2010年10月9日土曜日

Allianssi

2007年度海外調査(フィンランド) [NO.7] 


訪問日時:2007年11月22日
訪問先名称:Jarkko Lehikoinen(Head of International Affairs)


*【会の概要】*
政府からは独立した組織で、15年前に3つの団体を統合して結成。統合した背景には財政的事情があった。青年団体の利益増進が目的。アンブレラ組織。
108の団体が加盟しており、個人加盟はない。うち80の組織が「青年組織」。青年組織とは、3分の2以上の青年がいる団体のことと青年法で定められている。青年の定義は29歳以下。公的財源を得るためには、団体がこの条件を満たす必要がある。80以外の団体は、おもにユースワークの団体で、たとえば赤十字もその一つ。
ヨーロッパの他の同種組織と違うところは、他の多くが青年団体だけを会員にしているのに対して、Allianssiは青年団体に限らず、青年研究の組織などもカバーしている点。ユースワーカー組織のアンブレラ組織が別にあるわけではない。
組織は相当多様な性格をもっており、小さな組織は数人のものから 大きな組織では80000人のものまである。政党支持もさまざまで、すべての政党が子ども・学生・青年団体をもっていて、それぞれが加盟団体になっている。Allianssiはそういうなかで中立的で政治的にも宗教的にも特定のところとの関係はない。でも団体の内部では政治的なディベートはしょっちゅうしている。役員の選出や会長の選出などの場面で。 同盟関係は非常に複雑になっている



*【会の運営・財政】
スタッフはフルタイムが28人。年間予算は300万ユーロ(教育省から70%、他省庁・EUから14%、その他スポンサーや売り上げなどで16%)国レベルでのすべてのユースワークでは4000万ユーロの予算。その予算はすべてnational lottery から出される。National Lotteryは4億ユーロの収益から、芸術、科学、スポーツ、ユースの事業に配分されている。ユースワークのシェアは、そのうち10%で、Alliansiiへの300万ユーロ以外には、市町村と、National Youth Organization、ワークショップなどに支出されている。市町村独自のユースワーク予算も、これらの他にある。
予算全体のうち70%を教育省からもらっていて、独立性があるといえるか、という問いがありうるが、それはあたっている。我々と教育省の間にはしばしばコンフリクトがある。教育省から要請される活動を断ることは難しい。でも全体としてはうまくいっており、教育省は我々の活動の自由を認めている。リソースは与えるが、どう扱うかは問わないのが原則。
運営は、会員組織から選出された14人の理事会組織が行う。その下部に国内委員会と国際委員会がある。

*【主たる活動】*
スポークスマン的活動/ユースワークのトレーニングコース
活動上重視している対象者は青年組織のメンバー、市町村のユースワーカー、教会のユースワーカー、学校教員など、例えば今週は月曜日~水曜日まで大きなセミナーがあった
そのほかに24時間のAllianssiクルーズ(青年やユースワーカーが1500人ぐらい参加)
などもある。その他、毎年1000人ぐらいの若者を国外交流に送り出している

*【マルチ・カルチュラルユースワーク】*
フィンランドは伝統的に単一民族国家だったが、最近少しずつ外国人がふえてきている。いまではその比率が2%まであがってきた。(スウェーデンでは10%以上)増えてくると人種差別が生まれてくるので、いまあらたにそうした活動にも取り組み始めている。
一番大きなエスニックグループはロシア、エストニア、ソマリア。とくにソマリア人は、見かけが違うのでいじめにあうことが多い。具体的には、外国から若者を青年組織に取り込む活動と、フィンランドの青年たちにもっと寛容さをという活動を2年間行っている。All different、All equal キャンペーンなど。普段のAllianssiの取り組みには、実は若者はあまり関心をもたないのだが、このキャンペーンは成功した。単なる人種差別問題だけでなく、その他のマイノリティ問題(障害者や性的少数者など)にも問題提起を行った。

*【青年選挙】*
4年に一度の国政選挙の前に、投票権をもっていない若者のための選挙をおこなっている。14~17歳まで。主に学校で、場合によってはユースセンターで投票する。実際の候補者に投票し、選挙5日前にその結果を公表する。多くのマスコミがその結果に関心をもっている。総選挙の投票率はいま67%(20年前は80%)特に若者の投票率が低下している。この青年選挙の目的は、もちろん若者が政治に関心をもってもらうこともあるが、もう一方で政治家に若者への関心をもってもらうことも目的としてある。いまフィンランドの国会で、200人の国会議員のうち29歳以下は1人。

*【cooperationプロジェクト】*
青年研究の研究者層との協力も自分たちの組織にとって非常に重要。例えば学校の中退に関するプロジェクトを合同で行ったりもした。また、失業している若者をNGOに雇用するプロジェクトも行い、EUから資金を得て1000人ぐらいの若者を雇用することに成功した。

*【政策決定時のロビーイング】*
予算審議などの際には、Allianssiに連絡が来ることもある。国会議員とのコンタクトも重視しているが、結成後徐々にその存在を知られるようになってきており、交渉も年々簡単になってきている。現在の財務大臣は10年前のAllianssiの理事会メンバーでもある。
Golden Helmetという取り組みを、半分本気半分冗談で始めている。国会議員を対象としたポイント制のコンペ。以下のような形。
・若者に関する良い法案をつくったら5ポイント
・そうした法案にサインしたら3ポイント
・若者に関する国会議員が質問したら3ポイント
・若者に関する国会発言をしたら3ポイント
・メディアでの若者に関する肯定的発言3ポイント
・Alliansiに参加したら1ポイント
・ 市町村のユースワークに参加したら2ポイント

オフィスで新聞などをフォローすると同時に、関係者などからの情報を受けて行っている。時々議員から連絡があり、自分はこういう記事を書いたのにどうしてポイントになっていないのか?と問い合わせされることもあり、議員に対してはまじめにやっている 随時のトップの数人をネット上に公開している。


参考URL: http://www.alli.fi/sivu.php?artikkeli_id=162