2015年3月26日木曜日

Democracy & Dialogue (Demokratie & Dialogue.e.V.)

2013年度海外調査(ドイツ) [NO.1]  


訪問日時:2013年11月13日
場所:Democracy & Dialogue (Demokratie & Dialogue.e.V.)
 



【 概要 】
ユースワークとユースメディアの融合を目指す大きなプロジェクト。2008年に代表Andreas Karsten(ドイツ人)が、ブダペストに欧州議会が運営するユースセンター(もとはストラスブールにあったが、その後、ブタペストにもできた)で出会った仲間と始めた。同様のアイディアは、EU議会でも取り上げられていたが、なかなか始まらないので、自分たちで始めた。Andreasは研究者でありユースクラブで働いたこともある。メンバーは青少年研究者、政治家、ユースワーカーなど20人。そのうち6-8人が中心(パートタイマーやインターンを含む)。このほか、世界中に、フリーランサーなどのネットワークがある。ドイツ人は一人だけ。イスラエル人もチュニジア人までいる。活動の中心はベルリン。
主たる活動は、Youthpolicy.orgという若者政策に関するグローバルなエビデンスのデータベースを作っている。ユニークでオープンでアクセス可能なものをつくる。政策過程のすべてのサイクル(分析から政策形成、実施と評価)にわたって、知識と情報を作りまとめる。若者政策だけでなく、若者に影響がある政策全般の公共政策が、若者の権利に対してどのような影響を及ぼしているかを知るために、独自の監査もしている。国際的な若者分野の状況を調べ、文書に残すとともに、若者政策によって形成される現実を見つめようとしている。



代表のAndreas Karstenは写真左


【 財源 】
・活動資金の50%は、ジョージ・ソロスのOpen Society Foundationから、残りの50%はブッシュ財団、シェル、連邦省などから。各国においてパートナーも探す。来年はスイスで集会を開くが、その資金は政府が100%を出してくれる(これは例外)。

【 活動1 各国の若者公共政策のレビュー 】
・2012年にまず3冊を刊行した。①Youth and Public Policy in Estonia ②Youth and Public Policy in Kyrgystan ③Youth and Public Policy in Serbia。現在進行中は8か国。ネパール、モンゴル、チュニジア、コロンビア、チェコ、ハンガリーなど。Open Society Foundationが若者政策に取り組みたいと考えていたので、このアイディアを提案し採用されて始まった。レビュー対象国は、OSFのオフィスがある国。
・各国に4~5人程度のチームがある(300人のリサーチャーのネットワークはあるが、足りないので、各国で大学などを通じて募集して選抜する。決めるのに7~8か月かかる)。彼らを、その国や地域に詳しい、スーパーバイザーが指導している。国際的な編集委員会があり、事務局はベルリンにある。
・プロジェクトを始めるに当たっては、7か国から65人がベルリンに集まり、方法論を説明した。共通テーマは、社会的経済的不利、マイノリティ、環境。さらに、各国ごとに重点テーマを決めてリサーチする。たとえばコロンビアでは、コンフリクト、健康、教育。スワジランドでは、参加、健康、ユースワーカーの役割。1年間リサーチしてまとめて文書とするが、それを発信することが重要。文書を出すことにより、政府が若者支援を見直すきっかけとなる。たとえばエストニアの場合、18%がマイノリティだが、応分に尊重されていなかった。私たちの活動の結果、若者政策において、人口に比例してお金を出すことになった。



【 活動2 若者政策に関する各国のファクトシートの作成 】
 若者政策に関するグローバルなエビデンスのデータベースをつくっている。ITを用いて、情報源として使えるオンラインスペースを提供する。投票年齢、成人年齢、婚姻年齢、刑事責任年齢、喫煙率などが調べられる。現在、Algeria、Angola、Australia、Barbados、Bolivia、Bulgaria、Canada、Estonia、Honduras、Japan、Kiribati、Kyrgyzstan、Liberia、Malaysia、Nepal、Saudi Arabia、South Africa、Ugandaの18か国。担当のジョンはイギリス人。ユースワーカーで、大学院で学んだこともある。


スタッフのジョン



【 活動3 ウエブ上に若者政策に関するオンライン・ライブラリーを立ち上げる 】
世界中の組織の、オンラインで読める論文や文書を集めている。これを使ってさまざまな事項についてリサーチできる。リサーチしたければ誰でもアクセスできる。ひとつのサイトに集めることで、各国がどのようなことに関心をもっているかがわかる。内容は包括的で、雇用、教育、健康、保健医療など、多岐にわたる分野から構成されている。学術論文はフリーにアクセスできないのが問題である。いずれ集めて公開したい。また、言語は英語だけという限界がある。