2010年10月9日土曜日

North-Eastern area Open Forum

2007年度海外調査(フィンランド) [NO.11]  


 
*【概要】*
若者の意思決定への参画政策のひとつの例。中学生が市政に対して発言する場として設定されている。この日はタイミングよく、北東地区のオープンフォーラムが開催される日だった。ヘルシンキ青少年局長Siurala Lauri氏が、自分の車で会場まで案内してくれた。


*【参加者】*
市内各中学校から2名ずつ。総数 200名


*【パネリスト】*
5人の市議会議員・政治家、建築家、ヘルシンキ市青年局長の計7名

1. ヘルシンキ市青年委員会委員(女性)

大学時代左派同盟に入っていた

2. ヘルシンキ市青年委員会副会長(女性)

社会党 30歳 スポーツ・体育関係、この地域出身、ユースハウスを使っていた。

3. 社会党スポーツ委員会委員(男性)、元市議会議員 いろいろな委員会を歴任。スポーツ施設の運営、そこで若者とよく接している

4. 緑の党議員(女性)社会福祉委員会委員 2人の男の子の母親

5. 保守党市議会議員 2人の子どもの親、教育委員会副議長

親から学校のことをよく聞いている

6. 建築家 青年のスペースの設計、3人の男の子の親

若いころはユースハウスがなかった

7. 青年局長

ユースハウスを若者に合うようにしたいのでアドバイスをしてほしい。

58のすべてのユースハウスに行ってみてきた。

司会 NGO活動をしている女性


参加した生徒たちは6つのグループに分かれていて、各グループのリーダーはユースワーカー。8人のリーダーは4つの地域を回って指導してきた。ユースワーカーは主にユースハウスに常駐して活動している人たち。本日までに事前に何度もグループで話し合いをして意見をまとめた。


オープンフォーラムは、第1から3までのセッションで構成。各セッションで、2つのグループのメンバーが前に出て話し合いの結果を発表する。提案によってはフロアの賛成・反対をとる。その後、パネリストが答弁し、フロアーからも発言を求めるという進め方だった。セッションの最後に、7名のパネリストが総括答弁をした。司会は、環境NGOの30代~40代(?)の女性。


*【第1セッション(グループ2と3)】*
:「私たちはどのようにして意思決定に参加することができるか」

若者代表の自己紹介

1. 7年生(女)精神科サービスが必要、発砲事件をみよ。

2. 7年生(女)市の交通機関の料金を安くしてほしい

3. 7年生(女)もっと自分の意見を出さなくてはいけない

あと3名は省略

・ユースハウス活動について

若者がわかるような伝え方をすることが重要。広報をネット上に出した方がいい。若者向け広告を若者が作った方がいい。



〈提案〉:無銭乗車を防止するために交通機関で検札する人がもっと必要―

【投票】賛成・反対の色カードで。意見は分かれる。

・ ネット上で広報を出した方がいい。



〈青年局長その他のパネリストの答弁〉

・参加した人に自分の連絡先を教えるので、何でも遠慮なく連絡をしてほしい。

・学校の合併について。建築上修理が必要。そのときに若者の意見を聞く。

・若者の意見を聞かねばならないと実感した。教育委員会に若者を呼んで若者の声を聞くつもりだ。

・学校で保健師が少ないのは残念

・精神科サービス

スポーツ局 若者の50%がスポーツをやっている。スポーツを通してプレッシャーの解放ができる。

【投票】:ヘルシンキ市は青年議会が必要か?

賛成多数



〈青年局長〉:今の形式では若者の意見がうまく集められない。今の状況の方が良いのではないか

・ルールが必要 ヘルシンキ市は他より積極的に若者の声を聞いている。小さい町の方が適している

・保健師が3つの学校を回るよりずっと同じ学校にいるほうが大事

・決定がもっと早くできる体制

・交通機関を無料にするのは現実的ではない

【投票】:18歳以下は無料―全員賛成



〈フロア〉

ドイツへ行ったら検札がなかったが、みつかったら600ユーロの罰金。料金はヘルシンキの半額

体育館 改修するとき隣に市の体育館ができる。市の学区では同じだが国のもの(?)



〈パネリスト〉

・教育局の人:生徒の定期券は生徒の選択科目によって違う。拡大する

・小学校は2km以上は定期券をもらう。全国的にみると5kmのところもある。一番いいのはこどもたち全員が無料になること。

・体育館設備は重視されてこなかった。自分は体育教師だったのでそれが悲しかった。

・交通機関。切符を買えない人に料金を安くするより、別の方法を開発すべきだ。

・ 保健師はなぜ少ないのか。カウンセラーと心理は5人だが、保健師は入っていない。特別教師をやっていた。生徒のことをもっと聞かなければならないと思う。



〈フロア〉

何で地下鉄を広げるのか



〈フロア〉

保健師について。事故があってもふさがっていて間に合わない。必要なときにいない。

お金が足りないのか

保健師、カウンセラー、臨床心理士も必要なときにはいない。なぜか?

税金で払われている、カットされるとサービスが落ちてしまう。

調べたが学校の近くに体育館ができる予定はない



〈パネリスト〉
・スケート場はあった。初めは移動する予定だったが利用者が多いので固定した、今後、移動できるスケート場を考えている



*【第2セッション(グループ4)】*

〈自己紹介〉

1. 9年生 大人の責任はヘルシンキを安全にすることだと思う。喫茶店 ユースハウスに喫茶店を作ってほしい。レジャータイムを過ごせる所がその周辺にあるといい。

2. 7年生 10-15歳向けの喫茶店がほしい

3. ユースハウスを同じ場所に残すことが大事

4. ユースハウスは遊び場。学校と同じところになってはいけない。中心地がいい。店が近いほうがいい。

・マルムの場所を移動したらそれはユースハウスではなくなる

・ビリヤード、パソコンができるところ

・地域でどう計画するか。地域センターについて話し合った。地域に小さい活動センターを残した方がいい

・ユースワーカーが地域で目立つように活動すべき。そうすれば話しかけるだろう

・すべてのニーズに合う活動にどう対応できるか。

【投票】:ユースハウスは大きな場所がいいか、小さな場所がいいか?

小さい場所がいい  ほぼ全員賛成

大きい場所がいい  数人が賛成



〈パネリスト〉

・青年委員会で話し合った。活動をもっと良くすること、バンド、ネットが出たが、今その部屋はある。小さい場所が要ると聞いたが。

・青年委員会が活動を作る時代、もともとある小さい場所はなくさない。かつ大きな場所が補う。例 ストックホルム

・社会党議員だったときは予算上小さい場所を残さない考えだったが、今は議員でないので残したい。地域間の協力も大切

・スケート場ができないのは地域間の協力のおかげ。小さい場所の方が大事だと思う。ユースワーカーとの関係

・学校の中にユースワーカーが来るというのはいい考え。カウンセラーと話すのは難しいかもしれないがユースワーカーとなら話せるのではないか。

・地域の中心地に作るのもよいのでは。親も子どもを通して知り合えるし。

・学校の中にユースハウスを作るという話があったが、それはよい。夕方はいつもあいているのだから。

【投票】:学校にユースワーカーが来るのがよい  賛成多数

先生がユースハウスに来るのがよい   賛成なし



〈パネリスト〉

・青年局は学校と協力しあう経験をもっている。喫茶店をもっと増やすことを考えている

結論

ユースハウスは20年前から考えられたもの。もっと小さいものを活用する方がよいのではないか。



〈フロア〉

喫茶店がもっと必要というがユースハウスにあるではないか

マルミのユースハウスはとてもよい。今のままでいい。

<モーターホールはどうするか?>

学校の勉強の後、ユースワーカーが子どもをつれていろいろ活動してもよいのではないか。

<すでにそのような活動はあるのでなぜ喫茶店が必要?>

ビリヤードやインターネットカフェがあるところもあるが、ここにはそのようなものがない。差がある。

若者はどこに何があるか知っていない。



〈パネリスト〉

・たくさんの活動をしているが、若者はその実態をよく知らない。ネットで情報を流すこと。すばらしいサービスをユースハウスで使える。

【投票】 モーターホールは必要か?    賛成少ない



〈パネリスト〉

・若者には決定権があるのだから、ユースハウスへ行ってユースワーカーと直接話してほしい。

・モーターホールは3年前に始まった。古い地下パークを改造して使っている。

・青年局長のアドレスを教えるから言いたいことがあったら連絡してほしい。

議員、委員会メンバーもみなさんの意見に興味をもっている。



*【第3セッション】*

・どのような活動が大切か? どういう活動、支援、場所が必要か?

・ユースハウスで何をしたらよいか。無料のおやつ、ジム

・国際活動

・ユースハウスでおやつをもらうには無料のおやつカードが必要だが、忘れるともらえない。学校から家まで遠い子もいるから、ユースハウスでおやつをもらって帰ったらいい。

・ユースワーカーは学校の日常活動に参加してほしい。保健婦やカウンセラーがいない時に代わりをしてほしい。

・夏休みの間の活動をしてほしい。



〈パネリスト〉

・多くの活動はできるものだが、国際的活動は少しむずかしい。

・提案はすべてよいが、お金があればね。

・グループ活動は若者が好きだから、海外へ行く活動もぜひ発展させたい。

・フロアから市の職員が発言: 国際活動については、13歳以上の子どもは無料で参加できる。ユースハウスに10人のグループを作ってください。EUに申請します。制度があるのだから利用してほしい。

・夏の活動:教育局にも夏の活動がある。他の部局と協力して進めたい。

・学校は青年局のHPと同じくフォーマル(つまり硬い)。学校をどう変えればもっと入りやすくなるか考えてほしい。

・情報を合わせてもっと有益な情報にしたい。

・ おやつについて:市会議員がお金をくれればやれる。



〈フロア〉

趣味をもっと安くできないのか。

ジムには年齢制限がある。

音楽を流したり休憩時間に好きな活動ができるようになれば、学校はもっと良くなる。

無銭乗車について:罰金を払った方が安くなるのはおかしい。

ジム以外にスポーツは多くあるのだから、それを選べばいい。

遠くておやつがない子もいるのだから、おやつを出すのはいいと思う。そこで交流もできる。スポーツカードを提供して一定のレクリエーションができるようにしたらいいと思う。



*【総括(何が良かったか、何を推進したいか?)】――パネリストからの回答

1. 多くのものは推進できる。すべきだ。

若者スペース:ローカルな場がほしいということなので進めたい。

大きなもの実現するとき、ローカルなものを廃止しないことを約束する。

2. 私も同じ。このことについて2月頃決定する。

3. 現実的に実現できるところから始める。スポーツ局と青年局のすべての活動を同じところに集中する。スポーツチケット。市議会に提案を出してもよいかもしれない。

4. おやつを実現できるかもしれない。小さいスペースを残したいということなので実現できると思う。事前に意見が聞けてよかった。喫茶店を増やすのもよい。

5. 本日の議論をまとめて他の委員会に報告する。ユースワーカーが学校へ来るのもいい。実現しましょう。学校の中をどう飾るかについては、もっと若者の意見を聞いた方がいい。

6. 学校の合併は決定したが、その後生徒の声をよく聞くようにする。体育館がどうなったか調べておく。建築家連盟のHPに環境に影響を与えるものの情報があるので調べてみる。

7. 提案をまとめて市議会に提出したい。情報提供が官僚的でないように工夫する。



*【生徒代表】*

1. ユースワーカーを学校に入れたらよい。もっと学校で生徒ひとりひとりをサポートしてほしい。

2. 青年局のサービスを知らない。

3. ユースハウスの内装。90年代初めの頃の内装。若者向けではない。

4. 決定に対して若者がどう参加できるか。代表が参加?全員? 高校生は代表、それ以下はみんなといっている。

5. 休暇活動、とくに夏休みの活動がほしい。

6. 青年局の情報をみてない。ネットで流した方がいい。



*【終了後】*

青年局長の解説(傍聴した私たちに対して)

・これで8年目。毎年4回開く。すべての提案をまとめていく。

若者が参加する-> 青年局―> 政策決定

・2003年の国会選挙の時には、オープンフォーラムに議員も参加した。国会の教育委員会の正式委員会メンバーになった。

・2006年から、すべての学校に学生委員会を作らなければならないという規則を作った。

・学校の環境を改善する目的で60万ユーロを計上。クラス-> 学生委員会 ―>市長会議(各学校代表が出て学校プロジェクトを持ち込み決定する)。

スウエーデンのユースハウスは、誰でも入れるところ。フィンランドは、若者とユースワーカーだけのところという違いがある。