2012年12月18日火曜日

社会的企業 イウム



NO.

訪問先名称
社会的企業 イウム
訪問日時
20121022日(日)~23日(月)
場所

先方担当者

先方連絡先

訪問者
宮本、山本、佐藤、津富、新谷、白水、岩本、畑山、白谷


入手資料等

参考URL等

その他参考資料等

1)社会的企業 「イウム」は
文化を通じた地域社会の統合という目的で活動している。
文化というプリズムを通して、私たちの日常生活への関心を新たにして、地域開発のための支配的方法と投資の問題をイシュー化し、新たな地域開発モデルを代案的に提示している。地域の現場活動の具体性が創造性のモチベーションだと信じており、プロバイダの一方的決定によって都市基盤が解釈され、管理されるのが問題だと思って、文化を通じた新たな解釈の可能性を探求している。
2)社会的企業 「イウム」の活動内容
-青年商人プロジェクト:青年モールレアルニュータウン*
-井邑まちの市場活性化プロジェクト
-低迷した旧都心の伝統文化資源を有効に活用し、活力を引き出した韓屋生活体験館の運営
-全州韓屋村の村づくり事業
-在来市場を芸術活動、教育、青年起業家精神と若い感受性が結合する市場に新たに作っていく空の庭プロジェクト
-農村の多様な価値を知らせるためのリサーチ事業
-都市農村交流事業文化拠点づくりなどの地域再生事業
-青春作業所: 低所得層おばあさんたちと青年デザイナーが一緒につくる工房プロジェクト
*青年モールレアルニュータウン
 これは門前盛市(文化を通じた伝統市場の活性化モデル事業) プロジェクトを有効に活用して全州の南部市場で始まった事業。
この門前盛市プロジェクトは商業的に低迷している伝統市場に文化の息吹を吹き込んで、伝統的な市場を地域文化空間であり、日常の観光地として有効にするために、文化体育観光部から2008年から推進しててきた政策事業である。
青年モールレアルニュータウンは門前盛市アカデミーを修了した青年商人たちが直接お店を開いて運営している。全州南部市場だけの伝統的な市場と青年とは余り似合わないと思いますが、非常によく一体となっている独特の雰囲気を感じられる場所で、伝統市場で会う異色の青年店舗15個が全州南部市場の新たな観光スポットとして注目されている。カフェ、ボードゲームルーム、漢方茶屋、カクテルバー、ハンドメイド小物の店、ファッション雑貨店、食虫植物専門店などが運営されており、様々な体験プログラムと一緒に毎週土曜日の夜、ナイトマーケット、公演、ワークショップなどが開かれる。


22日(日)夕方~
社会的企業イウムが支援する南部市場内にある若者モールリアルタウンにて、若者が運営するカフェに集まり、若者達の事業のプレゼンテーションと日本の支援団体の紹介を行った。
*イウム代表 オンソンボックさんからの説明
韓屋村には現在い400万人の観光客が くる町になっているが、2001年に保存地区として合意形成できるまでは、建て替えられ、マンションになる予定だった。
現在は有名になって観光地、商業地化されてしまったが、南部市場を個性的な場にすることで単なる商業地ということになるのを防ぎたいと思っている。
南部市場は80年代にはとても賑わっていた市場。90年代にはさびれてしまい、朝市程度しか使われていなかった。また、98パーセント以上が50代という状態で高齢化が進んでいた。
この場所に多様な主体が関わることで、社会的な生態系づくりをしている。
使われていない場所や時間帯を若者たちの活躍の場にした。
夜の時間をつかって若者たち主催のイベントや出店など。
ゴミ置き場状態になっていた2Fをつかい、若者たちが出店。
育成事業として、起業したい若者をサポートし、様々なものをワークショップ形式で参加。
現在は土日については200パーセント以上の売り上げをあげている。
韓村と市場は分断していたが、現在は連動している。
モールリアルタウン内のカフェにて交流会


*市場でカフェを開業した チョンヨンワさん
昨年5月にこの青年モールの話をきき、プロジェクトに応募。
以前は観光広告の仕事をしていた。全州在住。
これまでも40代ぐらいのになったらお店を出したいとおもってきたが、こんなに気軽に店を出せると知って、やってみようと思った。
大学院では起業について学んだ。ここで学んだ事として、自分がうまいことできることをする。自分が好きなことをする。社会的に意義のあることをする。
という原則のなか、じぶんでは好きな音楽などを通じて何かしたいとおもった。
最初は大変だったが、だんだんと市場全体に人が増えてきているのできたいしている。
自分は(適当に稼いで幸せになる)が理想なので、そのようにしていきたい。

他、2名の若者起業家のプレゼン
日本からはK2インターナショナルの事業について岩本がプレゼンをした。 

参加している若者達の紹介
モール内を見学

モール内のレストランで食事


23日(月)10時~
22日夜はイウムが市から運営委託を受けている韓屋に宿泊。
昔ながらの韓屋をカジュアルな宿として改装し、旅行者が気軽に泊まり、韓国文化を体験できるところになっている。値段もリーズナブルで韓国の昔ながらの住まいを体験する事ができる。
オンドル(床暖房)についても、現在は温水やガス、電気などだそうだが、ここでは薪を使って火を起こしていた。

■イウムについての基本的な紹介
28名(職員)。2年前までは48名働いていた。今は3つの会社に分かれている。
     体験館の運営 全州市から委託を受けて運営している。この体験館は文化的なことの構築とゲストハウス。体験館の課題は文化を基盤とした団体のネットワークをつくる。
     南部市場での事業。ジツコリア(ジツ=家)。ハンドブックをつくろうとしている。
     チョムという地域の事業 農村のコンサルティング。都市の再生。農村の活性化をイウムはしている。
独立採算なので収益も独立している。
韓屋を改装した体験館に宿泊


青年実務者へのインタビュー 4名の実務者と代表、副代表が同席
■イウムに来る以前はどのような仕事をしていたか?
Aさん:全州出身でソウルで大学を出た。非営利活動に興味があり、ソウルでもボランティア活動に参加、アメリカでも韓国の市民団体のインターンとして活動した。農村に興味を持っていたところ、イウムが農村のコンサルティングをしていると聞き、イウムへきた。
Bさん現在は大学院に在籍中。全北大学でパソコン工学を勉強している。どんな企業に勤めるかで悩んでいるところだが、大手企業で務める事が幸せなのか悩んでいた。自分の地域で何かできないか?社会的企業に興味を持つなどがあり、イウムと出会った。現在は全州のとなりのチョムの商店街活性化事業に取り組んでいる。
Cさん 2008年にピースボートに乗った事から社会的企業に興味を持ち、共に働く財団でインターンとして働いた。その後、アルバイトをしながらNPO論を学んだ。しかし、現場に出たいという想いがあり2年前にイウムにきて仕事を始めた。出身はソウル。
Dさん プサン出身。大学はソウル。サークルで田舎とのつながりがあったが、卒業後に何をするか考えていた時に、田舎にきたら土地をあげると言われ、そのような生き方もある、田舎暮らしについて考えていた。いきなり田舎暮らしは難しいと思いここでの事業に関わりながら将来について考えている途中。
■収入について
Dさん 120万KW(約9万円)若者実務者は基本的に同じ給与
一般的な給与水準に比べると低いほうだが、やりたい事をやれている事などで納得がある。
適度(適当?)に稼いで幸せに・・・をモットーにしている。120万KWは小さな金額だが、生活するには十分だと思っている。
共同生活なども考えているが、現実的には難しい為、意識的な面での共同を目標にしている。
Bさん サムソンで初任給は約300万KWぐらいだと思う。
Cさん 確かにここで住むには十分だが、迷っている。学べる事が多いと思ってここにいるが、少し忙しすぎる。将来を考えると迷う。
Bさん 将来結婚をしたり・・と考えるとやはり不安。しかし、今はみんなといるので大丈夫。

■労働時間について
忙しい、なかなか時間には終われない。様々なイベント等もある為。
チョムのチームは遠いので、出来るだけ時間は長くならないようにしている。
それぞれプロジェクトの運営と事務作業があり、他に南部市場の場合は市場の人たちなどとの調整やミーティングが夜に入る為、遅くなってしまう。

■大学進学率80パーセントの意味について
代表:昔から学歴差別があり、大学を出ると身分が上がるという考えがあり、親たちが勧めているが、子どもの意図とは違うときがあると思う。
■新たなスタートをする若者が多い気がするが、社会的企業法が後押ししていると思うか?
代表:日本に比べてどうかはわからないが、子ども世代が親の考える学歴や仕事で幸せになるかに疑問を持ちやめている若者も多い。お金ではない余裕のある生活を望んでいる若者は増えていると思う。
社会的企業法そのものではなく、格差を埋めるための仕事や生き方意味があるのではないか?
■受け皿としてのイウムがなくてもこのような仕事をしていたと思いますか?
A:農村で3か月住んだが限界だった、しかし一般企業で働くよりはよかったし、このような支援がなくてもやっていたと思う。
Bもともと代案学校の出身で、子どものころから代案の人生を歩んできた。何とかやっていると思う。
体験館のリビングにてインタビュー

全州の街並み





      宮本先生より イウムの活動をヒアリングしての感想・コメント
全体的な感想ですが、日本に比べて若い人が元気。日本ではNPOが多いがそこで活動しようとしている若者も多いですが、雰囲気が韓国の方が前向きに感じる。どうしてなのか分からないが、一つの感想は、日本の場合はサラリーマン社会になったのが長いので、サラリーマンではなくて商売をしている親が少なくなってきているので、サラリーマンでない仕事をするのが不安。韓国ではまだサラリーマンも少ないのでその分、サラリーマンでない仕事をするにしても不安でないことが多いのかと感じた。もうひとつは親世代が労働運動社会運動している人がかなりいるっていうのは日本ではない。社会的な意識をうまく子どもたちに伝わらなかった。韓国の若者はその社会的意識がつたわっている。むしろこういう動きは韓国が引っ張っていくのではないかと思う。