訪問先名称:水原市(スウォン市)経済政策局
訪問日時:2011.2.28
【概要】
社会的企業は、全国の自治体での取り組みが始まったところである。そこで、水原市の社会的企業施策について聞いた。
水原市はソウルから電車で1時間、人口100万人の大都市、韓国最大の企業であり、世界最大級の電機メーカー、サムスンの地元。ユネスコ世界文化遺産華城がある。
14時 水原市駅に職員が車で出迎えてくれた。市役所に移動。
14時~14時30分 観光センターで水原市の概略の説明を受ける。
14時30分~15時30分 局長室で、局長と担当職員から社会的企業に関する説明を受ける。
【若年雇用問題に関する局長の認識】
仕事はたくさんある。しかし、高学歴者に合った仕事が少ないということ(カンネヨンさんのコメント:間違っている)。社会的企業は若者というより、脆弱層(高齢者、障害者などの貧困層)を対象とする施策と考えている。脆弱層のために社会的企業法を作った。2010年に改正し、若者の方に目が移っている。若者の失業率は8%。青年インターン制度、職場体験、ベンチャー支援などをやっている。施策の理由は、従来は終身雇用だったが、技術発達のため寿命が短くなっているため。
韓国では非正規雇用とはいわない。常用雇用(1年以上の雇用契約)対 臨時雇用、という区分
水原市は6割が自営業、7割がサービス業、人口は100万人
職業訓練は国の事業なので水原市はかかわっていない。また、訓練は3K職には必要ない。
【社会的企業について】
日本のコミュニティビジネスが中国に紹介されているが、これは、地域作りで利益を出さなくても良いものという認識されている。一方、社会的事業は利益を出さなければならない。韓国の社会的事業は世界のどこにもないユニークな仕組み。地方自治体でモデルを作っている段階。
水原市に22団体、全国に329団体ある。国の労働部中心から自治体に1部をおろすことになった。国から財政支援を受けている。
なぜ社会的企業が必要になったのかといえば、IMF通貨危機以後、回復したが安定した仕事にならなかった(質のよい仕事が少なく持続可能性が低い)。高齢化問題から社会サービスに対するニーズが高まる。若者も仕事がないため、社会的企業への期待がある。
【水原市の取り組みの流れ】
- 2010年8月30日 社会的企業育成総合計画策定
- 2010年9月8日 社会的企業ネットワーク協議会を編成
(専門家、協力機関、社会的企業代表、公務員など10名) - 2010年11月17日 社会的企業育成
- 2010年11月24日 水原市社会的企業協議会のスタート
(講演、ビジョン発表、フォーラム開催など) - 2010年12月16日 社会的企業説明会開催
(自活共同体、社会的企業に関心がある人、参与16名) - 2011年2月23日 社会的企業育成委員会
【推進目標】
水原市は2014年までに社会的企業を100団体作る予定
- 2010年 20団体 550人
- 2011年 35団体 800人
- 2012年 56団体 1100人
- 2013年 74団体 1300人
- 2014年 100団体 1500人
【事業概要】
- アイデア大会 8700万ウオン
- 世界を変える1000の職業行事イベント 3万ウオン
- 水原(スウオン)型予備社会的企業育成 3万3334ウオン
- 社会的企業事業費および人件費支援 9万6千ウオン(1人120万ウオン)
3年間 1人毎月92万ウオン(最低賃金)の90%(80万ウオン)が支援される。
10人以上の企業だと100万ウオンが150万ウオンになる。
自治体ごとに金額が違う。首長選挙の時の公約に出ている。
育成するためには基盤作りが必要
ネットワーク協議会
行政が支援 ベンチマーク、各部署別に登録する
若者を募集して**モデルを作る
3つを選んでモデルとする
3000万ウオン×3団体 起業支援
1000万ウオン 営業
IMF通貨危機の際、一時的仕事を作って失業者を吸収したが、持続可能性がなかったという反省から、社会的企業作りとなった。
広域自治体で条例作りをし、その後基礎自治体で条例を作っている段階。
スウオン市は早い方だったが、最近始まったところである。22団体る。
内訳 10件の認証社会的企業、249人の雇用
12の予備社会的企業 372人の雇用
全国では1025団体 キョンギドウは193団体
【運営実態】
地域条件に合った社会的企業、アイテムを発掘しようとしているがまだ十分ではない。まだ広報不足
大部分は国家の支援を通して脆弱階層の雇用を作るかサービスを提供する型
10の認証社会的企業のリスト
- 2007年 豆腐と豆の製造 雇用提供型 従業員6名
- 2007年 美容サービス その他型 4名
- 2007年 清掃衛星管理 その他型 85人
- 2009年 家事・保育・産母サービス 雇用提供型 10人
- 2009年 スウオンYMCA その他型 ??? 11人
- 2009年 コーヒー専門店障害者塾(学院)運営 雇用提供型 9人
- 2009年 希望連帯 ホームレス雇用 雇用提供型 16人
- 2010年 老人雇用、清掃・警備 雇用提供型 38人
- 2010年 障害者支援・福祉サービス提供 社会サービス型 18人
- 2010年 専門クラッシック演奏 その他型 50人
【社会的企業の4タイプ】
- 雇用提供型 脆弱階層に雇用提供 従業員の30%以上が脆弱層
- サービス提供型 サービスする相手の中に脆弱階層が30%以上
- 混合型 脆弱階層が20%以上、対象者の20%が脆弱階層
- その他型 脆弱階層雇用比率と社会サービス提供比率の判断が難しい。労働部が決定する
ここはもっとも交通量の多い道路で、バス停留所がある場所。長い塀が歩道に沿って立っている。この塀に落書きが絶えず、汚く殺伐とした雰囲気になってしまう。自分はすぐ近くに住んでいるので残念でたまらなかった。そこで、この壁にハングル文字の組み合わせができる仕掛けのボードを作った。市民や子ども達がそれで遊ぶようになった。その後、落書きがなくなった。彼は地域振興と学生をつなげる社会的企業家を目指している。