2010年10月22日金曜日

Department of Education, employment and Workplace Relation

2008年度9月海外調査(シドニー) [NO.6]


訪問先名称:Department of Education, employment and Workplace Relation

     (教育雇用職場関係省)
訪問日時:2008.3.10


オーストラリアの教育科学訓練省シドニー支庁
ケンさんはNSW州のYOUTH PATHWAYSプログラムのコーディネーター。2005年の訪問(宮本、岩本)の際の担当者。その時はできたばかりだったプログラムがどのように社会に浸透してきたか、その評価などをインタビューした。今回のインタビューにも快く応じてくれ、また他のプログラム団体への橋渡しをしてくれた。



<内部資料の説明(守秘義務のある資料)>
・提供者側の支払いの実態
各州でプロバイダーがどれだけいるか。
参加者数


・2006年に財源の83.46%を受けた。2007年には95.17%。完全に執行することが困難だと報告している。プロバイダー(提供者)の意見では、学校・地域がうまく紹介してくれないため、プログラムがあっても現実うまく利用されていない。


・2006年29の供給者が契約の100%を遂行。2007年では97のうち57の提供者が100%提供できた。次第によくなってきている。


・プログラムは、1.アセスメント 2.援助 3.継続支援。3段階まで到達した人の数はかなり増加している。2006年と2007年で財源は50%増であった。財源は、精神保健財源からの財源とも関連している。なぜなら、参加者の20%が精神疾患をもっているといわれていて、大きな問題を抱えている。
2006年 登録している参加者のうちフルサービスを受けた人が62%
2007年 登録している参加者のうちフルサービスを受けた人が77%
かなり上昇している。成功したのはよい連携をもっているからである。早く連携をもち、若者が興味をもつようにしていることが成功の鍵。当初、提供者は学校へいってもどういう人がサービスを必要としているかがわからなかった。学校との信頼関係を築けたことが成功したこと。はじめは厳しい状況だったが改善された。


・午後訪問するキムさんのプロバイダー:若者との関係をうまく築けなかった。なぜなら経済的に裕福な地域であること。若者が少ないこと。


・リサさんのプロバイダー:うまくいった地域。若者の数が多い。若者の数が多い。ワーキングプアが多い。財源は人口に対して支払われる。


・参加者の特徴:父親がいない男子(調査の結果。父親の影響のない男子は学力だけでなく学校ですべてにおいてうまくいかない)、18%・15% 先住民12%・11%、障害者、9%、6% 文化的多様 8%・8%、介護責任のある若者 6%・4% その他 59%・53%


・参加者のゴール:1.学校 38.8%、2.TAFEなどの専門学校 16.4%、3.見習い訓練 7%、パートタイム雇用 10.6% フルタイム雇用 10% ジョブネットワーク活動への参加 2.8%、無業 14.1%


・2006年首相が精神疾患に関するイニシアティブをとり大きな財源を使うと発表。一部をユースパスウェイズが獲得した。精神保健財政によって50%予算が増えた。サービス提供者は、精神疾患のケースワーカーとして働けることが条件となった。


・モニター・評価・報告の枠組み:中間・終了後の2回参加者からのアンケートをとる。外部コンサルタント会社が評価する。かなり綿密。どのような改革をするかを明らかにする。参加者の話、提供者の話、契約会社、行政などが評価対象となっている。


・2006年の結果
サービス対象者の多くがバリアをもっている人たち。85%はまだ学生か何らかの教育・養成を受けている。うまくいった。


・メンタルヘルスの意味:そううつ、分裂を含め全部をさす。分類は行っていない。ケースワーカーは診断の能力、資格がないし、それを期待していない。学校その他の組織から把握する。本人が打ち明けることもある。発達障害もある。


・対象は13-19歳(12歳も含める)。基本的に学校につなげることが主な目的。
学校をやめそうな子、やめて1年たっているがもう一度学校へもどれるのではないかという子を、リコネクトする。



<学校との連携をどのようにとるのか?>
・3つの学校タイプで異なる
公立学校―副校長または学年主任、カウンセラーが担当。YPを歓迎
キリスト教系学校 個人ケアの体制をもっている。YPを拒否。
私立学校 YPを拒否。


・誰が担当なのか、適切な人を探して進める。連携するのに一定時間がかかった。
学校によって歓迎するところと拒否的なところがある。


・省庁から学校へ連携を強制することはないのか?
学校によって管轄が違う。公立は州の運営、YPは連邦政府なので強制はできない。したがって法律上は権限がない。しかし公立校は歓迎している。私立などは独自の仕組みをもっているので結構だという。それでも利用している学校はある。




 <学校を去った子を再び学校に戻すことは効果があるのか?>
・新しい学校へ移ることを勧める。最低義務教育は必要。専門学校で卒業証書をとらせる。またはTAFEで高校資格をとる


・YPを使って多くの生徒は専門学校で卒業することが多い。 職業教育を受ける場合もあるしそうでないこともある。
普通学校がきらいな場合は、TAFEへ行って職業教育を受けることが奨励されている。
10年生が修了していないコース、12年生を終えていないと受けられないコースもある。


・普通教育がきらいな生徒には職業教育が非常に重視されている。研究および政治的レベルでは、もっと専門職を養成すべきだといわれている。たとえば電気技師、配管工などで、現職がリタイヤする時期。人材が不足するだろうと予測。職業教育が奨励されている。 



<職業教育について>
パンフレット:キャリア・アドバイス・オーストラリアを紹介
 

・系統的な職場学習:学生が数週間職場体験
キャリアと移行サポート:地域コミュニティパートナーシップ 全国213ヵ所
 

・業界がどのような状況なのか情報を提供する
これらの状況を若者・学校などへ情報として提供して働きかける
キャリア・インフォーメイションセンターもある
 

・新しい行政省になった。教育・雇用・職場が入っている
雇用に関する業務対象
準備ができている人
バリアがある人
事業主
 

・予算は連邦政府、提供者はNPO,ビジネスなど
5つのプログラム:就職する準備ができている人の場合
 

・Job  Network 全国的 対象者は長期失業者
Disability Employment Network JNと似ているが、障害者、雇用後も継続支援必要
Vocational Rehabilitation Service 先天的疾患を「もっている人、雇用される場所への支援


・New Enterprise Incentive Scheme 失業している人が起業するための支援

・ Indigeneus Employment Policy 先住民雇用支援


・準備ができていない人に対して
40万人が失業中。うち複数のバリアがあって仕事につけない人のプログラム。2年間
支援。健康、住まい、薬物などの克服


  ・Job placement employment and training
15-21歳でホームレスのリスクのある人
目的は生活の安定―>地域・人々につなげる
薬物、アルコール、虐待、家庭崩壊、四世代も働いたことのない家族。


  ・Work for the Dole
    失業手当を受けている人々のための作業体験。地域で必要とされている仕事を見つけて体験させる。作業体験。地域で必要とされている技術を身につけるためのプログラム。
コミュニティワーク コーディネーターが提供する。
例;観光名所の美化活動。特別養護老人ホーム。
専門職の仕事を奪わない範囲。文化遺産、環境、地元地域の整備。18-64歳対象。18-20歳 2週間15時間作業。55歳以上はもっと短くてもよい。
ホスピタリティ コース
調理・接客業は要求が高い分野。ホームレスの食事作りもやっている。
接客スキル。倉庫の整備スキル。庭のいす・テーブル作り=>地元高齢者施設に提 

失業手当を受けるのにある人はかならずこの活動に入らなければならない。
相互義務に同意
保険というものはない。仕事のない人はベネフィットを受ける権利がある。学卒後仕事がなければ手当てを受けられる。しかし権利に責任が付きまとう。いつまでも仕事に就けない場合も、手当てを払い続ける。さまざまな手当てがあるが、それに関する規則がある。求職活動を続けなければならない。ワークフェアの哲学。1930年代不況期から続いている。


・Green Corps
  若者のためのプログラム。スキルを身につけ雇用を得るため、10周年。文化遺産や環境遺産の維持。75%は地方遠隔地の支援を考えている。干ばつだったから。5つのプロバイダーによって案を本省に提案する。スポンサーを探してこなければならない。地方自治体、ランドケア団体、地元団体など。本省と文化・アート省が承認する。
17-20歳 新しい仕事スキルの向上、社交スキル向上
26週間単位10名、参加者がやめた場合は加える。16歳半でも参加できるが問い合わせをしてから。市民権があってもなくても参加できる。遠隔地では特に先住民に参加をうながす。手当てではなく、作業に対して支払いを受ける。自分のお金になる仕事。もっと働きたいという意欲を高める。やっと生活ができる金額。失業手当より高い。多くは親と住んでいる。そうでない場合は非常に厳しい。親の家に住めない場合は家賃補助がある。JBともかかわる。親と同居して保護を受けられる場合はプログラムの成功率が高い。
野生動物の保護
野生動物に無線をつける活動
砂丘で亀が卵を産むのを守るために人や風が入るのを防ぐ柵を作る活動
コアラの生息する場所を異動する活動
先住民と協力してブッシュタカという食べられるブッシュを集める活動
歴史的鉄道の保存
予算 2007-8年の1年間 2500万ドル
174プロジェクト 最低1740人参加
2007年 10年間の結果
18000人
1400万本の 樹
8000kmの柵
9000kgの種
37000ヘクタールの草取り
個人の利益
雇用を得る
認定を受ける訓練
生活スキル
チームワーク、多様な人との交流、規則的な生活、6か月以内の仕事経験で仕事がみつかる
プロジェクトワートナーと接するー>地元の動物園への就職
88%の参加者が満足
3ヶ月後に57%が仕事に就いている
TAFEや学校に行く人
園芸関係
どちらにも属さない人もいる

JPとGreenCorpとが連携して進めるー>Job networkへ紹介する

・オーストラリアでは、仕事がない場合には誰でも手当てを受けられることを知っているので、Centre Linkへ行って支払いを受けるのがあたりまえ。これらの手当てを世帯でシェアすれば生活できる。つまり共同生活すれば生活できる。


・このような状況に対して、一方では「太い竹棒が必要だ」とはいわれている。働こうとしない人を生まないためには、竹でたたき続けることが必要だという意味である。

 

■参考