2007年度海外調査(フィンランド) [NO.3]
訪問先名称:Social enterprise AELITA OSUUSKUNTA
訪問日時:2007年11月23 11時~12時30分
場所:Hämeentie 103 A, 00550 Helsinki ロシア系移民のための活動センター内
組織について:
1997年にロシア系移民のための協同組合として発足
職種は様々に試した(例:ホームヘルパー、家庭の掃除サービス、通訳・翻訳、食堂、デリバリーサービスなど)
結果、ホームヘルパー(家事援助)が主流となった
就労希望者のほとんどは45歳以上で、ロシア・エストニア地域からの移民
年齢的にも言語的にも労働市場に参入しにくい人々を支援している
2006年夏にSEとして登録し。半年のテスト期間を経た
設立時にはVATESの支援を受け、市の企業支援センター(TE)から支援★(P4)を受けた
社会的企業なので、市が優先的に業務委託を出してくれるので、仕事が常にある
SEとしてMissionは、外国人の雇用促進(2007年改正時にSEには必要となった)
現在16人のスタッフが働き、内5人が長期失業者などのハンディをもつ人(内一人は特別困難層)男性は2人、エスポー支局に3人、それ以外に職業訓練中※が3人
就労希望者はハローワークからの紹介
※職業訓練中の人はハローワークから来て1~3ヶ月間、お試し期間中の人。失業保険とともに8ユーロの訓練手当てや交通費や昼食費などの援助がある。このテスト期間でよければ雇用契約を結ぶ。雇用契約を結んでからのドロップアウトは保険が切れるなどリスクがあるため。
クライアントはヘルシンキ市からの委託、市外からの個人的な顧客など
2007年にはエスポー市にも支局を開始。エスポー市の社会福祉局からの委託。小さな自治体ではSEを抱え込めないので?市を超えて委託が来ることがある。個人の顧客は自身で支払う。
組合に登録した外国人のほとんどは半年から1年契約で就労する
その後、組合で働いてもOK、一般の労働市場へ戻るのもOK
SEとして活動した1年間の総括
◆ マイナス面
就労困難層は会社にとって利益をもたらさなかった
彼らは週5日、8時間労働が難しく、業務遂行能力としても常に個人指導が必要だった
個人指導:フィンランド語ができないため、顧客のニーズが聞けない。フィンランドの労働事情が分からないため、サービスを理解できないなど、業務以前の問題が多い
結局、インターンシップで週に1回学校で理論を学び、労働現場では2人ペアにして実習させる必要があった
適切な人材を見つけるのが課題
長期失業者は働きたいとは言っても展望をなくしていたり、働くのが怖いという人もいる
海外でキャリアや学歴のある人は、清掃などの業務に蔑視があって抵抗が強い人もいる
重労働なので希望者は少ない(夏はいいが冬は通勤が辛くてダメなどムラがある)
ほとんどの人は半年から1年の契約(耐えられるか不安が高い)入れ替わりが激しい
掃除以外の業務へ拡大することも課題
仕事に就く前に、様々なハードルを越えねばならない(文化・生活・言語・サービスに対する考え方など、カルチャーギャップの克服が就労には不可欠)
よって、学校との連携が必須となる
SEにしたことでスタッフは本業(ヘルパー業)以外の業務が増えた
就労困難者の生活背景・困難の解決が必要になったから(フィンランドの福祉サービスの紹介をはじめ、警察、医療、子どもの教育など生活上の問題を解決するための業務が発生した)
SEとしての援助内容
① 給与(ハローワークから) 38.26~45.43ユーロ/1人/1日
② ヘルシンキ市から 300~350ユーロ/1人/1ヶ月
③ TEプロジェクト(起業援助) 2000ユーロ(75%)=1650ユーロ/1ヶ月
(ジョブコーチのような指導者の給与の75%)
最大3年 毎年更新(評価によっては切られる)
① ②に関しては、長期失業者は半年~1年の援助、就労困難層は最大3年まで延ばせる
平均労働者に払われる金額は援助金960ユーロ+事業収入500ユーロ=1400ユーロ程度
平均労働時間は4~6時間
Q)就労しない場合の収入は?
A)????ユーロ(なので、家にいる状態よりSEに雇用されるほうが収入は増える)
Q)1年後自立できる可能性は?
A)2人の卒業生は就労している 1人はここで事務員の仕事に就き、もう1人は私企業でヘルパーの仕事をしている
Q)協同組合で働くすべての人が外国人(ロシア系移民)か?
A)YES
SEになってメリットは?
援助金がもらえるが、サポートのコストがかかるので経済的なメリットはない
(+)ヘルパー業務をやってくれる人がいるので、組合職員は他の仕事にこなせる
(例:マーケティングなど)
なので、プラスマイナス0
(+)人の成長が見られること。相互に成長しあえる。彼らが就労できることは喜び。
民間企業では彼らをいきなりは雇わない。組合経験がキャリアになって一般企業にも就職できるようになる。
Q)VATESやTEとの協力関係について
VATESは起業相談には親身にアドバイスしてくれたが、その後のセミナーなどが高く、また全国組織なので会場が全国エリアで行われ、参加するだけでホテル代や交通費などの経費がかかる。自分たちのような小さな組織は参加できない。(地域単位でほしい?)電話での相談に応えてくれるシステムはありがたい。
TEは、2007年4月からの現在の援助のみとはっきり言われている。(独立採算していく方向か?)
追記:電話帳・Web上の情報から
AELITA OSUUSKUNTA
住所 Hämeentie 103 A, 00550 Helsinki
電話&ファックス 09-7262423
Eメール irma@aelita.inet.fi
代表者 Jelena Sinkonen
業務内容 掃除を中心としたホームヘルパー派遣
言語 フィンランド語・ロシア語
サービス料金
サービス料金の60%は税金控除の対象となります。週一回の清掃サービス 1時間 23ユーロ (最低1,5時間より受付)。ヘルシンキ市内の交通費は料金に含まれます(別途請求なし)。
http://www.healthcarebusiness.fi/portal/fi/hyvinvointipalvelut_ja_-tuotteet/?a=viewCompany&c=7
この団体は、2006年に★TE-Keskus (Employment and Economic Development Centre)という労働省関係の機関からプロジェクトマネーを貰っています。プロジェクトは2006年1月1日から2月28日という短い期間で、信用組合として運営している団体が、福祉関係の企業として移行できるかどうか、学歴が低いために長期間失業している失業者への職業斡旋(おそらくヘルパーとして失業者を育成したもの)を目的としていたようです。
Sosiaalisen yrityksen perustamiseen projekti-selvitys-ja kartoitusprojekti
AELITA osuuskunta
Hämeentie 103 A
00550 Helsinki
Yhteyshenkilö: Jelena Sinkonen
puh. 041 591 048, fax (09) 726 2423
Työvoimatoimisto: Helsingin työvoimatoimisto
Kohdealue: Pääkaupunkiseutu
Projektin kuvaus:
Projekti kohdistuu vähän koulutettuihin pitkäaikaistyöttömiin ja vajaakuntoisiin.
Tavoitteena tehdä kartoitusta osuuskunnan muuttamiseksi sosiaaliseksi yritykseksi ja järjestää työpaikkoja vajaakuntoisille sekä vaikeasti työllistyville työnhakijoille.
Aloituspvm: 01.01.2006
Päättymispvm: 28.02.2006