2010年10月22日金曜日
Connexions base K/S Youth Information Shop
2007年度海外調査(イギリス) [NO.7]
訪問先名称:Connexions base K/S Youth Information Shop
訪問日時:2007年11月27日
*【概要】*
比較的困難な地域で、若者自身の声や動きに依拠しながら、区域内の多くの団体がパートナーシップをつくって組織化されてきたセンター、それが母体となって後にコネクションズ、ユースサービスの拠点となっている。
*【設立の経緯】*
6年前にバーミンガム市ユースサービスと若者が話し合いの場を持った。
本当に若者が必要なサービスは何かを話し合った。
若者の声は
自分たちの個人を尊重し、秘密を守って相談できる場所がほしい
様々な情報が取れる場所がほしい
その後、アドバイザリーグループ(Staling Group)を作り、協力をしてくれるパートナーたちと話し合いながら組織を作っていった。
最初はスタッフ2名(Full Time)パートタイム1名ではじめた。
まずは、ドアを開け、若者が来ることから始まり、くる若者の相談に乗りながら必要な事をしていった。
*【現在の組織】*
スタッフ フルタイム3名 パート1名
他、専門スタッフなどはそのつど招聘している。
*【資金】*
予算:80000~90000ポンド
バーミンガム市からの支援は小額
Children Mental Health(こどもと青少年に対する補助金)、妊娠に関する援助金など色々な
プロジェクトに対する補助金から資金を得ている。
コネクションズからは1名分のスタッフがまかなわれている。
*【対象者】*
11歳~25歳ぐらいまでの若者全般としているが、
問題のある若者が主(性、麻薬、お金、家庭内暴力、DV、妊娠、などなど)
そのような問題に対するアドバイス、対応を行っている。
一日に100名程度の若者が利用 うち、80名がリピートしてくる。一人の若者には長期的にかかわる。
*【理念】*
パートナーシップに基づいて、いろいろな機関の専門家を招いて活動する。
(ミッドワイフ(助産婦)カウンセリングサービス、お金の専門家、看護婦など)
もともとユースワークから始まっている活動なので、普段相談できないようなことが気軽に相談できるのが利点。(それぞれの専門家のところには若者は行けない)若者をサポートする専門家であるユースワーカーがこのような問題に取り組んでいるのは他に例がない。
*【実際の活動】*
個別相談(まずは、仕事を探しているといって来所するが、
実際にはほとんどがいろいろな問題を抱えている。)
専門家による相談 (専門の窓口の利用の仕方がわからない。行かない。)
性教育 (性病のテストが可能 親や学校に知られずに受けられる。
性病の検査をできる (このような場所でははじめての取り組み)
普通はGP(家族が登録している病院に行かなければ医者には診てもらえない))
学校でのデモンストレーション(Family Planningなど)
*【地域性】*
10代の妊娠が一番多い地域である、この問題が一番深刻。
すでに妊娠してしまっていたり、こどもを生むことを決めた場合、それをPositiveに支援したり、また2人目を生まないように教育指導する。また、産んでしまった後のサポートなど
いろいろな問題を複数に抱える若者が多い。
Q.他の団体などとの協働例を教えてください。
A.若者の声を必要としてる職業の人はここに来れば彼らの声が必要なので、ここに専門家が集まり、若者と触れる事が大事。
*【たとえば・・・借金を抱える若者は】*
普通の相談機関には行きにくい(使い方が解らない)消費者金融は家に訪ねてきて、セールスをしてくる。安易に借りてしまう。(金利は40パーセント)特に若くしてこどもをもった女の子などは借りてしまうことが多い。また、安易に借りて、自分の収入があっても返さずに居ることが多い、
まず、今持っている借金の書類をすべてもってきてもらい、専門家と共に相談する。
持っているお金、支払わなければならないものなどを書き出して、本人が自覚する事を促す。
返済の仕方をアドバイスし法律的な手続きをとる事もできるが、習慣的にできない若者もいる。
金融機関と若者の間に入り交渉する場合、基金から返済できる制度もある。
*【妊娠・性に関して】*
コンドームの使い方のレクチャーをし、無料でコンドームを渡している。
どこでも買えるが、実際にどうやって使えばよいか解らないし、いろいろな噂話と区別がつかなくなっている。
妊娠検査をできる。個人情報が家族などにわからずに守られる。普通はGPに行かないとできない。
*【質疑】*
Q.協働している専門家への費用は?
A.パートナー会社によって違うが、仕事の一環としてきている人もいれば、給与をこの団体から支払っている部分もある。できればパートナー会社が給与を支払って専門家を派遣してもらうのが理想。
Q.コネクションズに入っている理由は
A.コネクションズができた時は錦の御旗を掲げて、何をやっているかという気持ちだったが、今は協力関係でやっている。
最初はコネクションズの看板、電話の出方まで指導された。
しかし、コネクションズの看板は今は出していない。
自分たちはコネクションズということで成果を出してきたのではなく、自分たち特有のプロジェクトでやってきた成果が出ていると自負しているからだ。
コネクションズに入っている理由はお金。一人分の給与が出ている。
金銭関係のスタッフは今は彼女の会社に給与を支払っているが、これからは出向という形で給与をパートナーから出してもらいたいと思っている。
パートナー組織も若者に関わる機関は若者の声を聞かなければならないという規則がある。
そのため、K/ Cの若者達を招集して、リサーチをしたり、お互いに協力関係になっている。
Q.利用者は他からの紹介もあるのか?
A.コネクションズ、福祉関係など紹介で来る人も多い。
ほとんどは口コミなど 宣伝する必要はあまりない
学校などでいろいろなセミナー等もしている。
実際のターゲットは16-17が多い。
コネクションズは達成目標があるので、若者達本意でない時がある。
ここではそのような対応はない。
Q 現在の活動に関して相談ができる若者のグループがありますか?
A若者達にとって、ここは通過地点(いやな事があって相談に来る場所だから)継続的に付き合うのは難しいが、いいところであったと思ってくれるOBも多いので、彼らは呼べば来てくれる。話し合いの場をいろいろ持っている。4000人の名簿があり、1年に一回のアンケートを送付している。
Q.ここが居場所になっているのか?
A.そうではない、ここは相談に来る場所であって、基本的に横のつながりはない。
うろうろさせたりはしない。
やっていいこと、いけないことははっきりさせているので、ここで揉め事になったりはしない。
*【感想】*
非常に大変な問題を抱えている若者達をサポートしているが、入り口としてユースサービス、コネクションズという事で敷居が低く、気軽に来ることができるのだと感じた。
やはり若い人は専門機関、公的機関には行きにくいし、方法も知らないのがどこでも同じ問題。
つなぐ役割が必要だと感じた。
日本のサポートステーションが地域に根ざした活動になるために必要なモデルだと感じた。
■参考URL等
http://www.bbc.co.uk/birmingham/teens/2002/08/connexions.shtml