2010年10月9日土曜日

Helsinki Disadvantaged Young People Project

2007年度海外調査(フィンランド) [NO.9]  


訪問先名称:ヘルシンキ青年局Disadvantaged Young People関連プロジェクト
 

<主な事業内容>


*【フィンランドにおける若者の自立の現状】*
フィンランドでは、18歳になると多くの若者がアパートを借りて親の家庭から独立するのが一般的。
ヘルシンキ市では12歳に焦点を当て彼ら・彼女らに伝わるように若者政策を展開している。それは、さまざまな問題が起こる前に対処するためである。


*【ヘルシンキ市の若者政策=Social Youth Workプロジェクト】*

* ヘルシンキ市青年局職員は約400名、うち30名がユースワーカーである。

* Social Youth Workプロジェクトの中心はSocial Skillの育成であり、すべての活動に
social skill trainingをいれている。

*「赤い糸」は2つ
1. すべてが参加できる体制
2. 社会的な意識を強化する=若者に自信を与える

*Youth Act(2006)・・・29歳以下の若者を“Youth”とする

1. すべての決定に際して若者の意見を聞かなければならない
2. それ以外は各自治体(市町村)が自由に政策を作れる~かなり自由にできる
3. ヘルシンキ市では13~18歳の若者を中心に支援するプログラムを展開している


*【ヘルシンキ市青年局Social Youth Work(担当はカイサ・サキベルさん)の概要】*

1. 特別なリシクをかかえる12~15歳の若者に対するプロジェクト

* なぜ12~15歳か?
ⅰ)子どもからオトナへの変化が大きい時期である~環境との対立をひとつの特徴とする
ⅱ)周囲の影響をとくに受けやすい時期である
 
2. 教育、スポーツ、社会福祉局などの部局が連携して施策を実現

City of Helsinki ・・・
ⅰ)Youth Department
ⅱ)Social Department
ⅲ)Health Center

3. リスク=自分をダメにする子どもたち~学校は状況を把握している

ⅰ)19歳の問題は12~15歳ですでに見えている
ⅱ)ヘルシンキ市には5つのチーム(メンバーは互いに知っている)があり、すでに7年間継続してプログラムを展開している
ⅲ)ヘルシンキ市青年局はすべての青年を支援の対象にしているが、実際の支援は地域ごとにおこなわれている

4. フリースクールに来る3つの子ども・青年のタイプ

ⅰ)Depression、 Withdrawing、 Overly shy、Lonely
ⅱ)Antisocial behavior or Aggression
ⅲ)Hyperactivity

5. 若者の悪い状況

ⅰ)劣悪な家庭環境=母子・父子家庭、両親がいない、家庭が成立していない
~ (文化資源の伝達がないので)スキルがなく問題に対処することができない
ⅱ)経済的に厳しい=貧困


*【質疑】*

Q1:(宮本)家庭状況はどんなものですか?

A1:ⅰ)離婚は多い(ほとんどの場合それが何らかの影響をもっている)

~ 離婚率は50%を超える程度である。それだけが問題なのではなく、サービスそのものは無料であっても、親の失業が問題になっている。そこからウツ、アルコール中毒などの問題が生じる危険あり。~ 

ⅱ)若者の多くの状況は悪いわけではないが、社会的資源に関しては二極化が進んでいる

~ フィンランドはもともと平等な社会であったが格差が拡大している=社会福祉の後退が見え始めている~ 

Q2:格差はどのように顕在化しているのか?

A2:(前日に訪問したときに話題に出た)トマル・マルティカイネンの研究にあるように・・

ⅰ)地域ごとの若者の投票率に差がある
~ 収入の多い地域の投票への参加が多く、貧困地域の参加が少ない
= 政策に反映されるときに偏りが出る~ 

ⅱ)政策ではなく個人に投票する傾向がある


*【4.Social Youth Work(担当はカイサ・サキベルさん)の実際】*

1. スクール・カウンセラーが問題(たとえば暴力などの問題行動)を発見。

2. 子ども本人、または親にチームへの参加を提案。

3. 子ども、親、スクール・カウンセラーがセンターに来てチームとして支援可能かどうか話し合う。
→ 子どもの問題について気づいた人が電話する(ユース・ワーカーは学校の先生に対して、まずスクール・カウンセラーに相談するようにアドバイスしている)

(注)チーム(=学生福祉チーム)は教頭、教員(スペシャル・ティーチャー:通常のクラスでは生徒は22~25人であるが、特別クラスは8~9人でリソース方式の通級指導をする)、スクール・カウンセラー、スクール・ナース(非常勤で3日程度/週の勤務)、が主なメンバーで、ソーシャル・ワーカー、ユース・ワーカー、スクール・サイコロジストなどと連携して支援活動をおこなう。

4. チームで話し合って約束してから(agreementを子ども自身が見てから)活動する。
(注)その際、子ども自身が誰と相談したらよいのかを決めることができる。

5. 学校で協力相手を決めるときも子どもの意思で相談相手を選ぶ~活動の継続。

→ 原則として月に1~2回話し合いをする。その前に、担当者(ユース・ワーカー:だいたい1人のユース・ワーカーが10人程度を担当)が子どもと話し合う。

~ 学校との協力関係が必要である。なぜなら、それぞれの得た情報を伝え合うことにより適切な支援をおこなうことができるからである。~ 



*【5.Social Youth Work(担当はカイサ・サキベルさん)の特徴】*

1. 一人ひとりの子どもについてサポート・プログラムを作る

2. 具体的な行動をターゲット・スキルに!

3. 興味ある活動を作り、参加させる

4. 子ども自身のほかに、親の行動をサポートすることによって、親を励まし行動させる


*【6.Social Youth WorkのWorking Methods】*

1. Networking and Cooperation

2. Support Program including
- Time with an adult
- Group activities
- Camps
- Supporting parents and parenting school work
- Support for school work