2010年10月22日金曜日

Jericho Foundation

2007年度海外調査(イギリス) [NO.6]


訪問先名称:Jericho Foundation
訪問日時:2007年11月27日 15時~


*【概要】*
バーミンガムで多様なビジネスを展開し、長期失業者に職業訓練と有給雇用の機会を提供し、その後
【事業のミッション】
バリアを超える事。
充実した価値のある人生になるために技術をもった
非雇用者にさせること。


*【リチャードさんの自己紹介と事業の始まり】*
もともとはエンジニア、2004年にここに来た。90年代にスタート 
この地域は売春の町だった(長期失業。ドラッグ。などなど)教会を中心にはじまった。
Dropping Centre(気軽に立ち寄れる場所) をつくった いろんな問題をもった人が来るところ
公共のサービスをどうやって受けるかわからないので、そこにつなげる指導をした。
CVをつくったり、失業保険をもらう手段を教えたり、などなど
仕事に就ける事は案外簡単だったが、続けさせる事は大変だった。
いままで、まともな職に就いたことがない、また仕事経験がない、という様々な問題を抱えている為。
そのためにまずはJOB Experienceをさせる事をはじめた。
しかし、雇う側は問題のある人をとりたくない、なかなか就業率が上がらない事から自分たちで仕事の場を作った。印刷業からスタートし、カフェ、クリーニング、建築業などを企業として立ち上げ、彼らの働く場を広げている。


*【事業の概要】*
失業者のためのトレーニング、職業体験の場の提供、職業斡旋、各種サポート
Jericho Foundation =チャリティー団体
Jericho CIC(Community Interest Company)=企業として下記のスモールビジネスを運営。
Jericho Foundationで集めた資金を元に運営 
現在 コントラクト(市からの補助金など)64% グラント(寄付)15% トレイディング(業務による収益)21% 今後は半分を企業の利益からまかないたい。
政府に頼らず、政治的な問題から離れた就労支援活動をしていきたいと考えている。

プリント業  グリーンバック、プロモーショングッズ、名刺、Tシャツなどのデザインと印刷
デザイン部門 広告デザイン、WEBデザイン、マーケティングなど
クリーニングビジネス オフィス、教会、ショップなどの日々の清掃から特別なクリーニングまで
カフェ オフィス横に運営している。パーティーフードやサンドイッチの配達などもしている。
( 当日は3名が働いていた。)
建築業 ソーラーシステムの設置、古い家屋の改築、配管工など


*【売り上げ・収益と利用者】*
06-07年 100万ポンド (1.1ミリオン ポンド) 
30名スタッフ。 50名有給者 850名がガイダンスを受けている。


*【対象者】*
16歳以上の失業者対象 
2つ以上の問題を持っている事が条件 ドラッグ、犯罪経験者、麻薬、自信がない、職業経験がない、学校を出ていない など
年齢構成 18歳~24歳 75% 25歳~49歳 20% 50歳以上 5%
男女比 男性75% 女性25% 
人種:アジア人 33% アフリカ、カリビアン 13% 白人 49% その他 5%


*【典型的な例による就労までのステップ】*
27歳 家なし、ホステルぐらし、長期休業 読み書き最低限しかできない
麻薬・かるい窃盗でつかまった 自信がない、人を信頼できない
→個人的な問題を解決しないと仕事につながらない

トレーニング方法
3日間仕事 1日 仕事探し 1日 訓練(ソーシャルスキル、自信をつける、お金の使い方など)
ブリッジ(麻薬から助けるためのグループホーム)との連携により生活面をサポート
30パーセントは雇用に就くが、15パーセントは戻ってくる。

失業から雇用へは簡単に移行できるが、すぐ舞い戻ってしまう。

スキルコーチング(最終的にどんな仕事をしたいかを本人からヒアリングし、現状とのギャップを埋めていくことについて計画を立て、ソフトランニングで仕事に就くまでをサポートする)市などによる補助金でサポートされる。
本人はニューディールから出る補助金+いくらかのジョブエキスペリエンスによる収入があり、生活保護よりも少し収入は高く、いろいろな訓練を受けられる。

ニューディールは仕事に就ける事を重視しているために本人の抱えている問題には感知しない。
ここでは問題を多く抱えた若者がゆっくりと仕事に付くためのサポートをしている。



③ スキルトレーニング
② メンタルサポートトレーングスタート


*【その他のサポートプログラム】*
○FREE イベント 1ヶ月に一回 パーティー、イベント、アクティビティーなどを行っている。
ソーシャルスキルを身につけるための場として提供している。
○ネットでできるテスト Barrier Break 自分自身でネットでテストを受ける事で自信を持てるシステム。
成果を数字として見せるために有効である。 HYPERLINK "http://www.barrierbreak.com"www.barrierbreak.com
就職まではいたらなくとも、自信、動機付けが確実に上達しているとわかる。


*【スタッフについて】*
各仕事のエキスパート(15人)スキルを持っている人
クライアントサポート(8,9人)カウンセラー、メンタル、ガイダンスティーチャー
コントラクトデパートメント(5人ぐらい)補助金を取るための仕事 一番重要


Q.ソーシャルエンタープライズに対しての税金などの対応はどのようなものか?
A. 企業としては一般企業と同じような料金でしている。税金に関してはチャリティー団体と子会社が別になっているので、子会社で利益が出たらチャリティーに戻す為にあまり税金は払わないでよい。

Q.ジェリコファンデイションがチャリティーであるためにはどのような条件があるのか?
A.チャリティー委員会が選定する。条件を満たす事が必要。

Q. 他団体との連携はありますか?
A.  《トレーニングエンプロイメントプラスタ》10~15ぐらいの(経済社会セクター)同じような志をもった組織のリーダーをこの団体がしている。EREF(ヨーロッパにある団体)からの補助金をもらうため、一団体では弱いので、また 団体の発展、組織同士での交流・トレーニング、基金の要求の為に動いている。
政府は都市(インナーシティー)、大規模な団体に集中している。小さな団体や地方には支援の手が届きにくい。小さな団体にも資金がいくように目指している。

Q.ジェリコを出た後はどのような将来を歩むのか?
A. 30パーセントは仕事に就く、10パーセント~15パーセントは戻ってくる。

Q. 企業を大きくしたい目的は利用者を増やす事なのか、もしくは雇用をしていきたいという事なのか
A.現在はワークエキスペリエンスを提供しているが、将来的には本格的な仕事を提供したい。
現在6ヶ月に1度は訓練生の中から人を雇っている。もっと雇えるような基盤を作りたい。


*【地域*】
地域には移民が多く住んでおり、近くにはイスラムリソースセンター
コネクションズの看板もあった。
カフェと事務所は同じビルの中にあり、研修室などもあり、活動を
している様子だった。 



■参考URL 
http://www.jcp.org.uk/"http://www.jcp.org.uk/