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訪問先名称
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モンタン 몽땅
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訪問日時
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2012年10月23日 10:00~15:20
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場所
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富川文化財団
(地下鉄1号線松内(ソンエ)駅 徒歩10分)
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先方担当者
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氏名 キム・ヒヨン(代表)
ライム(事業事務長)
演奏:男女6人(ミャンマー、中国、インド、モロッコ、アメリカから来た外国人、ノリダンに所属していた韓国人など)
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先方連絡先
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所在地:
경기도 부천시 원미구 상1동
394-2 복사골 문화센터 3층 문화공동체 플라자
京畿道富川市遠美区上1洞394-2 ボクサコル文化センター3階文化共同体プラザ
電話番号:032-323-6481
メールアドレス:montant@noridan.org
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訪問者
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宮本みち子、佐藤洋作、津富宏、白水崇真子、山本耕平、白谷素子、畑山麗衣、新谷周平(記録)、カン・ネヨン(通訳)
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■入手資料等 パンフレット、DVD(テレビ出演やニュースで取り上げられたVTRを収録)
■参考URL等
■その他参考資料等
【公演】
富川文化財団の近代的な建物の中で、他の社会的企業とともに話を聞いた。
冒頭、白のジャケット白のパンツの衣装で揃えたモンタンのメンバー6人から歌の歓迎を受けた。彼らの中には、芸術表現活動で有名な社会的企業であるノリダンに属していた韓国人のほか、ミャンマー、インドネシア、中国やモロッコから来た移民、インドのチベット民族、英語教師をしていたアメリカ人など、文化的背景が多様な人たちが含まれている。それぞれ、音楽や芸術で仕事をしたい、社会的企業を通じて社会に貢献したいと考えている人々である。
【概要】
モンタンは、多文化社会へ移行するなかで、移民労働者、難民、留学生など多様な文化的背景を持つ人々が、芸術を通して社会参加していく機会をつくるために作られた社会的企業である。富川市は、京畿道の中で、最も移民が多い地域である。富川文化財団の4階に事務所を持ち、9カ国の18名が活動している。メンバーは、これまで3回行われたオーディションを通して入ってきている。
モンタンとは、all、everyoneの意味。
【背景・資金】
仁川空港公社、シーズ(若者のインキュベーティングのための組織)、ノリダンの三者がつくった非営利プロジェクトであり、現在、予備的社会的企業に申請中である。まだ活動してから日は浅いが、教育活動、公演活動を主としている。今後キャンプ等の事業も企画していく。
活動資金は、仁川空港公社が3年間提供する。1年目の今年は人件費・組織化・コンテンツ開発を含めて4億ウォン。来年は人件費のみ、再来年は人件費の半分のみが提供されることになっている。
【プログラム】
教育活動の一環として、学校で曲づくりをする音楽授業を行っている。教育長を通じて応募のあった学校に機材を持って出向き生徒たちとともに曲づくりをする。できた曲はウェブ上の音楽サイトにアップする。資金は、NEOWIZという企業から得ている。モデル事業として開始されたが、結果がよかったため継続して4年目になるという。
【感想・考察】
モンタンは、社会的企業の成功例とされるノリダンから派生したプロジェクトであるが、多文化社会化するなかで社会参加の機会を失いやすい立場にいる人々に対して、決して同化による包摂ではなく、芸術表現を通した多様性の肯定の上に社会参加機会の創出を目指している。このことから考えると、ノリダンが芸術やパフォーマンスのみでの成功を求めるのではなく、あくまで社会的企業として、「社会的」あるいは「公共的」な使命からまちづくり、地域づくりに関わっていく姿勢が表われているように思われる。
社会的企業の制度は、失業対策の面があることが何度か語られているが、そのなかにも「社会的」な面が確かに位置づいているし、制度が実態に合わなければ次々に制度を変えていこうとする柔軟さが社会に存しているように思われる。
日本の自立支援がきわめて個人的なものとなってしまっていないか、社会的包摂政策が、既存の「社会」のあり様を問わず、また「社会的なるもの」を構築しようとする意思の生成や共有を目指すこともなく、選別しながら一部の者を同化させるだけのものとなっていないかを批判的に吟味する必要があるだろう。