2012年6月6日水曜日

Dienst Werk en Inkomen (DWI) 雇用・所得センター

2011年海外調査11月【オランダ】④


Dienst Werk en Inkomen (DWI)
雇用・所得センター

○日時
2011118日(火)14301630

○場所
DWI

○インタビュイー
マリア・ブルーセン
モニク・バウマンMonique Bauman(若者担当クライアント・マネージャー)

○インタビュー概要

雇用・所得センターDWIについて
 DWIは、地方自治体の機関である。アムステルダム市の雇用・所得担当の市会議員AldermanDWIに責任を持っている。
 DWIの主な目的は、以下の通りである。
DWIは、アムステルダム市民が仕事を見つけ、アムステルダムの社会に参加することを手助けする。
②仕事を見つけることが目的である。社会に参加することは、規範である。
③上記に加え、DWIは生活できない人びとに(一時的な)所得を提供する。

DWIの活動内容
DWIは、アムステルダム市に代わって、「労働と社会扶助法」と「若者育成法」を実施する。
DWIは、貧困と闘う。
③成人教育と移民統合を指導する。
④生活や環境に対するリスクを伴うクライアントに特別に注意を払う。
⑤若者の失業に注意を払う。

仕事へのステップ
①ケア……例えば、妊娠
クライアント支援、ケアと福祉、他の手段の支援
②社会参加……孤立しないことが目的、アムステルダムの市民生活に参加すること
活性化activation、ボランティア(無償)労働
※ただし、社会参加の中身は成人と若者では異なる。
※例えば、週に1020時間ほどのボランティア労働が求められた。かつては、そのボランティア労働の対価として、1日当たり6€の割増給付があった。しかし、現在はその支給がなくなり、完全な無償である。
③仕事へのステップ(労働市場のための活性化)……仕事について準備する
再統合プログラム、学習・労働プロジェクト、起業プロジェクト、実習生
④仕事へのステップ(労働市場への導き)……労働市場におけるマッチング
仕事の欠員への目配せ、仲介作業、カウンセリング、雇い主へのサービス・ポイント
※労働市場に仕事は存在する。ただし、マッチングがうまく行かない。

各ステップをどのように判断するか
 質問用紙を用いて、クライアントがどのようなステップに該当するか、判断する。質問用紙では、仕事経験、言語、教育歴、病気の有無などの基準を用いる。判断する際、原則はコンピュータによって自動的に行うが、ケース・マネージャーがケースごとに配慮することもある。例えば、移民の場合、コンピュータによる判断はうまく機能しないことがある。移民は低いレベルで評価されてしまうことがある。

その他の支援手法
子供ケア、借金へのカウンセリング、言語教室、費用の立て替え、診断方法
※オランダの若者の問題として、借金の問題がある。銀行が若者にお金を貸すので、ローンや借金を抱えた若者が存在する。若者が自分自身でお金をコントロールできるように手助けする。

クライアントの内訳(アムステルダム市)
①ケア
12735
②社会参加
17040
③仕事へのステップ(労働市場のための活性化)
7500
④仕事へのステップ(労働市場への導き)
3740
未受給
659
合計
41674

DWIのスタッフ
 DWIのスタッフは合計1800人である。ケース・マネージャー一人当たり、6080人のクライアントを抱える。

挑戦
①活性化と再統合予算の削減
②「労働と社会扶助法」改正、「若者育成法」終了予定
③地方経済における雇用者数の減少
④しかし、別の新たな機会もある!
⑤作戦の革新
⑥クライアントのエンパワーメント

若年失業
27歳以下の失業者は3010人。

オランダの状況
 オランダは大きな変化に見舞われている。第一に、金融危機による予算削減である。アムステルダム市民のお金を効率的に活用することが求められている。2013年から、予算削減に基づき、大きく制度が変わる予定。第二に、政府と市民のあいだの社会的対話が求められている。市民に何ができるか、コミュニティの自立化を考える必要がある。

DWIが支援する若者
 若者は、1727歳を指す。ただし、年齢によって対応が異なる。
 17歳は、義務教育に行く年齢なので、基本方針は学校に戻すことである。そのため、学校や両親に問い合わせる。だが、若者が学校に戻ることを拒否した場合、興味のある分野で、6ヶ月の賃金なしの実習生をさせる。
 18歳は、義務教育の年齢ではないので、学校に行く必要はない。このとき、所得の権利が発生する。成人と見なされ、自由にすることを決めることができる。つまり、若者が18歳以降になると、17歳以下のときと別の仕組みが適用されると言える。
 17歳という年齢は、制度のなかで見失われがちな年齢である。17歳以下の若者を対象に、地域のなかでネットワーク会議が毎月開催されている。ここで、若者の個人ケースについて話し合う。アムステルダム市には、4つの地域ブロックが存在する。このネットワーク会議は、今から20年前くらいに始まった。モロッコ移民が問題になり、犯罪が増えたことが契機である。イニシアティヴは警察であった。現在も、コンピュータを利用して、リスクを抱えた若者の情報を共有している。

ジョブコーチ・プロジェクト
 アムステルダム市では、1827歳の若者を対象に、ジョブコーチ・プロジェクトを実施している。このプロジェクトは、6ヶ月という期間、①学校に行く、②学校と仕事に行く、③仕事に就くという選択肢から選んでもらい、その際に必要なものを提供する。6ヶ月でうまくいかない場合、3ヶ月の延長もある。もし、この過程で問題を抱えているようなら、医療診断を受けさせて、医師のアドバイスをもらう。担当マネージャーは、一人当たり1012人の若者を担当する。

オランダの給付
1827歳 200800€/月
※年齢に応じて異なる。18歳は200€、27歳は800€。
2765
シングル 875
シングル+子供 1045
夫婦+子供 1200
※参考値として、最低賃金の月給1415€、平均月給2500€。

若年失業に対するDWIの責任
 18歳までは、DWIは若者の状況について知る義務がある。しかしながら、18歳以上の場合、DWIは窓口に来た若者にだけ対応する。