってきたこと。今のコネクションズというのは書類の仕事が増えて統計を取る仕事が中心になってそんな仕事が増えてきている。コネクションズがユースワークに仕事を他の団体にコミッションしているところは成功している。そのような関係から連携したプロジェクトが始まっている。コネクションズが外部に委託して仕事をしているということだ。今、学校を出ても仕事がないので最初の仕事の体験をさせるというプロジェクトであるジャスタアス、障害者の仕事というのは政府の公金でやっているが、その活動をDVDでコネクションズに提出してコネクションズから仕事が来た。
Q.コネクションズは外に出すお金を持っているのか?
A.コネクションの資金には2種類あって、500ポンドまでの小規模なものはちょこちょこ出す。5000ポンドから10000ポンドまで出すものもある。このエリアでは50くらいのプロジェクトに援助している。財政というのは対象となる若者の数によって出る。例えば6000ポンドの支援より、3000ポンドを2つ支援することが一般的だ。このプロジェクトは効果があるかどうか考える。エリアごとの割り当てがある。あんまりいらないエリアには出ない。選択指標は仕事の質そのものよりは数的なもの。

Q.補助金の割合は?
A.コネクションズからは0.009%ぐらい。(笑い)個人の寄付が多い。まったくの寄付です。バーミンガム市からの補助金が全体の3%くらい。プロジェクトについてはそれぞれに基金をつくらなくてはならない。宝くじからはかなりくる。後、ソーシャルサービス(社会福祉)からの基金、銀行、プラミートラスト(?)、などからもらっている。例えば、自分たちの文化的遺産を維持するために出る宝くじ基金、若い人を調査してジャマイカに送ったりしてレポートを書いて、応募しもらっている。4ヶ月たったがそのようにして資金をつくっている。今やっているのは学校を退学させられた子どもたちを対象としたもの。学校を退学になったジャマイカ系の若い人たちを老人介護施設に送り込んで、昔話を集めて、最近は民族といわないで、文化的遺産についてレポートをしてウェブサイトにアップする。民族的アイデンティティーを確立するために。 文化的背景を確立させるプロジェクト。理論的には白人であろうと適応できる。

Q.そんな子どもたちがまじめにやるのか?
A.やって来ないからこっちか出ていく。退学になっている子どもを専門に扱っている組織に行って、そこに行かなくてはならないところ、そこでデモンストレーションをやってみせる。リファーラルユニットといってそこから専門に送る機関がある。そこへ出かけていく。学校の中にもリファーラルユニットがある。正規の学校教育は嫌だという子に、その代行教育の場をつくったり探したりして送る機関。いろいろネットがある。移行期間専用にいろいろある。正規の機関から落ちこぼれる人はいろいろあるのでユースワークの大きい役割がある。ユースワークというのは、正規の教育ではどうしようもないと言うところまでやった後に、具体的に働いたりさらになにかやりたい場合、どうゆう機会があるのか、どうゆう技術がいるのか、仕事体験をしてみるようなことに役に立っている。

Q.いろいろな問題を抱えている若者を地域の中で包括的な支援をやる政策がすすんでいるがその責任は?
A.コネクションズというのはもともとそんな理念に基づいて、就職だけではなくていろんなことでできてきた。しかし今はシュアスタートというところが住宅から、就職、それから食事まで全体の世話をする。結局コネクションズのパーソナルアドバイザー(PA)が責任を持ってみる。そのコネクションズの効果はPAの能力による。PAがユースワーク出身の場合には成功率が高い。PAの訓練はユースワークの2年の訓練を1年にまとめたものを使っている。

Q.コネクションズの統合政策はうまくいっていないのか?
A.5歳と19歳の真ん中は学校がやる。10代の妊娠が多いので、子どもを見るという場合に母親の面倒を見る。シュアスタートというのは、そういう名のセンターがある。子どもの時から始まるのでそういう地域を対象に初めている。

Q.今の制度は貧困層に対象としているがその他の層にはどんな問題があるのか?
A.統計として一度出てその地域への見方が確立するとそちらに資金が回る。バーミンガムの都市再生政策の対象になるところにお金が回る。空港の近くの地域を対象としているが白人が多くそうゆうところにはお金が回らない。実際には必ずしもそういう分けではなく、16歳で学校を出てその後をどうするかなどもユースワークの活動内容だ。そこにもお金は出る。5年前にそれまでの反省の結果、こうゆう仕事が必要だから何とかしようと言う方針に変わった。本当は、いろんなところで幅広く活動したいが、コネクションの規定に合わせて仕事しなくてはならないところがある。例えば、ユースワーカーと若者が一緒に仕事をしてユースワーカーのスキルを高めていくことが必要。将来に継続できるユースワーカーのスキルを高めたいがそんなことをやっている暇はない。プロジェクトの中で、そこのユースワーカーを訓練したいので、やっているがその時間は限られている。

Q.ユースワーカーはどんなところに配置されているのか?
A.ソーシャルワーカーとかそんなところにもユースワーカーを取り入れています。決められたことがやれるだけでなくそれ以上の活動ができように訓練したい。他のユースワークとも連携している、また政策をいかに実行するか注目している。若者自身が自分たちの声で政策決定者に届ける活動をしている。

Q.政策に影響を与えることができるか?
A.そう思いたい。政策機関とのネットワークに忠言を絶えず出している。我々はユース機関をまとめている組織だが、日本にはこれに対応するような組織はあるか?ここの活動はなぜアソシエーションかというと、資格もなくいろいろ善意だけでやっているような団体を援助する役割をやっている。登録しておくとここの資格のあるワーカーが支援する。そんなアソシエーションである。



Birmingham Strategic Partnership

2007年度海外調査(イギリス) [NO.3]     


訪問先名称:バーミンガム市子ども・若者・家族局 戦略・委任部
Birmingham Strategic Partnership
訪問日時:2007年11月29日


*【ヒヤリングの骨子】*
○Every Child MattersやChildren’s Act、あるいはYouth Matters以降の子ども・若者行政の再編成をバーミンガム市では、どうとらえているか?ポジティブに評価する面、ネガティブに評価する面。(政策理念に関して、実際の運用や予算などの条件整備面に関して)

○こうした一連の動向以前に、バーミンガム市が手がけてきた子ども・若者行政の特徴・特色はどのようなものか、またとりわけパートナーシップ型政策・行政の経過や蓄積について。バーミンガムはパートナーシップ型行政運営の先駆けと言われていると思うが、なぜそれが可能であったと考えるか?

○市で作成したThe Children and Young People's Plan2006-2009に関して ここまでの蓄積にたって、今は何をとりわけ重視しようとしているか? またどのような点が今後の子ども・若者行政の実施において難しい課題だと認識しているか?


*【質疑】*
Q.宮本:every child matters以降、イギリスで子どもサービスに関して具体的な取り組みがどのように進んでいるのかを知りたい。実際には縦割り行政を横に括りなおすには、相当の協力や政治的な力が働かないと進まないと思うが、具体的にどういう形でその意取り組みがおこなわれているのか、そのあたりをお聞きしたい。
A.・公共部門では「うちのサービス」という意識がかなりある。それを払拭し、「子どもと若者にとって必要なものは何か」を優先し、それにあわせて仕事をするという風に考え方を変えなければいけない。

まず、子どもの成長・生活についてすべて、あらゆる人たちがサポートしなくてはいけないという考え方を導入した。そうは言っても、理想を完成するということと、実際の組織を変えていくということはまったく別の話である。そういう点では、政府が新しい方針、つまりこういうやり方で子どもたちのことを考えるべきだと主張したのは非常に立派なことだった。

今までどちらの政権においても、問題のある子に対して何かをするということだったのだが、子どもと若者をすべて対象にするという考え方は非常に新しくて斬新なことである。

・まず国が5つのスローガンを立て、これに自治体が同意した。

・いままで伝統的に、学校は成績を上げるという成果にだけ集中していた傾向にある。福祉は二次的な問題であるとされてきた。今はすべて平等に、すべての子どもがこれを享受すべきだという考えを導入した。これは餌である。監査は罰というセットで進めている。

・監査に対しては十分に金をつぎ込んでいる。国は枠組みを提示し、実行は自治体に任せた。これまでの監査では、「どういう風にやっているか、何をしたか」を主に聞いた。そして最後に、たまに、「成果はどうだったのか」と結果について、たまに聞くだけだった。いまは、「子どもたちがどういうことになっているのか」、何をしたかではなく、「どうやってそれを確認しているのか」、「なぜそれがわかるのか」を問うようになった。

Q.宮本:それは財政的な問題もあって、成果に対してシビアになったのですか?
A.・政府の意見としては、政府はかなり十分に財政をつぎ込んでいる。政府がいうのは成果であり、そのためにこれだけのお金を入れます、ただし、それをいかに効果的にやるかは自分たちで考えなさいという姿勢である。政府が方針を出したのではなくて、「これを達成するためにはこうしなくてはいけない」と、結果の重視に変わったということです。

・どうやってやるのかは言わないというのは、その責任を取らないというのではなく、集中化を和らげようということで、そこは地方で責任を持ってやりなさい、というように見たほうがいいだろう。

・ここにはOfstedが監査に来る。教育に関係あるところだからである。監査では、どうやっているかに関しては口を出さないけれども、成果にはどんどん口を出す。Ofstedは、学校に関しては非常にすぐれた専門家だったが、その他の分野(ここのような)については必死になって勉強している。

・監査の対象が年々広がるにつれて、Ofstedに対する社会の要求も大きくなっている。子どもの福祉に関して監査をやっていた機関を閉鎖し、その職員をOfstedに移したというような形である。それだけ、まったく別な背景の組織が一緒になってやっているということで、今さまざまな問題がある。

・戦略ディレクターStrategic directorのTony Howell がバーミンガムの子どもの福祉と教育の全てに責任がある。

・バーミンガム市の子ども・若者・家族局の5人のディレクター以外に、子どもにかかわる例えば警察とかコネクションズも、バーミンガム市カウンシルの外部にある機関だが、それも全部合わせてこの人が全て責任を取る。

Q.宮本:これはこれまで責任をもたなくてもよかったということですか。
A.・このポジションがなかったという意味である。

・代議士と行政職で構成されるキャビネットがある。市の内閣でメンバーは10人。その中に、Tony Howellもいるわけです。

・この人の責任のひとつに、関係各機関が協力して働くこと、働かせなくてはいけないというのものがある。

・Children’s trustをおかなければいけない。しかしその形態に関しては具体的には示していない。公共の運営になるのか、私的なものになるのか、このことはそれぞれの地で決める。

・バーミンガムの場合は、子どもの福祉・教育に関係のある機関の長が集まって、月に1回は討議をするという形になった。2年前に開始。Every child mattersが2003年に出て、2004年から開始された。

・共同に関しては、チーフ全員で同意書を作った。

・伝統的に、子どもの福祉については手薄だった。学校教育については非常に高水準の成果があった。

・コネクションズとLSCのように、政府が地方当局を通り抜けて作ったものもいくつかある。

・それぞれの機関には組織の文化というものがある。しかし今回の改革では、政府はそういうものは脇において、子どもの福祉と教育に関して成果を上げるよう努力をしなさいと言っている。

・子どもにいろいろな問題があっても、それぞれの関係機関が分離している限りは、全体像を見る人がいないので、このような政策を出した。

・2004年のChildren’s Actのなかに、Chldren’s Act 1989年が失敗した理由が書いてあるはず。

・子どもサービス全体にとって、コア・スキルの確立が重要。つまり子どもに関係ある機関から来た人たちが、まず子どもと働くことに必要なコア・スキルというものをもつことが非常に大切である。
そこで、子どもサービス職業者集団の発達Children’s workforce developmentが重視された。 

・今は、当初の熱意が少し収まった感じである。いざ始めてみたら、それは非常に難しいということがわかって、現実に目覚めたという感じだろう。頭が冷えてきた。できないことは無いけれども、コア・スキルといっても、これまでにあった組織がそれぞれのやり方でやっているのであり、それを越えて皆で共有するということは、非常に難しいことである。ただし、非常に重要なことであるから、それは達成するべきである。

・イギリスというのは、他のヨーロッパ諸国と比べて子どもをあんまり喜ばないという伝統的な雰囲気があるのではないか。子どもとか若者に対して恐怖感を感じている大人がいるようである。他のヨーロッパと比べてイギリスはその傾向が強い。

・それを何とかしなくてはいけない。われわれは歓迎されていないと子ども達自身が感じている。例えば試験の結果なんかが出たときには、結果がどうであろうとよくやったと、みんながそういうことが大事である。

・そこで、あちこちに子どもの書いたポスターを貼っている。われわれは君たちを誇りに思っているというメッセージである。あんまり子どもというのを尊重しないという風土を変えようという試みである。この方法だとそんなにお金はかかっていないだろう。2~3000ポンドだろう。

・それは子ども達へのメッセージだけではなく、ここで働く人たちも、自分たちの目標はこれである、子どもを尊重するということを常に確認していくためでもある。

・TVやマスコミが描く子どもや若者のイメージが良くない。そういうものに対抗するためにも使われている。

・子どもといったときには、上限19歳。特殊な事情があるときには29歳くらいまでは責任を持つけれども、一般にはそれ以後は大人として扱われる。

・これまで ある教育段階が終わったら次の教育に行くか、訓練か、仕事に就きなさいといってきたが、法的な規制はなかった。18歳までは必ずどこかにいなければいけないという法律が始まりつつある。
それまだ最終的には法律化していないけれども、もうしたも同然になっている。だた、18歳まで全員学校教育を受けなさいということではない。

・ニートになっている子どもというのは、80年代に雇用関係で辛い思いをした親の子どもが多い。親を見ているから、わざわざせっせと働いたりしても無駄であるという傾向が強くなっている、親の影響というのが強くなっている。80年代には製造業が相次いで閉鎖した。10万の会社がなくなった。そのため文化を子どもに伝えられなくなった。

・親たちがリストラにあって、その低学歴の親の子ども達が、勉強してもしょうがないという風になって、仕事も就かないでぶらぶらするようになった。労働問題という話が出たが、結局、親がなにもしないというのを見て育った子どもは、そうなってしまう。

・25年前に非常に失業率が高くなってしまった地域は、今でも難しい問題を抱えている。この状況が正確に分析されて、統計数値で出ている。


■参考URL等
http://www.bhamsp.org.uk/


Birmingham City Council Youth Service

2007年度海外調査(イギリス) [NO.4]     


訪問先名称:バーミンガム市学校教育・変形教育部ユースサービス担当
Birmingham City Council Youth Service
訪問日時:2007年11月29日


*【ヒヤリングの骨子】

Every Child MattersやChildren’s Act、あるいはYouth Matters以降の子ども・若者行政の再編成をバーミンガム市では、どうとらえているか?ポジティブに評価する面、ネガティブに評価する面。(政策理念に関して、実際の運用や予算などの条件整備面に関して)

こうした一連の動向以前に、バーミンガム市が手がけてきた子ども・若者行政の特徴・特色はどのようなものか、またとりわけパートナーシップ型政策・行政の経過や蓄積について。バーミンガムはパートナーシップ型行政運営の先駆けと言われていると思うが、なぜそれが可能であったと考えるか?

市で作成したThe Children and Young People's Plan2006-2009に関して ここまでの蓄積にたって、今は何をとりわけ重視しようとしているか? またどのような点が今後の子ども・若者行政の実施において難しい課題だと認識しているか?



*【子ども・若者・家族局は5つのセクションから構成されている】

1.transforming Education, 2.inclusion Services 3.specialist service 4.strategy & commissioning 5.Business support

ユースワークは、もともと教会の活動から出たもの。1960年以後ユースワークが仕事として確立してきた。現在は大学卒業の資格をもつユースワーカーができた。

・ユースサービスは4つの目標(Youth Mattersで提示)を達成しなければならない。
「10年計画 the National Service Framework for Children, Young People and Maternity Service, 10 years programme to stimulate long-term and sustained improvement in children’s health」
政府が出した初めてのもの。妊娠から大人になるまでの公正で高い質と統合された保健・社会的ケアを強化する、子ども・若者・妊産婦の保健・社会サービスの標準を確立するもの。


*【1.ユースサービスは、ユニバーサルサービスである】

問題がある若者だけの対策ではなく、若い人一般の政策である。
若者のための場所(プログラムを実施している場所)は、安全に楽しく皆で一緒に過ごせる所であり、そこにいる大人は資格を持っている。若者に何をどのようにサポートするかを理解している人がそこにいるということ。若い人なら誰でも行ける。問題を持っている人でなければいけないということではない。
これが、とくにコネクションが中心にやるようなサービスである。義務教育が終わった先のことをサポートするサービスである。

*【2.情報、助言、ガイダンス】

この中の一つがキャリアサービスである。
情報サービス:インフォメーションショップ(学校教育の外にあるいろいろな問題についての様々な情報提供)市内に5ヶ所ある。

*【3.コミュニティに積極的に参加する】

 全国に100万の機会を作ろうという計画
自分が役に立っている、コミュニティの中に役割があると若者は責任をもって仕事をしようという気持ちになる。




*【質疑】

Q.宮本:フィンランドでも若者の参加への取り組みが積極的に行われていたがイギリスでもそうか?
A.・だいたい北ヨーロッパではそういうことがかなり広く行われているのではないか。
・これの一番いいところは、今まで過去20年間くらい若者政策というと、若者対策をどうするか、若者の犯罪であるとか、そういったことをどういうふうにするかということだけが政策の対象だったのが、この政策はそういうのではなく、健全な若者にさらに機会を与える、そういうところを見ているところが非常にいい。問題がある若者を引き上げるとか、問題があるから対策をとっていくのではなくて、若者であるからそういうことがあって当然だという気持ちであたることが重要である。

Q.宮本:2007年の提言の長所:ポジティブ・シフトになった理由は何ですか?
A.・過去20年間は、若者対策だったが、ポジティブ・シフトになった。それは、今の大臣が非常に楽観的であるという個人的な性格、その人の個人的理念によるものではないか。それがかなり大きく影響しているのだろう。
・学問的な調査結果でも、全体を上げれば、問題グループも底上げされることが明らかにされている。

Q.宮本:例えばシュアスタートとかを見ると、全体をあげるというよりも問題が多い部分を底上げするという印象を受けるが、それとは違うか?
A.・ここは18歳から19歳が対象だから、シュアスタートについてはそちらの方が良く知っているだろう。

Q.ポジティブ・シフトというのは、シュアスタートなどとは違う独立した傾向なのでしょうか?10代ですね?
A.・ユースサービスは13から19歳なので、そこをみる傾向がある。0歳とか5歳ということについてはあまり関与していない。
・シュアスタートは、子どもの保護から出てきている。保護というのは問題があるから保護するのであり、そういうかたちでネガティブな方面が見やすいのではないか。子どもの福祉全体というと悲劇的な事件をきっかけにしたということがあるので、ネガティブなところを治そうという風に見えがちである。
10代になると、積極的に可能性を高めるという方向にある。



*【4.困難な問題を抱えた若者を対象にする】

複合的な問題をもった若者を対象としている。
複合的な問題のある若い人というのは、解決のためにはたとえば14ヶ所くらい行かないと改善されない。しかし、これまでは横のつながりが全くなかった。

〈統合的な若者サービス(IYS)〉
サービスは統合的に行われなければならない。
実際にどういう組み合わせで、どのようにやるかは各地方に任されている。
各地方でいろんなやりかたがでてきている
一般的な例:ユースサービス、コネクションズ、犯罪防止関係、10代の妊娠、麻薬関係などの機関が集まる傾向がある。

諸機関の統合は、言うのは簡単だが実際には問題がある。
1.情報の共有、2.訓練の共同実施、3.会員で頻繁に会合をもつ

・目指すべき方向はみんな理解している。問題は、どうやってやるか、何をやるかである。ごちゃごちゃ言わず、とにかく成果が現われるようにすることが大切である。また、何をやるかではなく、どうやってやるかだ。
・今後、ユースサービス向け予算が、青少年のその他のものへと移動することもある。既得権はきかない。その一つの傾向として、政府のお金が地方当局に来る場合、細かく分かれずまとまってくる。使い方は地方が決める。人口サイズに応じて、ラベルをつけないで国からまとめてくるのである。
この隣の建物は中央政府の支所で、そこからお金がくる。学校関係に関しては配分が決まっている。しかし徐々にその傾向を緩めていくといわれている。「追加達成目標」といって、超困難な課題を達成したらより自由に予算を使ってよい。
・政府は徐々にお金の決まりを緩めていく方向にある。そうすると言っている。
・ユースサービスは、法的に絶対やらなければいけないという法令はないので、お金を出さなくてもよいと理屈的にはいえる。非常に有効なユースサービスなら、若者一人につき一年に120ポンドを使ってよいとされている。現在バーミンガムは60ポンドくらい使っている。

・今までユースサービスは法律がなかったが、今回初めて法律でユースサービスを位置づけ、地方当局は若者にさきほどあげた4つのことを提供しなければいけないという法律になっている。
・ユースサービスの法的義務化とは?
25%の若者に接触しなければならない。若者がこちらを一目見て「いや」と言ってもそれは構わない。ここは27%に達した。




*【質疑】

Q.宮本:27%というのは調査で把握しているのか?
A.・若者の27%がまず機関に来る。その次の目標として、その中の60%が実際にそこの活動を利用するようにならなければいけない。

・最初の27%が、その後何回も来るようだと、その時点で書類を渡して、名前、住所、民族などを書いてもらい、それを記録に載せる。最初は若者が書いてくれるか心配だったが、結構何の困難もなくやってくれる。

・データは、各地のユースセンターごとにまとめて、中央にまとまる。

・最初やったときはユースワーカーの反対があった。そういうことはユースワークがすることではないという反対だった。最初はそういうことを聞き出すと若い人が来なくなるかもしれないという心配があったが、そういうことはなく若い人は来てくれた。

・そういうことをすると、お金をもらうための証拠になる。統計的に説明できるので結果的には皆非常に喜んでいる。

・年に1回は中央政府に集めた統計を報告する。それによって中央のデータベースができる。中央のデータベースとは、ユースサービスの関係のデータベースである。

・統合政策のなかで、各自がそれぞれやっていることを、どうやってまとめるかということが問題となっている。この用紙は去年の結果である。何人職員がいるとか・・・1年に一度・・・全国比較である。
情報の取り扱いとか統計の取り方が非常に洗練されてきて、それを大いに使っている。

Q.宮本:非常にいいことだけれども、統計を取るために非常に多くのエネルギーを使っているのでは?
A.・最初の投資は非常に大きかった。各ユースセンターにコンピューターを入れて、その専門職員を雇う。そういうことで準備にお金がかかったけれども、それについては中央政府からお金が出た。

・一番重要な変化というのは関係者の職員の中の意識の変化である。こういうことが重要であるということを皆意識してきた。

・議論のやり方として、例えば学校の教師でとか、医者とかの職業は記録が全部ある。ところがユースサービスはそういうことがなかった。医者・教師・弁護士の仕事と同等の仕事としてみてもらうために、こっちもそれなりの記録をとっておくべきだ、そういうことを利用するべきだということが議論された。

・ユースサービスで働く人は、最初は面倒なことを言う人がいるけれども、ちゃんと説明して、子どものためになるということを説明すれば、なんだかんだ言わずに非常に熱心に働く。とくにここに来る人たちというのはお金を目当てにする人はいない。初め反対する人もいるが、いかに子どものためになるかということを筋道立てて説明すれば非常に良く働くし、変化に非常に柔軟に対応する。

・特に問題がある若者に関しては、このデータを関係各当局の人たちが共有できるようにする。今までユースサービス関係は政府に対して非所に批判的だった。これに関しては非常にいい方向に進んでいると思う。

Q.宮本:数値で出すというのは大変重要なことだが、場所によって困難なところとか楽なところとか当然あると思う。そこのところはどう勘案するのか?
A.・全市合わた数字でものをいうから、ちゃんと合う。

Q.宮本:評価のポイントは?
A.・利用する若者の数で評価するということはない。年に1回、年の初めに、各ユースセンター、ユースクラブはそこの達成目標を提出する。その目標に達したか、達してないかが評価のポイント。
だから、それぞれが現実に添った目標をたてて、それにむかって活動する

・ユニットプラン(達成目標)を各地区ごとに立てて、それを合わせた形でバーミンガムの達成目標というのを作る。それに基づいて市のユースサービスの活動プランというものを立てて、年の終わりにそれを検討して、どのくらい達成したか、何が達成できなかったかを検討する。

・下から積み上げて活動計画ができるが、達成目標はすべてあの5つの達成目標につながっていく。

・例えば今日どのユースセンターに行っても、ユースワーカーは、なぜやっているのか、5つの目標にどう結びついているかということを説明できるはずだ、理屈では。そこのリーダーはその背景としてなぜそういうものが出てきたかということもすべて説明できるはずだ。

・ちゃんとした計画があっても、何事かが起こると柔軟に変化していかなければいけない。

・もともとは、ユースワークというものは計画等立てるべきではない、若い人がそこに来てやりたいといったらやるものだ、それがユースワークだったのだけれども、それでは現実的な結果がでない、成果があまり出ない。

・今、計画を立てて、達成目標を立て、それがわかって活動するというふうになっている。ただ、ユースワークサービスは若者自身の意志でやるものだから、こっちで計画を立てても向こうが来なければ仕方ない。来てもこっちと全く違うことをやりたがる、そこは常に柔軟に対応している。

・そういう意味でここのスタッフは非常に技術が必要だ。常に若者の心を捉えていなければいけない。

Q.宮本:この3日間ユースワークの現場を見せてもらいましたが、若者の心を捉えながらやっているユースワーカーがいることに非常に感銘を受けました。
A.・それほどうまくいってないところもあることはあるけれども、全体としてはうまくいっている。

・10年計画の中に、社会全体として若者は問題であるという見方をやめなければいけない、ということも入っている。

・先日結婚式に招待されたが、子どもはつれてこないで下さいと書いてあった。子どもを入れないというのはわりと多くあることで、この国では珍しいことではない。若者というのは問題であるという雰囲気は非常に強い。

Q.宮本:今回私たちがフィンランドとイギリスと両方見て、ユースワークというものがきちんとある社会だと思いました。日本の場合にはその歴史がない。そこが大きな違いと思います。
A.・アメリカにもユースワークという形はない。

・児童保護に関して、アメリカやヨーロッパに比べてイギリスの法律は非常に厳しい。

・ユースワークのエッセンスというのは、理由抜きで若者と付き合う。理由なき付き合い。他の若者に関係ある仕事の場合は何かしら訳があって付き合う。ユースサービスは若者がいやだといえばそうだと認める。一切が若者の意志による。それがユースサービスのエッセンスである。

・一人のユースワーカーが1週間のうちに子どもを裁判所に連れて行かなければいけないとか、休みの計画を立てるとか、試験の成績が悪かった子を慰めるとか家庭の相談を受けるとか非常に幅広いことを何でもやっている。若者の生活の何事も批判したり批評したりしないで、大人がサポートするのがユースサービスだ。

・ユースワーカーというのは行けば必ずいる、まずそれが非常に重要なことである。

・批判したり反対したりしないとは言っても、基準ははっきり作る。「こういうことは社会的に受け入れられないのでここでは受けられない」という基準。境界線ははっきりしている。外の大人に罵詈雑言を浴びせるとか暴力を働くようなものは受けられないということをはっきりさせて、そういうことをする子は入れないのではなく、受け入れていくように活動していく。はっきり初めにわからせることは大切である。誰でも何でも無条件に受け入れているわけではない。

・コネクションというのは悪口が書かれることが良くあるが、実際にいいことはかなりやっている。悪いことは新聞に載りやすい。

Q.宮本:今回、コネクションズとユースワークの両方にヒヤリングをしたが、ユースワークの人たちは、はじめコネクションズに対してかなり批判的だったけれども、5年くらいの間にコネクションズを受け入れるようになっているという印象を持ったが?
A.・コネクションズは悪口を書かれることが多いが、よくやっているところもある。5年間でユースワークがコネクションズを受け入れるようになっている。
ここで資格を取った9人のユースワーカーが、コネクションズに出向して働いている。あるコネクションズ(私たちが訪問したところ)の7人の中の1人がここのメンバーで、パーソナルアドバイザーとして働いている。若い人のデータを入力してここによこす。

・現在は各機関が異なった地域割をしているため、連携で障害になっている。それは今の問題である。
悲観的に見れば、すでにしっかりと確立した警察であるとかそういうものが、自分たちのやり方を変えるということはまずないだろう。完全に協力することは難しいのではないか。それでも働いている人に真摯な気持ちはある。

■参考URL等
 http://services.bgfl.org/services/youth/default.htm




Youth-wise Detached Project

2007年度海外調査(イギリス) [NO.5]     


訪問先名称:Youth-wise Detached Project
訪問日時:2007年11月28日 18時~20時


*【概要】*
オフィスは、地域のユースセンター(コミュニティセンターが一体になった場所?)の一角にある。あとで話を聞いてわかったが、彼らはvoluntary組織だが、ここは市のユースサービスのオフィスと同居しているのだという。同じ部屋の彼らの机スペースの隣には、シティカウンシルのユースワーカーたちの机スペースもあった。この日は、NickとBerdyが話を聞かせてくれた。二人とも20代後半から30代という感じ?この二人以外にあと、たぶん20代前半ぐらいのより若いスタッフが二人いて、彼らは私たちと入れ違いに、夕方の街に出かけて行った。YouthWiseというイニシアル入りのトレーナを来て、腕章のようなものを付けていた。
ここは独立したチャリティ団体で、市からも少しは資金を得ている。若者たちとは先生でも大人でも警官でもない、平等な大人としての関係を築こうとしている。それはプロフェッショナルな関係という意味でもある。


*【歴史・経過】*
ここは1985年にできた。が、決まった収入がないので、途中で予算が来なくなったこともある。当初はデタッチドワークをやっていたが、プロジェクト的活動を始めるようになったら、そちらに予算が来ることもあり、当初の活動ができなくなっていた。そこでプロジェクトも終わりに近づき、次の予算の目処が立たなくなったとき、もう一度自分たちの活動を見直すために、2006年9月から2007年3月までここを閉じることにした。
その後、あらたな予算としてneighborhood renewed fundを申請して、あらたなスタッフを募集し、07年4月からあらためて当初のデタッチドワークの活動に戻って再スタートを切った。いまはようやく組織が安定してきたところ。Berdyだけが当初からのメンバーで、あとはみなあらたなメンバー。4月からで延べ600人ぐらいとコンタクトをもっている。実数でいえば100人ぐらいか。そのうち深く関わった人が30人ぐらい。
85年前後にこの組織を立ち上げた経過は、当時この地域に4つのユースセンターがあったが、若者たちは寄りつずうろつき回っていた。たむろするだけで暴力をふるったりするわけではなかったが、そういう現状を案じるなかから、まずはうろつき回っている連中に、何が面白くてそうしてるのか?と聞いて回った。そうしたらユースセンターの活動は規則がありすぎる、それより友達と楽しくしていたいとのこと。でも、そうは良いながらも何かをやりたがっていた。犯罪の加害者にも被害者にもなりうるところを、彼らは問題を認識しようとせずに、現状にあきらめているようにみえた。自分たちは、そんな彼らに他のチョイスもありうることを伝えていくことが仕事だった。かつてはアプレンティスシップに入って、そこでいろんな年代と関わることができたが、いまは同年代としかつきあう機会がないので、ソーシャル・スキルを養う機会が乏しい。


*【活動スタイル・性格】*
活動の基本は、彼ら当事者が関心あることをやること。それが結果的には何かの学習経験になることもある。ただぶらぶらしているよりいい。主な活動はここのユースセンターなどで行うが、休暇中は課外活動に連れて行くこともある。自分たちの活動は、disadvanttagedな若者とこうしたユースセンターを結びつける仕事ともいえる。
乗馬に関心ある人を集めて一週間ぐらいのプログラムをつくったりしているが、そういった活動はいわば「エサ」みたいなもので、それを通じて当人が抱えている問題を解決していくことが目的。オートバイに不法に乗っている連中に近づいていって、もっと合法的に楽しもうよと持ちかけて、そこから仕事に繋いでいくということもある。またワーカー自身が個々にもっているスキルをうまく生かしながら、若者と関わることも工夫している。乗馬の好きなワーカーは、それでつながりをつくるなど。
若者に近づいていくときの決まり文句みたいなものは、「やったことがあることで、やりたいことは何か」「やったことがないことで、やってみたいことは何か」というもの。中にはスタッフ自身やったことがないこともあるが、それを一緒にやっていくと自信もついて次に何かやりたいと思うようになる。


*【若者へのアプローチ】*
他の機関への紹介などだが、若者たちが抱えている様々な問題のなかには専門家が必要になる場合もあるが、若者への関わり方としては、明らかに危険になる場合以外は、当事者が求めたり同意した場合に関わるようにしている。どういうサポートが必要かは、若者自身が選ぶもの。
若い人との関係づくりには時間が必要で、ワーカーたちにもトレーニングが必要。仕事の上で難しいのは、信頼関係を打ち立てること。若い人は目が肥えているから、人を見分けられる。自分たちに最初近づいてくるときも「こういうことして、金もらってるのか」とか聞いてくる。そこでいろいろしゃべっている中から関心をもって、ユースワーカーを目指すようになる人もいる。この仕事に就いている人は、概してユースワークの経験があることが多い。


*【スタッフとして】*
こういう仕事に就いたきっかけ・動機としては、Berdyの場合は、若い人たちが頼れる人がおらず、機会を与えられていないことに怒りをおぼえたこと。Nickは、自分が豊かな機会に恵まれて育ってきたために、自分が得た利益を少しは返していきたくて、この仕事に就いたという。
Nickは市の職員として、ここに派遣されている立場。市がお金を出すのでなく、人を出した形。その方が結局お金がかかるものだから。両者の立場を持つことのジレンマについては、市当局のターゲットと民間団体のターゲットがずれるようなことがあると難しいだろう。どちらかを選ばなければならなくなったら、YouthWiseの方を選ぶだろう。ここに来ているのは市の権威を示すためでなく、YouthWiseのために来ているのだから。


*【周辺地域の特性・状況】*
この地域の特徴について、白人中心で、British National Partyも一定の力をもつなど、レイシズムが生まれやすい地域。以前にかなり差別的な状況があって、いったんは地域にいたパキスタン系の人たちなどが出て行った。しかし7~8年前に人種対等のための職員がおかれてから、コミュニティの意識が少し変わってきた。そのなかで、もう一度この地域に戻ってくるパキスタン系の人たちが増えつつあり、そうすると再びその傾向への反感も生まれつつある。もともとあった製造業がなくなり、サービス業が増えているのだが、遠くまで仕事を見つけに行きたがらないために、結果的に失業率が高くなっている。
こうした話をうかがったあと、既に先に街に出ていたスタッフと合流する予定のNickとともに少しだけ周囲を一緒に歩いた。その日は雨模様だったこともあり、Nickがいうには非常に静かな晩で、ほとんど外にいる人には出会わなかったが、夏場などは途中にあった公園と空き地の中間のような場所が、若者たちの格好の夜の遊び場・たまり場になるのだと話していた。


■参考URL等
http://www.bgfl.org/bgfl/44.cfm?zs=n (Birmingham Youth Service)



 

Jericho Foundation

2007年度海外調査(イギリス) [NO.6]


訪問先名称:Jericho Foundation
訪問日時:2007年11月27日 15時~


*【概要】*
バーミンガムで多様なビジネスを展開し、長期失業者に職業訓練と有給雇用の機会を提供し、その後
【事業のミッション】
バリアを超える事。
充実した価値のある人生になるために技術をもった
非雇用者にさせること。


*【リチャードさんの自己紹介と事業の始まり】*
もともとはエンジニア、2004年にここに来た。90年代にスタート 
この地域は売春の町だった(長期失業。ドラッグ。などなど)教会を中心にはじまった。
Dropping Centre(気軽に立ち寄れる場所) をつくった いろんな問題をもった人が来るところ
公共のサービスをどうやって受けるかわからないので、そこにつなげる指導をした。
CVをつくったり、失業保険をもらう手段を教えたり、などなど
仕事に就ける事は案外簡単だったが、続けさせる事は大変だった。
いままで、まともな職に就いたことがない、また仕事経験がない、という様々な問題を抱えている為。
そのためにまずはJOB Experienceをさせる事をはじめた。
しかし、雇う側は問題のある人をとりたくない、なかなか就業率が上がらない事から自分たちで仕事の場を作った。印刷業からスタートし、カフェ、クリーニング、建築業などを企業として立ち上げ、彼らの働く場を広げている。


*【事業の概要】*
失業者のためのトレーニング、職業体験の場の提供、職業斡旋、各種サポート
Jericho Foundation =チャリティー団体
Jericho CIC(Community Interest Company)=企業として下記のスモールビジネスを運営。
Jericho Foundationで集めた資金を元に運営 
現在 コントラクト(市からの補助金など)64% グラント(寄付)15% トレイディング(業務による収益)21% 今後は半分を企業の利益からまかないたい。
政府に頼らず、政治的な問題から離れた就労支援活動をしていきたいと考えている。

プリント業  グリーンバック、プロモーショングッズ、名刺、Tシャツなどのデザインと印刷
デザイン部門 広告デザイン、WEBデザイン、マーケティングなど
クリーニングビジネス オフィス、教会、ショップなどの日々の清掃から特別なクリーニングまで
カフェ オフィス横に運営している。パーティーフードやサンドイッチの配達などもしている。
( 当日は3名が働いていた。)
建築業 ソーラーシステムの設置、古い家屋の改築、配管工など


*【売り上げ・収益と利用者】*
06-07年 100万ポンド (1.1ミリオン ポンド) 
30名スタッフ。 50名有給者 850名がガイダンスを受けている。


*【対象者】*
16歳以上の失業者対象 
2つ以上の問題を持っている事が条件 ドラッグ、犯罪経験者、麻薬、自信がない、職業経験がない、学校を出ていない など
年齢構成 18歳~24歳 75% 25歳~49歳 20% 50歳以上 5%
男女比 男性75% 女性25% 
人種:アジア人 33% アフリカ、カリビアン 13% 白人 49% その他 5%


*【典型的な例による就労までのステップ】*
27歳 家なし、ホステルぐらし、長期休業 読み書き最低限しかできない
麻薬・かるい窃盗でつかまった 自信がない、人を信頼できない
→個人的な問題を解決しないと仕事につながらない

トレーニング方法
3日間仕事 1日 仕事探し 1日 訓練(ソーシャルスキル、自信をつける、お金の使い方など)
ブリッジ(麻薬から助けるためのグループホーム)との連携により生活面をサポート
30パーセントは雇用に就くが、15パーセントは戻ってくる。

失業から雇用へは簡単に移行できるが、すぐ舞い戻ってしまう。

スキルコーチング(最終的にどんな仕事をしたいかを本人からヒアリングし、現状とのギャップを埋めていくことについて計画を立て、ソフトランニングで仕事に就くまでをサポートする)市などによる補助金でサポートされる。
本人はニューディールから出る補助金+いくらかのジョブエキスペリエンスによる収入があり、生活保護よりも少し収入は高く、いろいろな訓練を受けられる。

ニューディールは仕事に就ける事を重視しているために本人の抱えている問題には感知しない。
ここでは問題を多く抱えた若者がゆっくりと仕事に付くためのサポートをしている。



③ スキルトレーニング
② メンタルサポートトレーングスタート


*【その他のサポートプログラム】*
○FREE イベント 1ヶ月に一回 パーティー、イベント、アクティビティーなどを行っている。
ソーシャルスキルを身につけるための場として提供している。
○ネットでできるテスト Barrier Break 自分自身でネットでテストを受ける事で自信を持てるシステム。
成果を数字として見せるために有効である。 HYPERLINK "http://www.barrierbreak.com"www.barrierbreak.com
就職まではいたらなくとも、自信、動機付けが確実に上達しているとわかる。


*【スタッフについて】*
各仕事のエキスパート(15人)スキルを持っている人
クライアントサポート(8,9人)カウンセラー、メンタル、ガイダンスティーチャー
コントラクトデパートメント(5人ぐらい)補助金を取るための仕事 一番重要


Q.ソーシャルエンタープライズに対しての税金などの対応はどのようなものか?
A. 企業としては一般企業と同じような料金でしている。税金に関してはチャリティー団体と子会社が別になっているので、子会社で利益が出たらチャリティーに戻す為にあまり税金は払わないでよい。

Q.ジェリコファンデイションがチャリティーであるためにはどのような条件があるのか?
A.チャリティー委員会が選定する。条件を満たす事が必要。

Q. 他団体との連携はありますか?
A.  《トレーニングエンプロイメントプラスタ》10~15ぐらいの(経済社会セクター)同じような志をもった組織のリーダーをこの団体がしている。EREF(ヨーロッパにある団体)からの補助金をもらうため、一団体では弱いので、また 団体の発展、組織同士での交流・トレーニング、基金の要求の為に動いている。
政府は都市(インナーシティー)、大規模な団体に集中している。小さな団体や地方には支援の手が届きにくい。小さな団体にも資金がいくように目指している。

Q.ジェリコを出た後はどのような将来を歩むのか?
A. 30パーセントは仕事に就く、10パーセント~15パーセントは戻ってくる。

Q. 企業を大きくしたい目的は利用者を増やす事なのか、もしくは雇用をしていきたいという事なのか
A.現在はワークエキスペリエンスを提供しているが、将来的には本格的な仕事を提供したい。
現在6ヶ月に1度は訓練生の中から人を雇っている。もっと雇えるような基盤を作りたい。


*【地域*】
地域には移民が多く住んでおり、近くにはイスラムリソースセンター
コネクションズの看板もあった。
カフェと事務所は同じビルの中にあり、研修室などもあり、活動を
している様子だった。 



■参考URL 
http://www.jcp.org.uk/"http://www.jcp.org.uk/