2012年12月18日火曜日

ノリダン noridan

NO.

訪問先名称
ノリダン noridan
訪問日時
20121023日 14001500
場所
映像文化団地内事務棟2
( 駅 徒歩 分)
先方担当者
氏名 ギムフイヨン   (肩書き  代表  )
先方連絡先
所在地:京畿道富川市遠美区同上529-2映像文化団地内事務棟2階(420-860
電話番号:02-2677-0054
メールアドレス:
訪問者
宮本・白水・新谷・津富・佐藤・山本・畑山・白谷(記録)・姜乃榮(通訳)



■入手資料等

■参考URL等
noridan.org/ ノリダン

■その他参考資料等

【概要】
「青年」「文化芸術」「社会的企業」がキーワード。
2004年設立。2008年に文化芸術分野として、最初に社会的企業として認証を受ける。
ソウル市青少年職業体験センターとして延世大學が委託運営した機関「ハジャセンター」の中からインキュベートされた組織。
毎年、200回あまりの国内外の公演、1000回以上のワークショップ、20箇所のコミュニティデザイン事業と音あそび場事業を進めている。
革新的な公演、創造性教育、コミュニティデザインを総合する統合文化芸術とサービスを提供。
一人一人が共演者、教育者、工芸職人の生活を循環することで、やりたいことをしながら、自分自身の雇用を実現

【目的と活動】
○ミッションと変遷
2004年(設立当初):
「すべてのものは楽器になる」「誰でも演奏することができる」
―ノリダンで使用される、楽器や道具はすべて都市文明からのリサイクルでできたものである。
当初はいろんな人たちが協力し合っていてハジャセンターからノリダンができたがノリダン自体は11名で出発。

2007年(社会的企業としての始まり):
「捨てられたものを新たに生かす」「やりたいことで社会を変える」
―社会的企業の認証を受け、人件費の補助が得られたことで、当時20名いた職員は50名に。

2009
地域に関心を持ち始める
現在、職員は関連団体も合わせて60名ほど。安定成長をしている。

●文化芸術部
―劇場公演作品の制作・供給
自分の体、捨てられたペットボトルや自転車、産業廃棄物が新たな楽器オブジェとして利用。
ソウルはもちろん、文化芸術を簡単に接することができない疎外地域でも公演。

エコオーケストラ
ダイナミックなパフォーミングと遊びが結合した舞台型公演
スプロケットパフォーマンス
産業廃棄物で作った動く楽器カー
自転車楽器パレード
60代の肺自転車がアップサイクリングされた自転車の楽器
劇場公演平ペンポン
歌、体の動き、演奏で構成された新概念のエコミュージカル
劇場公演プリーズ
即興的なレパートリーに広げる観客カスタムノンバーバルミュージックパフォーマンス

●教育事業部
―文化芸術と創造性教育コンテンツとプログラムを制作供給
言語と文化の違いを楽しみながら、老若男女問わず、潜在的な芸術の感受性を発見、創造的なパートナーシップとリーダーシップを開発し、問題解決能力を養うヒューマンプログラム。子供からお年寄りまで、教師、企業、公務員など、様々な人々が参加。

音遊びワークショップ:
自分の体と物事にリズムとテンポを作って遊びに協力するメンバーシッププログラム
メディア体験ワークショップ:
ゲーム、映画撮影、ロボット公演団などのデジタル体験型教育プログラム
まちづくり:
青年と住民が一緒に地域の活力を目的として運営する自治大学
創作楽器製作ワークショップ:
捨てられた物にリズムとメロディーを作る環境にやさしい教育
夏休みキャンプ:
人文、科学、文化、芸術の専門家が一緒に青少年キャンプ

●デザイン部
―公共空間のリノベーション、社会サービスの設計とコミュニティのデザイン
古い公園や遊び場を地域に合わせて変身させるコミュニティデザインをテーマに人と空間、技術とエネルギーが有機的に調和を追求し、商品開発、人間動力の乗り物、空間デザインなどのグリーンビジネス事業を拡大

造形物の開発:
独創的な技術力で創造的な楽器と乗り物、生活家具を創作開発
想像テーマパーク:
エコと音をテーマにした遊び場、公園、体験学習場製作
コミュニティデザイン:
住民が一緒にまちづくり活性化プログラム
文化デザイン:
祭りとの交流行事などを企画からイベントの進行まで総括運営

●ネットワーク部
"社会を創造的に革新するネットワーク"というモットーの下、文化芸術、社会的企業、青年をキーワードに、官民協力ネットワーク事業を展開

創作発電所'9ロロノリダン"
地域と国内地方都市、アジアに広げる地域密着型の事業で、
住民と国内外の芸術家たちの交流のためのグローバルアートファクトリー、劇場公演平ペンポン共同制作、地域住民と教員の文化芸術教育などの活動を行う

【組織・運営】
20代~30代の男女を中心とした60名ほどの組織。

関連団体
モンタン:ノリダンと外国人のメンバーでできたグループ
日本noridan青年準備チーム:日本でnoridanを作ろうという動きの中で、組織された。
ほかにも、韓国各地、国外でも関連団体を作る動きが活発となっている。

【質疑】
―地域に関心を持ち出したのはなぜ?
私たちはもともと、青少年問題に関心を持って取り組みだした。それは「地域」とは無関係ではなく、たとえば、若者たちはソウルに上京してしまうこと。若者が地域にいなくなってしまっては、地域がもともと持っていた資源がどんどん消えていってしまう。ノリダンのミッションは「捨てられるものを全て活かす」だが、それは物に限った話ではない。人や、地域もそうである。

―地域に関心があるということは地域の若者を集めるということか?
もちろんそれもある。実際にプチョンにもいくつか大学があるのですが、いくつかの大学と連携をとったりしている。

―ノリダンに集まる若者たちに関して批判的な層はいないのか?
外部からの批判というよりは、内部での葛藤がある。特にノリダンの場合は社会的経験があまりない若者がいるので、仕事と教育を同時にしなければならない。しかし、それは私たち組織が進化する過程として捉えている。

―どのように地域にノリダンを作っていくの?
もともとノリダンで活動していた人が3人ぐらいいて、そこから新しい人たちを何人か組織する。


【感想・考察】
今回訪問したノリダンは、文化芸術分野で初めに認証を受けた社会的企業。「やりたいことで社会を変える」という彼らのミッションはほかの社会的企業のロールモデルとなるであろう。これからもいろんな地域に進出することでたくさんの若者の雇用の場となると良いと感じた。
代表の方も言っていたが、社会的企業助成法の5ヵ年計画は今年で終了する。行政が、社会的企業に対して力を入れて取り組んだ結果、社会的企業は量的な成長をした。今後はもっと大きな枠組みの中で良質な社会的企業がどのように、いかに社会に影響を与えるか、ということであると思う。