2010年10月22日金曜日

Korson Settlmentti

2007年度海外調査(フィンランド) [NO.2]   



訪問先名称:Korson Settlmentti
訪問日時:2007年11月23日
場所:Korsontie 7 , 01450 Vantaa


*【団体の成り立ち】*
・活動開始95年、NGO設立97年
・95年、この地域で若者同士(2つのギャンググループの対立)の問題があり、平穏に戻さなければならないと言う理由から設立を決意
・活動開始にあたり若者、地域の人たちの必要をきくヒアリングミーティングを行った。
・若い人たちに公共の場を提供し、平行して青少年育成のプロジェクトを行う。
・その後、NGO設立に当たり、保護者50人と子供達30人で10回の会議、また行政機関とも話し合いを重ね、設立まで至る。




*【資金源について】*
・NPO設立時97年から1年間 市が活動資金を援助。その後市の援助は打ち切られる。
このような活動内容のNGOにもらえる3つの支援金
RAY( スロットマシーン協会) 福祉関係、主にはどこからも援助を受けられない人たちを支援(アルコール、精神的にな問題、麻薬など)
部省 文化活動 アイデンティティーの問題など  
ラーニー(文部省の外郭団体?)青少年育成のために資金を提供
上記3つの機関から順番に資金を得ているのが現状。

・一時期はプロジェクトの補助金がなく、生活保護をもらいながら活動をしていた時期もあった。


《この団体が今まで行ったプロジェクトについて》
*【最初にはじめたプロジェクト】*
特に女の子の問題が多かった事から女の子たちを助けるプロジェクトをスタート。(特例で補助は5年間続く)
春、秋 2回 8人の女の子を受け入れ (少人数しか見ることができない)
12から14歳 が中心 多くの問題は自殺、暴力、麻薬、アルコールなど、とても難しい問題
・ケアを行い立ち直った若者が次のタームのリーダーとして活躍する。
女の子への支援から発展し、男の子へのプロジェクトも実施

*【母と子の居場所事業】*
25歳以下の若い母親のための居場所を提供
子育ての仕方がわからない、頼れる人がいない・孤独、シングルマザー
友達が居ないなど、様々な悩みに個別にも相談、支援。
若いお母さんは公共機関のサービスをどのように利用すればよいか
解らないため、つなぐ役割を担う。
(フィンランドはいろいろな制度やサービスがありすぎて解りにくい)




*【不登校児のサポート】*
2003年 不登校サポートコネクション
住民、学校からの要望がありプロジェクトをはじめる
市からの援助は1年でたち切れ、1年間はボランティアで続けるが2005年に終了

*【シアタープロジェクト】*
若者32人にインタビューをし、また地域の人たちと協力し、シアターグループを作る。
(お芝居をする事で自分たちを表現したいという若者の声があった。)
4700ユーロ 文部省 5000ユーロ ヘルシンキ市から補助 計9700ユーロ
参加した若者は移民が多かった(→移民の人たちの文化活動として)。
移民は趣味がない(趣味をするお金もない)→道でぶらぶらしていた。
芝居の内容もすべて自分たちで企画・運営 年に2回公演し、1回に200人の観客。
今は補助金はないが、続いている。この場所が練習の場になっている。

*【学校むけのプロジェクト】*
《 ウスダ プロジェクト 》
現在実施し、成功しているプロジェクトのひとつ 
毎週水曜日に学校の教室で放課後、生徒全員に対し、「いじめ」や「将来の事」について、日常の様々な問題についてグループディスカッションをするプロジェクト
学校の中にある問題を解決、予防的な役割、地域の子供達とのつながり、居場所への誘導等

*【移民へのサポートプロジェクト】*
《リーケンネンバロ》 RAYから資金
シアターグループに集まった子供達の半数が移民だったところから必要を感じ、プロジェクトを立ち上げる。
家族ぐるみでサポートしていく。
両親にサポートがないことが多い(祖父母がいない、近隣の人とのかかわりがないなど)
親子セットでサポートする事で成果が出ている。(様々なこどもに関わる問題の解決の仕方を親に教える。)

結婚できないフィンランドの男の人がロシア人をお嫁にもらう事がよくあった(今はタイ人も多い)という背景から、ほとんどがロシア人の家族である。(5家族は継続的、他数家族)、
その他、アフリカ人(1家族)、タイ人(1家族)エストニア人(1家族)計10家族ぐらいをサポートしている。
問題をどこに相談したらよいかわからない→何が問題なのかを知る→案内役として各機関につなぐ

*【ターゲットグループ:ロマニ】*
(ルーマニアの人たち 500年以上昔から歴史的にすんでいるにもかかわらず、差別を受けている)
服装・生活習慣などが違うために、また文化的、歴史的な理由から大変偏見をもたれている。
(コルソンの中にはロマニの人が入れるレストランはない、スーパーでも入れない店がある。)
偏見は互いに溝が大きくなり、グループとして対立、混ざりあわない
ロマニ人の特徴→目上の人を尊重する文化だったのが、長くフィンランドに住む事により、よい文化が薄れつつある。社会からも阻害され、よい文化も薄れているのは大変問題。

若い人たちのほとんどは就職できない。生活にも大変支障がある(嫌がらせが日常茶飯事)

Q.平等をうたっている行政は何をしているのか?
A.残念だが、500年以上続いている歴史をすぐに意識を変えることはできない。
国は 直接何もできないが、プロジェクトに特別な資金を出している。
具体的な活動として、仕事に就くための実習、コンサートの人員整理にボランティア参加して、がんばっている姿をみせる事でイメージアップなどをした。
実際には学校はドロップアウト、就職はできない。 義務教育なので正確な数字は出ない。

質問(平塚)
Q・今まで見てきた機関との連携は取れているのか?
A・市のやっているワークショップや窓口には行かない若者達がここに来る
いわば通訳、つなぎ役。
どこにもいけないこどもたちがここに来る。
市の機関との違いは、私たちは24時間の仕事であること。

Q・どのようにしてここを知るのか?
A・最初はほとんどが親の相談から始まる。
もちろん、来たがらない子もいるが、
問題のある子供も「さみしい」が一番大きな問題なので、
一緒に手続きをしたり、ちょっとしたことをする事が大事。
ここが信頼できる場所だと知ると、自然とここにくる。

就職させるのではなく、そこに行くまでの
生活習慣作り
人を好きになる事
ベースを作る事 が大事


*【人員について】*
スタッフ 全員で13人
中には長期失業している者を雇っている。
500日以上失業している人を雇うと1000ユーロもらえる。
7名の理事 

200名の会員(会費 5ユーロ/年間)
そのほとんどが若者 ここを利用していたOBが会員になっている。
なぜ会員になるか?→ここを離れても、夏のキャンプなどイベントに参加したいから


*【感想】*
私たちがここに到着した時には若い女の子2人が泊まっていたようでした。
明日はパーティーを企画しているそうで、その前夜祭をしていたそうです。
この場所は若者が気軽に自分たちのリビングのような感じで使っているのだと感じました。
非常に現場っぽい臭いと雰囲気のするところ、若者の目線に降りてきている活動だと思います。

この団体は市民の必要から始まり、現在も市民の声や必要にしたがって支援する対象や
やり方も変化しています。弱者・差別・少数派に対して支援。
必要だからする・・・という彼らの話も理解できますが、一方で補助金がとれる事業をするしかない・・・
というようにも思えました。
彼らの活動を支える柱になるものがあれば、もっと面白い活動になっていくと感じました。




参考 URL"http://www.vantaalla.info/jarjestoringin_kotisivu/php/jarjestolista.php?Jrid=171.172"http://www.vantaalla.info/jarjestoringin_kotisivu/php/jarjestolista.php?Jrid=171.172